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April 26, 2010

日米同盟の「可測性」

■ 藤原書店から出されている季刊学芸誌『環』最新41号が届けられた。
 雪斎は、下記の論題で原稿を載せている。
  ● 日米同盟における「可測性」の本質【戦争の「遺産」を踏まえて】
  『環』最新号が「日米安保を問う」という誠に時宜を得た特集を組んだので、雪斎jの原稿は、その中の一編と収録されている。もっとも、『環』という雑誌は、誠に真面目な雑誌であり、他の執筆者の政治上の立場も、さまざまである。雪斎自身は、「よく書けた原稿」を載せたと思っている。 

 この原稿では、雪斎は、「可測性」という耳慣れない言葉をキー・コンセプトとして論述を進めた。「可測性」とは、「…になれば、…するであろう」という行動のパターンが、互いに読めるという状態を保つということである。日米両国は、それぞれ、この「可測性」を保ち続けることが、同盟運営の「核」になってきた。米国の「可測性」とは、日本や日本周辺の「有事」には在日米軍部隊が機敏にして適切に対応するであろうという趣旨である。片や、日本の「可測性」とは、そうした米国の「可測性」を損ねないために普段からの努力を傾注し、「有事」には米国の立場を支持し必要な対米支援を確実に提供するという趣旨である。
 逆にいえば、「…になっても、…しない(できない)かもしれない」という意味の「不可測性」が生じれば、同盟運営は、不安定になる。その不安定の芽を摘んでいくのが、同盟の文脈で普段から手掛けられることなのであろう。
 普天間基地の扱いは、この同盟関係における「可測性」ということに密接にかかわっている。鳩山内閣は、日本の「可測性」を大いに損ねる対応を繰り返した。鳩山内閣の本音が、「安保破棄」という「反米」色の強い対応することにあったとしても、その論理が筋の通ったものならば、米国も対応ができよう。しかし、丁度、壊れたテープレコーダーのように、くるくる回って、流れてくる音楽が「音飛び」ばかりならば、聴いているほうは、途方もなく苛々する。鳩山総理が嫌われたのは、要するに、「音飛び」ばかりが多くて、どのように相手にしたらよいか疲れる相手であるからあろう。鳩山総理を評したb「ルーピー(loopy)」という言葉には、そうした意味合いがある。だから、鳩山内閣が対米関係に与えたダメージは、甚大なものであろう。それだけではなく、米国以外の国々にとっても、「可測性」の担保されない日本を外交上、相手にすることは、気の進まない営みであろう。
 ところで、この原稿でも、永井陽之助先生が四十年以上も前に残した次の記述を引用した。 
 「もし、“大東亜戦争”に、なんらかの歴史的意義があったとすれば、それは、…太平洋という海洋をはさんで相対峙した二大海軍国が、心から手を握るために、支払わねばならなかった巨大な代償であったという点に求められる。…留意しなければならない国防と外交の第一原理は、米国を敵にまわしてはならない、ということである。この根本を忘れるならば、あの太平洋で散った英霊の死をまったく犬死にすることになろう」。 
 永井先生は、学徒出陣で応召し、台湾で終戦を迎えた。彼は、日本史の中では最も「犠牲」の大きかった世代の一人であろう。雪斎は、その永井先生の認識の系譜を微力ながら受け継ごうとしているに過ぎない。現在の日米同盟が、無数の人々の「血」の上に築かれた同盟ならば、それを生かそうとするのは、「英霊」への礼儀であろう。
 最近、「スター・バックス」がインスタント・コーヒーを発売した。一飲、「旨い…」と思った。「スター・バックス」の店でコーヒーを頼んだことはないけれども、この新製品は、率直に見直した。ただし、生まれて、この方、浦安にある「米国産ねずみ遊園地」にはいったことがない。ジーンズは高校生の頃以降は、履いたことがない。「ハンバーガーを食うくらいなら、サンドウィッチだろう…」と思う。雪斎の「親米派」の度合いを趣味とか嗜好の観点から測れば、大分、低いはずである。
 親米だの反米だの下らぬ議論で「モノが判った」ように語る御仁の何の多いことよ。


■ 何故か、坂本冬実さんのアルバム「Love Songs―また君に恋してる」を聴く。
 これは、いいアルバムである。
 特に、「夏をあきらめて」と「シルエット・ロマンス」は、絶品であろう。
  ついでに、徳永英明さんのアルバム「VOCALIST 4」が出たので、これも聴く、
 これは、最終曲の「ラブ・イズ・オーバー」が「肝」だろうなと思った。

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