「想定外」の話
■ 実に1か月ぶりのエントリーである。
ところで、奇妙な話が伝わっている。
西岡武夫参議院議長が、予算案の「受け取り」を拒否しているのだそうである。
その背景がうかがわれそうなのが、下の記事である。
□ 「鈴をつけるのは?」政局の舞台は参院へ 鍵握る輿石氏の動向
産経 2011.2.27 22:02
前略、輿石氏は27日、フジテレビ系「新報道2001」に出演し、予算案本体と予算関連法案を切り離して採決するという民主党の異例の手法について、こう語った。輿石氏の歯切れが悪いのは、野党が多数を握る参院で、与党が思い通りに予算案と関連法案を可決させるのは至難の業だからだ。さらに、民主党出身の西岡武夫参院議長が「今の内閣の人たちは国会運営のイロハが分かっていない。予算案は歳入法案と絶対セットでないとだめだ」と批判し、混迷が深まっている。後略。
□ 憲法第60条第2項
予算について、参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
なるほど、「参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて三十日以内」と書いている。「参議院が衆議院の可決した予算を受け取つた後」と「衆議院が可決した後」とでは、明らかに意味が違う。「衆議院での可決」は、即、「参議院による受領」を意味するわけでないならば、メディアが伝えるように、「予算案の年度内成立が確定した」ということにはならない。
もし、巷でささやかれているように、「予算案は歳入法案と絶対セットでないとだめだ」と言い放った西岡議長が、本当に予算案単体での「受け取り」を拒否しているのであれば、これは、とんでもないことになりそうである。参議院が「予算案の受領保留」をやれば、予算案の年度内成立は画餅の類である。
もっとも、関連法案の裏付けのない予算案を出してくるのは、小料理屋で「そのうちカネが入るから、今はツケで食わせて…・」と迫るようなものである。実質上、「一見さんの客」でしかない今の民主党には、そうした信頼はあるのか。
西岡議長が、「こんなポンコツを回してくるんじゃないよ。参議院を何だと思っているのだ」と思っているのであれば、その反応には無理はない。予算案審議入りが遅れても、「野党がごねている」というのとは別の説明の仕方が要るのであろう。
何れにせよ、これは、「想定外の話」であろう。こういうのを相手にするのは疲れる。
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Comments
不勉強で申し訳ありませんが、財源など歳入の裏付けなき予算案提出、はかつて存在したのでしょうか? 机上の空論と見做されない為にも、財源は予算と表裏一体だと思い込んでおりました。
Posted by: アル中やもめ | March 02, 2011 08:30 AM
櫻田さん、久しく更新されないので、心配でした。お元気そうでほっとしました。いつか、お会いできる日を心から楽しみにしています。
Posted by: 櫻井朋子 | March 10, 2011 07:19 PM