« 「沖縄」というクォーター・バックは機能するのか。 | Main | 「哀れでイカレタ」宰相を戴く悲劇 »

April 09, 2010

衝撃の「復帰」?

■ この記事には、率直に腰を抜かした。。
 

□ 小泉元首相、政界復帰を決断
               東奥新報 2010年4月9日 05:00
 自民党の小泉純一郎元首相が、次期衆議院議員選挙に立候補する意向を固めた。八日夜、次男の進次郎議員が東京都内で明らかにした。近く、自民党の谷垣禎一総裁、大島理森幹事長と会談し、正式に決定される見通しである。比例代表南関東ブロックからの立候補が有力されている。
 小泉氏の「復帰」表明によって、政界は激震に見舞われそうだ。
 

  …と書いたが、この記事は、「捏造」である。「東奥新報」なる新聞社も存在しない。故に、「小泉元総理の
政界復帰」という話も、事実無根である。「一週間遅れのエイプリル・フール」だと思えば、よろしいであろう。

 雪斎が尊敬する戦後の政治家は、既に書いたとおり、シャルル・ド・ゴール、ウィンストン・チャーチル、吉田茂である。この三人の政治家に共通するのは、何か。それは、「一度、政権の座から降りた後に、再び登板した」ということである。
 この数週間、自民党機関紙「自由民主」に、ド・ゴールの政治指導に関する原稿を寄せている。ド・ゴールは、戦後に成立した第四共和政の下で、首相に就任した。だが、第四共和制とは、「統治」能力に乏しい政治体制であった。だから、ド・ゴールは、「この時代ほど、政党、財閥、労組、新聞が―これらは現代の封建勢力だ―支離滅裂な勝手な自己主張を唱えるのにふさわしい時代はなかったのではなかろうか」と書いたのである。第四共和制は、アルジェリア危機に際して、機能不全になる。ド・ゴールは、危機に際して、政界に復帰し、政権掌握以後には憲法改正を断行して、第五共和制を樹立した。この体制の下で大統領が手にしているのは、首相任免権、国民議会解散権、国民投票付託権、非常事態措置権、軍統帥権、条約批准権といった権限である。そして、ド・ゴールは、こうした強大な権限を背景にして、危機を乗り切り、「フランスの偉大さ」の実現に向けて邁進したのである。
 現下、小泉純一郎という政治家を蛇蝎のごとく嫌っている人物は、いるかもしれないけれども、現在のような政界の「液状化」が今後も進むようならば、雪斎は、小泉元総理の「再登板」は「あり」だと思う。小泉元総理は、現時点でで、まだ68歳である。ド・ゴールの再登板が68歳、チャーチルは75歳、吉田茂が70歳である。チャーチルは別として、ド・ゴールと吉田の政治家としての「業績」は、初登板ではなく再登板のときに残されたのである。だとすれば、もう一度だけ復帰してもらっても、いいような気がする。そして、次の執政期には、四十歳代を中心に「次の人材」をしっかり育ててくれれば、よいであろう。吉田茂における「吉田学校」が、そうであったように…。
 この数年、「構造改革」路線の展開に際して、「誰が敵で誰が味方か」は、炙り出されたと思う。亀井静香大臣が進めているような「逆流」が平然と行われているのは、現在の与党も野党も、「もう小泉はいない…」と高を括っているからである。「もし、戻ってくるかもしれない…」と可能性を考えれば、これは、「恐怖」であろう。
 というわけで、前の「捏造」記事には、雪斎の願望も少しは混じっている。だが、ド・ゴールの事例を考えると、それは、「夢想」の類で片付けられるのか。

|

« 「沖縄」というクォーター・バックは機能するのか。 | Main | 「哀れでイカレタ」宰相を戴く悲劇 »

国内政治」カテゴリの記事

Comments

雪斎さん、小泉元首相はチャーチルでも、ド・ゴールでも、吉田茂でもありません。

そんな事をすれば「マライの虎」と呼ばれた山下奉文将軍が「フィリピンでは猫になってしまった」と同じ結果になるでしょう。小泉氏も自分のやった事を否定されれば反論はしても、自らかつての栄光まで失うことはしない。

雪斎さんを観ていると昔「聖戦貫徹」「本土決戦」を叫んだ人たちと似ているように思えてならない。構造改革?それはなんですか。民間に出来る事は民間でというのは、警察をやめて自警団へと同じ部分があり、民間活力なるものが実は単に日本の景気が良かったから輝いていたにすぎず、風がやんでしまえば、世界の多極化にも9・11以後の世界変化にも対応できない事に民間なるものも官なるものと変わらない現実がある。

自助?大量の首切りや国の弱体化は構造改革によるものでなくてなんでしょう。そして世界情勢の変化に対応できない対米追従。小泉さんが似ているのは、文化大革命で大勢の人間を悲劇に追いやり、改革と称した毛沢東でしょう。

現実主義を唱える雪斎さんがこういう事を書く事自体残念でなりません。

Posted by: ペルゼウス | April 09, 2010 06:55 AM

はじめまして。保守の良心を見る思いで、随分前より雪斎さんのブログや記事を愛読させていただいております。

私も、イラク戦争や郵政解散のときに見せた小泉元総理の動物的とも言える判断能力には信頼を置いていた一人ですが、
彼の人材育成能力自体には疑問符をつけています。

小泉氏自身は「麻垣康三」を後継者候補として、意識的に競わせていたように見受けられますが、
結論から言えば、彼らは長期政権を築きあげることに失敗しています。
福田・麻生の両氏は、困難な政権運営を強いられたという汲むべき事情もあったかと思いますが、
安倍氏については、復党問題や「戦後レジームの脱却」路線で、自ら前政権の支持基盤を切り崩していったことに、同情の余地はないでしょう。

しかし、そのような人物を後継者に仕立て上げたのは、残念ながら他でもない小泉氏なのです。

Posted by: amur | April 09, 2010 12:02 PM

いつも読ませて頂いていますが、今回ばかりは残念でなりません、なぜ小泉を持ち上げますか?私もずっと自民党支持でしたがあの人の登場で考えが変わりました。
私も先生と同じ歳ですが、小さな政府とか郵政民営化とかを聞かされた時からおかしいと思うようになりました。
私も経済学部でしたが、素人でもおかしいと思うような政策を臆面もなく堂々と表明して来た政権は異常でした。考えかたはいろいろでしょうが、今更あの人は不要です。前に進んで下さい。

Posted by: 佐々木 | April 12, 2010 11:05 PM

しかしまあ、雪斎さんが去年8月に紹介していたその小泉さんの言葉、「民主党内閣は半年で行き詰まる」という言葉、当たっちゃいましたね。
たぶん彼は予算編成のことをいってたんだと思うけど。

Posted by: KYY | April 13, 2010 01:32 AM

「恐怖」でしょうね。
液状化与党も、そして野党も。

内政も、外交も、これほどまでに行き詰っているというのに、自民もダメ、民主は尚更のダメ。
骨太の政策の前に骨太の政治家がいない。

福田、麻生、安倍、そして総仕上げの鳩山。
たぶん後世の政治史に残るでしょう。

現実主義の雪斎さんがここまで書く、書かねばならない。
この現実がまだ理解できぬとは・・・

自民を壊したその刀で、もう一度・・・
これも歴史に残る。


Posted by: 素浪人 | April 13, 2010 11:19 PM

正直に申し上げましょう。
ここ数年で最も胸が高鳴った瞬間は、冒頭の捏造記事「小泉再登板」を読んだ時でありました。
この閉塞感を打破できるのは彼しかおらんでしょう。
いつにも増してコメント欄が華やかなるも一興。
靖国の賽銭箱にチャリンと銭貨を投じて見せたあたりのケレン味が、好悪を分ける分水嶺でしょうかね。

Posted by: 虎視眈々 | April 15, 2010 02:16 AM

私は小泉さんが権力に固執することなく潔く退いた爽やかさに感動しているので、もし復、帰したらがっかりしてしまいますけどね。大事なのは小泉さん個人が復帰することではなく、小泉型のリーダー、すなわち「自分が何をやりたいのか、はっきり明示し」「それを国民に向かって語りかける」姿勢じゃないでしょうか。

Posted by: who | April 16, 2010 02:47 AM

小泉が日本を悪くしたという俗説がまかり通ってしまったのは、彼が引退してしまったことが大きいと思います。彼こそ森喜朗(笑)以上にしぶとく表舞台に居座って、反対勢力への反論を組織し続けてほしかったです。日本のために。

Posted by: aquamarine | April 16, 2010 04:57 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 衝撃の「復帰」?:

« 「沖縄」というクォーター・バックは機能するのか。 | Main | 「哀れでイカレタ」宰相を戴く悲劇 »