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January 03, 2011

対韓同盟という「迷い」

■ 昨年、日本は、「世界第二の経済大国」の座から転落したらしい。
 「らしい」というのは、指標の読み方では、「まだまだ…」という声もあるからである、
 とはいえ、日本が復活するまでの道は険しそうである。
 ところで、日本の対外政策における「迷走」は、まだまだ続きそうである。
 こいう動きには、どう反応すべきであろうか。
 □ 韓国と安保同盟を=前原外相が提案―新聞報道
          時事通信 1月3日(月)1時17分配信
 韓国紙・毎日経済新聞(電子版)は2日、前原誠司外相が同紙とのインタビューで、「韓国と安全保障分野でも同盟関係を結ぶことを希望する」と述べたと伝えた。
 外相は「北朝鮮の武力挑発は朝鮮半島はもちろん、東アジア全体の安定と平和を脅かす行為だ」と指摘。「新年の日本外交の最大の懸案の一つは、隣国と確固たる安全保障体制を構築することだ」と語ったという。 

 この記事がデマではないという前提で書く。

 前原の着眼点は悪くない。
 朝鮮半島の緊張は、今年も続く。北朝鮮の体制崩壊が、すぐに起こると判断する根拠は乏しいけれども、延坪島砲撃に類する挑発がグレード・アップして繰り返される可能性は、想定しておく必要がある。だから、前原が対韓同盟を模索する理由も、納得できる。
 だが、これは、今、手掛ける話ではない。
 そもそも、対米同盟を軋ませた状態の上に、対韓同盟の枠組をつくったところで、その同盟は、どこまで機能するのか。「新年の日本外交の最大の懸案の一つは、隣国と確固たる安全保障体制を構築することだ」という前原の見解は正しい。ただし、その「隣国」が、「小笠原諸島とマリアナ諸島やハワイが隣接した米国」を意味するならばである。日本にとっては、米国とは、「太平洋をはさんだ隣国」なのである。こうした視点は、日本が海洋国家である限り忘れ去られるべきではない。太平洋戦争が実質上の日米戦争であったのは、太平洋には日米両国に割って入る他の国はなかったからである。
 こうした対米同盟の枠組をがっちり固めた上でならば、対豪準同盟のような枠組を韓国、インド、さらにはフィリピン、インドネシアあたりと構築していくことは、意義深い。だが、米国の同盟国としても行動に多くの制約を抱え、その同盟それ自体を軋ませているる日本には、他の国々との同盟を考慮しても、その国々が迷惑なだけであろう。「有事に結局、何ができるのか」という問題は、残るのである。まさか、「集団的自衛権は米国には適用しないが、韓国にならば適用する」という理屈が成り立つはずもあるまい。対韓同盟に関していえば、そもそも、竹島領有権も棚上げにするのか。
 小泉純一郎は語った。「対米関係の安定なくして中国との良好な関係など築けない」。「日米関係が悪くなった時に、ほかで補おうとしてはいけない」。前原の対韓同盟の模索に関する不安は、それが「日米関係が悪くなった時に、ほかで補おうとする」対応ではないのかということである。雪斎の不安が的中するならば、これは、日本の対外政策に要らぬ混乱を招き寄せるであろう。
 とにかく、対米同盟にかかわる「鳩山由紀夫の負債」の後始末ぐらいは、民主党主導内閣下で実行してもらいたいものである。こちらに、どこまでの勢力が費やされてきたのか。菅直人は、これまでに何度、沖縄に足を運んだのか。ふらふらしないでもらいたいものである。

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Comments

 「鳩山由紀夫の負債」の清算を民主党にやらせるのはどうでしょうか? 更に負債を増やす対応をするのがオチとなっているように見えますが。負債を清算するには民主党に感情的反米主義と情緒的親中韓が多すぎます。ひどい言い方をするなら「反米媚中」が幅を利かせている。自民党にも一応いますが、民主党の劣化コピー呼ばわりされるのを避ける為しばらくは大人しくしているでしょうし。
 民主党がやるべきは管首相による「自爆テロ」解散だけでしょう。現実が自分の妄想と違うと言って駄々こねて事態を悪くするという醜態以外、彼らは見せていません。期待する価値があると思う方が間違いではないでしょうか? 政権交代の最大の成果は「進歩的」な主張をする政治家は「口先だけの無能」とイコールであるという事実を晒しただけに思えます。ただ、いわゆる声高な保守も現実を見るバランスを欠いている様に見える方が多いのが悩みの種ですけど。

Posted by: almanos | January 03, 2011 at 07:39 PM

外務省は日韓同盟という発言まではしていないと否定したそうですが、私は外相は確信犯的に日米韓の結束強化という観点から発言していると思います。米軍トップの「日韓防衛協力」発言や、菅首相の「朝鮮有事の自衛隊使用」発言と重ね合わせると、むしろ前原発言もアメリカ仕込みのような気がするのですが。

Posted by: 茅野 | January 04, 2011 at 02:56 PM

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