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September 27, 2010

対中「臥薪嘗胆」の時節

■ 金曜日、八戸に行っていた。母校での講演である。
 一旦、宮城県北の故地に立ち寄って、日曜夜に帰京である。
 ネット環境未整備なので、情報遮断の状態になっていた。
 
 「尖閣」の「その後」が気になっていた。
 釈放で決着かと思いきや、中国政府は、「謝罪と補償」を要求したそうである。

 「いいわ…。もっとやって…」と雪斎は、反応した。ただし、雪斎は、マゾヒストではない。

 日本における「対中幻想」が崩れれば崩れるほど、それは、中国政府の足元を揺さぶる。
 民間企業関係者を脅せば、中国からの資本流出が加速する。
 日本だけでなく、他の国々も、「チャイナ・リスク」を認識するようになるであろう。
 「チャイナ・リスク」が世界のコンセンサスになれば、それで中国の発展は失速する。

 清朝というひとつの王朝の崩壊前夜を描いた『蒼穹の昴』が昨日からNHK総合で放映されているのは、何の暗示であろうか。ドラマとしては、「よい作品」だったとは思うが…。

 それまでには、日本は、黙って対中「臥薪嘗胆」をやっていく必要がある。無意味な悲憤慷慨ぐらい役に立たないものはない。前のエントリーでも書いたけれども、具体的には次の四つである。
 ① 日米安保体制の実質性の向上
 ② 防諜・情報収集に対する国内法制や態勢の整備
 ③ 中国に対する経済依存の縮小
 ④ 特にインド、ASEANといった海洋アジア諸国との提携
 ⑤ 日本在住中国人に対する保護
 結局、麻生太郎外相に提起された「自由と繁栄の孤」構想の復活である。⑤は、「日本の品格」を落とさないための配慮である。

 ところで、この船長の処分保留・釈放という那覇地検の判断が、検察審査会の議論に付託されたら、どうするのか。その議論の結果、「起訴相当」という議決が出たら、どうするのか。
 これは、ある意味では、興味深い思考実験である。無名の一般市民に対しては、中国政府の「圧力」は及ばない。一般市民には、政治家や官僚のように、「政治上の配慮」をしなければならない義理はないので、一般国民の認識がストレートに反映されることになるであろう。その場合は、那覇地検の判断が是認される確率は、余り高くないような気がする。
 無論、「起訴相当」の結論が出ても、船長は既に帰国しているし、その身柄の引き渡しを求めるのも、無理であろう。
 ただし、こういう記事が配信されている。
 

□ 「英雄」扱いの船長、尖閣に「また行く」
     読売新聞 9月26日(日)22時1分配信
 【北京=佐伯聡士、香港=槙野健】
 前略。
 一方、尖閣周辺での中国漁船の動きがさらに大胆になるとの懸念は、ますます高まっている。日本側に釈放され、「英雄」扱いされる中国漁船の●其雄(せんきゆう)船長は25日、香港メディアなどに「釣魚島に行き、漁がしたい。機会があれば、また行く」と語った。(●は「擔」のつくりの部分)

 検察審査会の「起訴相当」議決が出た後ならば、この船長が同じことをして逮捕されれば、それは、政治上の配慮を交えず、「即。起訴」となるはずである。日本が「法治国家」であることの意味は、そうしたことである。
 故に、こういう招待状を件の船長にだしておこう。
 「是非、尖閣への再訪をお待ちしております。その後、中国にはない人権保障の行き届いた監獄ライフです」。

 …とここまで書いたが、雪斎は、検察審査会に代表される司法手続きの細目を熟知していないので、間違ったことを書いているかもしれない。だから、ちょっとした思考実験である。

 最後に、前のエントリーでも、雪斎への「対米追随」批判を書き連ねている人々がいるようであるけれども、現在の局面での「対米追随」批判は、意図しようとせざるとにかかわらず、日本の「対中従属」を歓迎する結果を生むものであることを指摘しておこう。「誰に対しても、ひとしく『同じ顔』をむけられない」というのは、対外関係上の「常識」である。
 とりあえず、前原・クリントン会談で「尖閣は日米安保の範囲内」という明確な言質は得たので、日本政府には、次の四点は早急に実行してもらおう。
 ① 沖縄近海での日米合同軍事演習の決行
 ② 在日米軍駐留費負担の維持
 ③ 集団的自衛権行使の許容
 ④ 武器輸出三原則の緩和
 民主党政権下でも、①と②はできるはずである。③と④は、もし自民党に政権が移れば、間違いなく断行されるであろうし、民主党政権でも、できないことではない。
 日本国民が本当に「覚醒」してしまえば、憲法改正も断行される。
 どれも、中国共産党政府にとっては、「望まない結果」であろう。だが、こうした機運に日本を走らせたのは中国だと後で判らせればよろしい。

 日本jの人々は、のんびりしてもいられまい。さっさと仕事である。

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Comments

 魚釣島と同じ地番に住む者です。
「臥薪嘗胆」に強く同意します。もともと日清戦争の勝利が無ければここは中国領になるはずだったので,歴史に感謝しています。
 今回の騒動での一番の成果はクリントン国務長官が尖閣諸島も日米安保の対象だと明言したことです。90年代に同様の問題があった時モンデール大使は尖閣諸島は日米安保の対象外だと発言しており,そんな安保は必要ないと思っていました。
 
 

Posted by: 12 | September 27, 2010 at 12:45 PM

こんにちは。

一読し大いに納得しました。

政府は肚を据えて戦略を練り、敢然と実行してほしいです。

Posted by: よんちゃん | September 27, 2010 at 04:28 PM

 対中円借款とODAの一時凍結と、今回のフジタ社員達が従事していた遺棄化学兵器関連事業を「従事する日本人の安全に疑問があるため一時停止する」事は妥当ではないとお考えでしょうか? 後、中国人の日本へのビザ無し渡航も一時凍結はどうでしょう? こういった対応は③に含まれるのでしょうか?
 対米追随と非難する方がいるとの事ですが、中露米の何処と組むかとなると、アメリカしかないという事が解らないのでしょうか? 
一番考え方が近く民度の高さが近い。後自分もそれなりに豊かだから節操無くたからない。もっと臆面無い言い方をするならば、非近代国家の中露と近代国家であるアメリカ。日本が組める相手は同じ近代国家であるアメリカしかない。組んで大丈夫なまともな相手がアメリカしかないという現実的解に基づくものなのだと。戦前なら大英帝国でしたが没落しましたし。
 

Posted by: almanos | September 27, 2010 at 05:24 PM

尖閣諸島沖で、日米両国海軍による「運動会」を開きましょう。
抗議されたら、「いや、あれは運動会。訓練じゃない」と白々しく談話を出しましょう。

Posted by: うおずみこうじ | September 27, 2010 at 08:00 PM

 日本の外交失敗と嘲笑気味の論評が目立つようですが・・中国に接した地域の反応は、やはり雪斎殿に近いようですね。
 レアアースの取材では「困りましたねぇ」とニコニコ顔で答える不気味なおっさんが出てきたりして、この会社はマゾの集団か(笑)と気を揉んでおります。
 ただ日本が世界に誇るイージス艦は、FRPの漁船にボコボコにされた経緯があり、中華海軍と飛び道具で渡り合うことは可能でも、突撃漁船にはあっさり降参ではと、大いに心配しております。巡視船の方が頑丈なのでしょうか。その道の方のアドバイスがいただきたい次第です。

 どうせ尖閣への上陸が彼らの目的なので、奄美で増殖しすぎたハブを千匹くらい放しておいてはいかがでしょうか(笑)
 そのうえで、かの船長の再来を待つのも一興かと思います。
 ああすいません。こんな不真面目なコメントでは、みなさんに笑われてしまいます。

Posted by: SAKAKI | September 27, 2010 at 10:15 PM

共産中国の真の狙いは何なのでしょうか。
彼らは何を得ようとしているのでしょうか。

「…どれも、中国共産党政府にとっては、「望まない結果」であろう。だが、こうした機運に日本を走らせたのは中国だと後で判らせればよろしい…」とありますが、狡猾な共産党政府はそれらリスクも織り込み済みではないでしょうか。
もっと彼らは長期的戦略的に考えていると思うのですが。
どこから得た情報かもわからないが、まことしやかに中国国内権力闘争を原因とする目眩ましの話もあります。これも彼らの工作だったり?
かような世論を錯乱させる情報作戦もお得意でしょう。

①日米安保体制の実質性の向上
②防諜・情報収集に対する国内法制や態勢の整備
③中国に対する経済依存の縮小
④特にインド、ASEANといった海洋アジア諸国との提携
⑤日本在住中国人に対する保護

①沖縄近海での日米合同軍事演習の決行
②在日米軍駐留費負担の維持
③集団的自衛権行使の許容
④武器輸出三原則の緩和
いいですね、これでやっと普通の国になれる。

が、長島氏ら民主党所属議員43人による首相あての「建白書」に対し、仙石官房長官は「中国は大事な隣人だ。自立した国家のあり方を国民全体で考えるときだ」と煮え切らない返答に終始、とあり。

「自立した国家のあり方」?
国益のためこの政権、倒れるより他ありません。

Posted by: 素浪人 | September 27, 2010 at 11:33 PM

いつも拝読しております。
市民による検察審査会への審査申し立てが、実際に行われた模様ですね。(産経9/27)

太平洋の海の同盟が一日も早く強化されるように、願っています。

Posted by: hyekstraust | September 28, 2010 at 12:57 AM

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