保守政党の「革新性」
■ 英国の保守・自民連立内閣で外相になったのは、ウィリアム・ヘイグである。
1961年生まれだから、当年、49歳である。
ただし、忘れられないのは、13年前に保守党が下野した折に、党首に就任した時に、彼は36歳だったということである。彼は、結局、党首としては政権を奪回できず、党首の座を退いてからは「無役」に徹していたわけであるけれども、政権奪回を機に表舞台に復帰したわけである。
英国保守政治の系譜を観ていると面白いのは、「変わった人物」が党首になっているということである。
たとえば、次のような具合である。
○ ベンジャミン・ディズレーリ
: 先代はユダヤ教徒
○ ウィンストン・チャーチル
: 家自体は名門だが、母親が元・植民地である米国の銀行家の娘
○ エドワード・ヒース
: 大工(労働者階級)の息子
○ マーガレット・サッチャー
: 雑貨屋(下層中流階級)の娘、最初の女性党首
○ ジョン・メージャー
: サーカス芸人の息子、高校卒業が最終学歴
○ ウィリアム・ヘイグ
: 36歳で党首就任、保守党史上初の「首相になれなかった党首」
だから、日本の自民党も、保守政党である限りは、行く行くは、「三十歳代の総裁」であるとか「母親が外国人である宰相」であるとか「憲政史上初の女性宰相」であるとか「父親の代には芸人だった宰相」を登場させるぐらいのことは、考えたほうがいいのであろう。保守政党には、こういう「革新性」が必要とされる。「格差社会」を超える論理を提示するのも、野党であるうちに準備しなければなるまい。
因みに、現党首・首相のデーヴィッド・キャメロンは、王室とも縁続きで、イートンからオックスフォードという典型的な「英国エリート」の経歴である。久々に「いかにも英国エリート」だと思わせる保守党宰相の登場であるけれども、これももまた、英国保守政治の相貌である。
ところで、英国保守党といえば、その「いかにも…」という風情の宰相として忘れられないのは、、アレクサンダー・ダグラス―ヒュームである。1980年代末期、最晩年の開高健が彼の邸宅を訪ねたとき、迎えた男爵が着ていたのは、ところどころに穴の空いたセーターであった。開高健が『釣魚大全』を書いたアイザック・ウォルトンよろしく、ローランド(スコットランド低地地方)の川で釣りをやるという趣向のTBSの紀行番組のワン・シーンだった。「英国貴族の穴開きセーター」には、かなり印象を受けている。もっとも、そのセーターというのは、上質のモノを長年、着古したものであったらしい。若き日の雪斎に、「保守主義の精神」のイメージを感性レベルで鮮烈に植えつけたシーンであった。そういえば、昔、一度だけ、川釣りをやったことがある。「Study to be quiet.」(静穏なることを学べ)とは、ピューリタン革命の熱狂の時代を生きたアイザック・ウォルトンが残した言葉であった。それは、「保守主義の精神」に通底しているのである。
話は替わる。鳩山邦夫氏が、自分の子息を「新党改革」から擁立だそうである。子息が前面に出るならば、ともかく何故、こういうことに父親が出しゃばるのか。この家系の「過保護体質」は、兄弟共通なのか、祖父以来の「遺伝」なのか。
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