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June 01, 2010

自己保身と「酷薄さ」

■ お決まりの展開というべきか。
 

□ 民主に鳩山包囲網=首相、続投へなお意欲   時事通信
 鳩山由紀夫首相の進退をめぐり政局は31日、風雲急を告げた。民主党執行部からも退陣論が表面化し、首相の求心力は一段と低下した。首相は続投へ強い意欲を示しているが、鳩山包囲網が敷かれつつある。参院選を前に、首相は厳しい局面に立たされた。
 「一両日中に首相と輿石東参院議員会長と3人で話し合う」。民主党の小沢一郎幹事長は31日夕の役員会の冒頭、首相の進退についてトップ会談で決着を付ける考えを示し、小沢氏らに対応を一任することが決まった。
 これに先立ち、小沢氏は国会内で急きょ、輿石氏らを交え首相と会談。しかし、わずか8分で終わったことから党内では情報が錯綜(さくそう)。「小沢氏が進退の話を持ち出そうとしたが、首相が温家宝中国首相が来日中であることを理由にさえぎった」(幹部)との憶測も流れた。
 米軍普天間飛行場移設をめぐる迷走、社民党の連立政権離脱を受け、報道各社の世論調査で内閣支持率はそろって続落。鳩山政権はずるずると失速し、参院選を控えた民主党の改選組からは「このままでは戦えない」との悲鳴が上がる。
 こうした中、高嶋良充筆頭副幹事長は31日、「首相の決断に懸かっている」と記者団に表明。高嶋氏は小沢氏に近く、自発的辞任を期待する小沢氏の意向を代弁したとの見方が出ている。
 ただ、小沢氏に批判的な議員は、首相が辞任に追い込まれれば「小沢氏も一蓮托生(いちれんたくしょう)だ」とけん制。渡部恒三元衆院副議長は記者団に「首相に責任負わせて、もっと悪いやつが生き残るのはどうか」と語った。首相自身も小沢氏らとの会談後、「(続投は)当然だ」と、退陣論を全面的に打ち消した。首相進退をきっかけに、党内対立に発展する可能性も否定できない。(2010/05/31-23:04)

 この記事で興味深いのは、渡部恒三元衆院副議長が発した「首相に責任負わせて、もっと悪いやつが生き残るのはどうか」という反応である。随分と露骨なものの言い方であるけれども、渡部さんの発言は、世の「常識」を反映した発言であろう。
 小沢一郎という政治家は、「逆境のときに誰かを支える」という振る舞いをしなかった。「郵政選挙」の後、前原誠司執行部の下の民主党が、「永田捏造メール騒動」で揺れた折、渡部さんが国対委員長という格下人事を引き受けてまで前原執行部を支える「義侠心」を示したのに対して、小沢さんは、実質上、見殺しにした上で、後継代表の座に就いた。こういう小沢さんの「酷薄さ」は、昔からのものである。小沢さんは、自分にとって都合が悪くなれば、師匠・先輩・盟友・側近と呼ばれた政治家も、そして政党ですらも次々と切り捨ててきた。それは、「郵政民営化」という政策実現の大義の下で、「刺客」を送り出した小泉純一郎さんの「酷薄さ」とは、大分、異質なものであろう。
 民主党の党勢失速は、鳩山さんだけに責任を負わせて済むものではない。何よりも、こうした小沢流の保身第一を旨とする「酷薄さ」が目につくのである。参議院選挙での民主党の獲得議席でjは、「30」という惨敗レベルの数字が出てきている。「鳩山では戦えない」のではなく、「鳩山と小沢では戦えない」というのが、正確であろう。

 妻をめとらば才たけて みめ美わしく情ある
 友を選ばば書を読みて 六分の侠気四分の熱
 恋の命をたずぬれば 名を惜しむかな男ゆえ
 友の情けをたずぬれば 義のあるところ火をも踏む

 この与謝野鉄幹の詩は、日本人の「常識」を反映している。「義のあるところ火をも踏む」ことをしない政治家は、少なくとも日本の庶民レベルの「常識」では受け入れられまい。もし、鳩山さんの首を飛ばすならば、そして現在の最悪の環境下で、小沢さんが「ポスト鳩山」の後始末を引き受けようとするならば、雪斎は、小沢一郎という政治家に対する評価を上方修正しよう。

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