« 対中ネガティブ・イメージの拡散 | Main | 劉曉波氏の「位置」 »

October 08, 2010

「資源のない国」の神話

■ この数日、鈴木、根岸両老教授のノーベル化学賞受賞の報に沸き立っている。
 NHK午後7時のニュースで武田アナウンサーが、のっけから万歳をやる「演出」には、やりすぎだろうとおもったけれども、それでも今は許されるであろう。慶事である。
 雪斎も、北海道大学OBなので、特に鈴木教授の快挙は率直に悦ばしいとおもう。
 両老教授が、共通して示していたのは、「日本は資源がない」という認識である。
 「日本は資源がなくて、戦争をやって負けた…」。
 両老教授は、終戦時、中学生くらいだとおもうので、こうした感覚を多分に持った世代であろう。
 そして、戦後の高度成長を牽引した世代である。

 「日本は資源がない」という半ば当然のように信じられている「神話」の一方で、「日本にもまっとうな資源がある」という説明がある。
 たとえば、「水」である。
 過日のテレビ東京の「ワールド・ビジネス・サテライト」の特集に依れば、世界で「淡水」を輸出に回せる国は、一握りしかない。
 カナダ、米国(アラスカ)、トルコ、そして日本ぐらいのものだそうである。
 日本の海運業界は、中東から石油を満載したタンカーが日本に戻ってきた復路の後に、往路で日本から淡水を積んで中東に向かうということを考えているのらしい。また、オーストラリアから鉄鉱石を積んできた船に、淡水を積んで帰ってもらうということも考えているらしい。課題は、数か月の航海中に、雑菌が増殖したり鉄粉が付いたりして淡水が汚れるので、浄水を確実にするということのようである。淡水が輸出できるのあれば、それは、きちんとした値段を付けて売ってもらいたいものである。できるならば、前述四ヵ国の連合を組んでもいい。
 ところで、レアアースの実質、禁輸で日本を脅したつもりになっている中国は、実は、「水資源」に関していば、危機的な状況である。黄河は、至る所で「断流」が起き、飲料用としても工業用としても、実際に使える水系は、限られている。南の揚子江では、洪水頻発で治水が上手くいかない状態のようである。今夏は、北京でも断水が起こったようである。だとすれば、中国の食糧生産が大丈夫のかという別の心配もでてくる。
 それならば、日本は、淡水を、どのように戦略物資として使っていくか。「水」の価値が高まれば高まるほど、
こうした思考が大事になるであろう。
 石油やレアアースに代替する資源は色々とあろう。だが、水に代替する資源はない。
 「水」を戦略資源として使う発想は、かなり、えげつないものであろう。それは、人間の生存のための基本だからである。だが、日本でも、戦国時代には、「水断ち」を戦争の手段としてやっているのである。米国も、穀物を戦略物資として使っている。
 故に、、「水」戦略の構想は、きちんと考えておく必要がありそうである。この「水」戦略の観点で考えれば、次のような政策対応が考えられる。
 ① 森林の保護、水源地の売買規制
 ② 治水施設の整備と管理
 ③ 水関連産業の奨励
 ④ 海運業の保護
 ⑤ 海事警察、海軍の能力拡充
 ざっと、これくらいのことが考えられる。
 やるべきことは、山積している。

 話は替わって…。
 小沢一郎は、自分の「保身」しか関心が向かなくなっているようである、
 検察審査会の「強制起訴」議決に、意義を申し立てる方向に走るそうである。
 「オマエハ、モウ、オワッテイル…」。
 何かjの漫画に、こういうセリフがなかっただろうか。
 ごねればごねるだけ、自分の首をしめるだけなのだが…。つくづく廉恥を感じさせない御仁である。


|

« 対中ネガティブ・イメージの拡散 | Main | 劉曉波氏の「位置」 »

「学者生活」カテゴリの記事

Comments

 人が飲むだけではなく、産業でも水は欠かせませんからね。オーストラリアに下水処理済の水を工業用水を持っていって売り、帰りに鉄鉱石を積むという記事もありましたし。後は基幹部品も見方を変えれば資源です。日本は実は資源大国でしたとなってもおかしくない。
 下水処理済水を工業用水として、飲料水をちょっと贅沢な必需品として。(中国なら喜んで買うでしょうね。安全な水だと)日本の名水は高給必需品というポジションに売り込めれば水資源大国になれますね。例えば「水割りは六甲のおいしい水でないと駄目です。これで無いと水割りの味が一段落ちます」となれば自国の酒飲みを敵にまわしたくないという事で日本の安全保障にも貢献するかもしれません。
 きれいな水は石油やレアアースよりも直接人命を左右する資源ですからね。軍事的パワーよりも使いどころによっては有効ですし。
 後は小沢氏ですか。あの方はもう「お前はもう死んでいる」状態ですし。「民主党政権を俺の墓にするぞー! 」という心境なのでは無いでしょうか? ま、相手も廉恥を知らない方達ですから丁度良いのではないでしょうか? 田中派の遺物である小沢氏対全共闘の遺物(個人的には汚物としたいのですが)である管、仙石氏。どちらの遺物が「恥知らず王座決定戦」をやっていると思えば。政権党でやるなとは言いたいのですが、言って聞き入れる品性と知性はどちらにも期待できませんし。

Posted by: almanos | October 08, 2010 at 10:18 AM

いつも拝読させていただいております。
水の輸出についてですが、私は仕事で一部関わったことがあり、ご参考までに。
中東の産油国でお金がある国では、海水淡水化という技術を用いて、海水から高コストで淡水(つまり飲める水、工業用水に使用できる水)を製造しています。これに対抗して、日本の淡水を中東諸国に販売する、というアイデアがありますが、ある中東産油国政府の判断は、熟慮のうえでこの提案を断り、やはり海水淡水化などの高コストの水を自前で生産する、という返事でした。水は、人間の生命維持にも関わるきわめて重要な資源であり、それを輸入に依存するのはリスクが大きすぎるという判断です。
非常に重要な資源の問題については、このようにさまざまなリスクをあらかじめ熟慮して、戦略をきちんと建てて取り組むことが必須である、ということです。わが国は、この中東の国に比べても、まだまだ危機感とリスク管理が甘い面がある、と思います。

Posted by: 珈琲 | October 08, 2010 at 09:14 PM

資源は日本には沢山あるらしい。
金もレアメタルも、都市鉱山、すなわち廃電気製品にいっぱいある。

Posted by: 笛吹働爺 | October 10, 2010 at 02:16 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/71618/49679250

Listed below are links to weblogs that reference 「資源のない国」の神話:

« 対中ネガティブ・イメージの拡散 | Main | 劉曉波氏の「位置」 »