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September 21, 2010

兵の忿(いか)る者は敗れる

■ 中国政府の「エキサイト」ぶりには、既に滑稽の趣を感じさせるものであるけれども、どうしたものであろうか。
 

□ 中国が日本との閣僚級交流を停止、船長拘置に対抗措置
                ロイター 9月20日(月)11時20分配信
 [北京/東京 19日 ロイター] 中国外務省は19日、尖閣諸島(中国名・釣魚島)周辺で発生した日本の海上保安庁の巡視船と中国漁船の衝突事件を受けて、日中間の閣僚級以上の交流を停止した。日本側が中国漁船船長の拘置期間延長を決めたのに対し、強硬な対抗措置を取るとしている。
 中国外務省の馬朝旭報道局長は、ウェブサイトに掲載した声明で「中国は船長の無条件での即時釈放を日本に要求する」と表明。「日本が忠告に反して故意にふるまい、次々と過ちを犯し続けるなら、中国側は強烈な対抗措置を取る。すべての結果の責任は日本側が負うべきだ」と述べた。
 また、中国国営テレビは、別の外務省当局者の発言として、日本の決断は「中日関係に深刻な打撃を与えている」と報道。
 新華社によると、王光亜外務次官は丹羽宇一郎駐中国大使に対し、船長の拘置に「厳重な抗議」と「強い憤り」を伝えている。
              最終更新:9月20日(月)11時20分

 おそらく、この件に関して、中国政府が描いているのは、「日本の全面屈服によって事態が収拾された」という絵であろう。
 しかし、こうした体裁での落着は、日本政府の側からすれば、ほぼ「ありえない」落着である。
 ① 日本は、外国の圧力で司法手続きを曲げることはない。「司法の独立」は憲法秩序の大原則である。
    日本は、中国のように、「党」の都合で「国家」が、どうにでも動くような国ではない。
 ② 日本が安易な妥協をすれば、「南シナ海」が不安定化する。日本政府の対応は、ヴェトナム、フィリピン、インドネシアが注視していることを忘れてはならない。

 日本政府は、どうすべきか。
 淡々と粛々と。
 これしかあるまい。
 来る日米首脳会談では、菅はオバマに、「尖閣諸島が日米安保体制に基づく防衛の範囲に含まれる」ことの確認を求めるのが、よろしいであろう。その再確認だけで、十分な「対中抑止」の効果が生じる。

 雪斎は、幾度も書いた。

 「小故を争いて恨み、憤怒して忍ばざる者、之を忿兵(ふんへい)と謂う。兵の忿(いか)る者は敗れる」。
 「人の土地、貨宝を利する者、之を貪兵(たんぺい)と謂う。兵の貪(むさぼ)る者は破れる」。
 「国家の大なるを恃み、民人の衆きを矜(ほこ)り、敵に威を見(しめ)さんと欲する者、之を驕兵(きょうへい)と謂う。兵の驕(おご)る者は滅ぶ」。

 中華文明四千年の知恵が詰まった言葉である。
 都合のよい時だけ、「中国四千年の歴史」を振り回す中国・共産党政府に、そっくり、この言葉を差し上げよう。

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Comments

基本的にはおっしゃるとおりだと思います。
ただ一点。中国に過った期待を抱かせたのは04年に魚釣島へ不法上陸した中国人活動家を送検せずに強制送還した小泉首相である点は指摘されるべきでしょう。
曰く「大局的な判断」とか。誤った判断だったろうと思います。

Posted by: シャイロック | September 22, 2010 at 05:37 PM

雪斎さん、
「全面屈服」「ありえない落着」で終りましたね。

日本の法律は中国共産党政府によってどうにでもなることが証明されました。
晴れて属国です。

でも仕方がありません。
「大訪中団」「東アジア共同体実現」、そのような政府を国民は支持し、しているのですから。
これも彼らの対日工作活動の成果でしょうか。

裏でアメリカのご指導もいただいたのでしょう。
これ以上迷惑なことをするな、対話しろと。
国務省のクローリー報道官は「われわれは尖閣諸島の主権に関してはいかなる立場も取らない」とはっきりおっしゃっております。

最大野党である谷垣卿率いる自民公家集団はどこへ消えてしまったのでしょう、こんな大事な時も。
これではガラガラポンも出来そうにありません。


平和な国、「日本」

Posted by: 素浪人 | September 24, 2010 at 05:02 PM

こんばんは
前回は二重投稿してしまい申し訳ありませんでした。
 本日、船長が釈放されちゃいましたね。タイミングが悪いように思えます。
 フジタの4名と人質交換でもしたのでしょうかね。あちらは解放軍が、農場やおもちゃ工場を持っていますから、ビジネスで生産現場の視察をしようにも、そこは軍管轄地(笑)。怖いですね。
 ところでフォーブス紙で、「中国は不動産市況崩壊で経済が低迷し、日本が再び中国を抜く」との予測が掲載されたようです。(もっとも統計上の中国の成長はアメリカを抜くまで続くと思います。)
 私が数年前に漫遊した感触でも、我が国がバブルに沸いた頃のリゾートと同じに感じられました。もし不動産バブル崩壊が予想以上なら、まさに世界の一・二位の大国の経済が傾いてしまっているのですから、こりゃ大変なことです。
 このような時、富を他国から奪って補おうという発想。まさに忿兵(ふんへい)、貪兵(たんぺい)驕兵(きょうへい)。
 上海在留10万人とも言われる邦人の安全が気になります。
 

Posted by: SAKAKI | September 24, 2010 at 11:05 PM

 といいたいところですが、船長引き渡しですよ。外需を伸ばし、内需をおろそかにして中国に屈服する破目になりましたね。中国に制裁食らったら、アウトの人たちが日本にうじゃうじゃ。

「勘定を感情に置き換える」など幻想ではないですか。「感情こそ勘定」でしかない。ヒステリックに大衆を扇動して、憎しみと怒りを扇動し、露にする外交こそこれからの外交ですよ。

もう「粛々と冷静な外交」では世界に訴えられません。無視されて終わりです。左翼の一部は日本は負けたんだよと高笑いしていましたよ。

新自由主義者たちの政策が日本をこんなにした。外需に頼る国は外国からの圧力に弱く、独立国のていもなさない国になった。失業者も増加し、希望のない国になった。

雪斎さん、この始末を、新自由主義者の人たちはどうつける気ですか。まあまた民主党の悪口を言って終わりでしょうけどね。

Posted by: ペルゼウス | September 24, 2010 at 11:51 PM

以前より、雪斎師匠の文章を拝読しております。このたび、検察が拘留を切り上げ、釈放したことに憤懣やるかたなく思っております。こんな腰ぬけ政府を日本人は我慢し続けなけれなならないのでしょうか。

Posted by: 小島師匠の弟子 | September 25, 2010 at 12:08 AM

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