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April 05, 2010

「沖縄」というクォーター・バックは機能するのか。

■ 「腹案」とは、これのことだったのか。
 

□ 普天間機能、徳之島に移転を=関係閣僚に調整指示-鳩山首相
                        4月4日22時34分配信 時事通信
 鳩山由紀夫首相が米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題をめぐり2日に行った関係閣僚との協議で、普天間のヘリ部隊を鹿児島県の徳之島に極力移転するため、米側や地元との調整を指示していたことが分かった。与党関係者が4日、明らかにした。
 政府は当面の移設先として、沖縄県名護市などにある米軍キャンプ・シュワブ陸上部を想定。同時に、訓練などの基地機能を、徳之島をはじめとする沖縄県外に分散移転することを目指している。首相の指示は、県外の移転先として、徳之島を軸に調整を進めたいとの考えを示したものだ。
 ただ、与党関係者は、米側が普天間に駐留する海兵隊の航空部隊と地上部隊の一体運用を担保するよう求めていることを踏まえ、ヘリ部隊だけの徳之島移転については「無理だ」と指摘した。 

 アメリカン・フットボールの陣形に、「ショットガン・フォーメーション」と呼ばれるものがある。プレーが始まると、レシーバーがフィールドの方々に散り、そのレシーバーにクオーター・バックがパスを通すことで、ヤードを獲得することを企図した陣形である。これは、プレーヤーがボールを持って突進するラン・プレーを初めから期待していない。
 上手いくけば、一気に何ヤードも獲得できる陣形である。1980年代、最強だった頃の日本大学チームが多用し、その代名詞ともなっていた陣形である。
 ただし、これは、クオーター・バックが瞬時に、レシーバーにパスを渡す判断力を発揮することを前提とした陣形である。相手方ディフェンス陣が機敏にクォーターバックにプレッシャーを掛けて、ボールを的確に投げられない状態にしてしまえば、その陣形は崩壊する。1980年代後半、後に「伝説的QB」と呼ばれた東海辰弥さんを擁した京都大学チームが、日大チームを超えたのも、日大の「ショットガン」を封じたからである。
 日米安保体制は、何のためにあるのか。少なくとも、日米安保再定義以降、日米安保体制は、「アジア・太平洋における安定の礎石」と位置付けられている。「安定の礎石」が「安定の礎石」である所以は、「アジア・太平洋の有事には在日米軍部隊が迅速にしてて適切に対応する」であろうという「可測性」にある。逆にいえば、「有事にも米軍は動かないかもしれない」という疑念、即ち「不可測性」が生じると、途端に「安定」が怪しくなる。朝鮮戦争は、金日成が「どうせ米国は動かないだろう」と読んだ上で韓国に侵攻したことから始まった戦争である。そうした事態の再現を防ぐために、「米国は確実に動く」ための条件を支えていこうというのが、再定義以後の日米安保体制の趣旨なのである。そして、東アジアにおける「安定」が維持されることは、日本の安全保障にも寄与する。
 沖縄は、東アジア地域における米国の「ショットガン・フォーメーション」の「クォータ・バック」としての位置を占めている。そして、沖縄の在日米軍の最も大事な機能は、海兵隊の機能である。そもそも、海兵隊は、「海を渡って陸を制圧する」ことを目的にした軍事組織である。海軍や空軍では「陸の制圧」はできない。陸軍では、「海を渡る」ことはできない。だから、海兵隊は、第二次世界大戦中は、ガダルカナル、タラワ、サイパン、硫黄島、沖縄での闘いを通じて、「海を渡って陸を制圧する」経験を積んできた。そして、朝鮮戦争時の仁川上陸作戦発動に際しては、主力部隊として投入された。朝鮮半島や台湾海峡で「有事」が起これば、地勢上は最も近い沖縄駐留部隊が対応する。それが、沖縄がクォーター・バックであるということの意味である。
 普天間基地移設が、これだけの難題になっているのは、それが海兵隊の機能に直接に関っているからである、
グァムや他の土地に移設すれば、クォーター・バックではなくハーフ・バックやフル・バックから、レシーバーにパスを通すなことをしなければならなくなる。キャンプ・シュワブ陸上移設のような案では、クォーター・バックの片腕を縛るようなものであろう。
 鳩山由紀夫総理が先週、出してきた「腹案」というのは、クォーター・バックを機能させるということに関していえば、どこまで実効性があるのか。そもそも、徳之島は、移設地としては既に検討されていたところで、不適切という結論がでていたはずである。海兵隊の「実戦部隊」と「ヘリ部隊」が分離できるという想定も、おかしい。これは、
海兵隊部隊に「迅速に対応するな」と求めているのと同じことである。防災上、「消防士」と「消防車」は、同じ拠点に配置すべきものであって、それぞれ離れたところに配置したら、、迅速な対応ができなくなる。
 こうして考えると、現下の鳩山内閣は、日米安保体制の「再定義」の意義を理解しているのであろうかと疑いたくもなる。もしかしたら、鳩山由紀夫という政治家の日米安保観は、「再定義」以前のままなのではないか。

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Comments

海兵隊は「地上兵力と航空部隊はヘリで20分以内
の位置である事」を条件に掲げてます。
台湾有事に即応する為の必須条件と見ているのでしょう。
徳之島は辺野古キャンプ・シュワブから約200km
ヘリは巡航速度は250km/h程度なので約48分掛か
るので厳しい様に思います。

Posted by: えうのい | April 05, 2010 at 10:16 PM

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