「野党」に耐えられない人々
■ 鳩山邦夫さんが自民党を離党したそうである。
「結局、元に戻ったのであろう…」というのが率直な感想である。
彼は、民主党結成の際のコア・メンバーだった。
野党としての自民党の戦略は、「相手を自滅させる」ということ以外にはない。解散の大権を民主党が握っている以上、民主党は、何が起ころううとも向こう三年間は「与党」であり続けられる。国民の支持ということを度外視すれば、鳩山由紀夫内閣は、あと三年半は続けられる。このことから判断する限りは、政局の主導権は、常に与党の側にある。これは厳然たる現実である。だから、自民党は、その間は、我慢に徹しなければならない。その点では、現在の谷垣総裁、石破政調会長という布陣は、決して悪くない。彼らは、間違いなく、「失点を極限できる」はずだからである。
日本には、自民党や民主党云々ではなく、「与党」を支持する層が相当な程度まで存在する。だから、普通に考えれば、与党の方が野党よりも支持率が高い状態が続くのは、当然である。自民党の支持率が上がらないからといって、おたおたするのは、愚の骨頂である。
故に。少なくとも、現在、自民党から出ていくような政治家を全く信用しない。要するに、彼らは、「臥薪嘗胆」の身の上に耐えられないことを告白しているのに過ぎない。
それにしても、鳩山邦夫さんという政治家は、「面白い」政治家である。彼は、「国民の運命」を玩具にしながら、道楽をやっている風情である。齢六十にもなって坂本龍馬に自ら擬えるのは、「政治的な未成熟」の現れでしかないとおもうけれども、鳩山さんは、持ち前の「邪気のなさ」を発揮している。雪斎は、そうした性向を羨ましいとは感じるけれども、自分には最も遠い位置にあるとも自覚する。雪斎も、「どこぞの馬の骨か判らぬ」身分だし、育ちも良くないので、ああいう「邪気のなさ」には、異次元にあるものを観るような気がするのである。
今、NHKで放映されている『龍馬伝』でも、福山雅治さん演ずる龍馬は、つくづく格好良い男として描かれ、それが香川照之さん演じる岩崎弥太郎の癪に触ったりするのであるけれども、雪斎は、このドラマを『裏・弥太郎伝)して観ているで、あの弥太郎の意地汚さには心底、共感する。雪斎も、学者の世界の中では、間違いなく、意地汚さでは筆頭クラスであろう。ところで、何故、今時の政治家は、龍馬に憧れをお持つのであろうか。
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Comments
何せ私の友人の友人はアルカイダなのですから(爆)、さぞかし誰も知らない秘策とかでもお持ちなのでしょう。
CIAも滝汗の御仁(意味が違うが)がこれからどうするか。正直民主党の将来以上に手に汗握る展開な事は確実ですね。
Posted by: ペルゼウス | March 17, 2010 06:00 PM
ちょうど八幡和郎氏の新刊の「坂本龍馬の「私の履歴書」」を読んだところだったので、龍馬熱の中での雪斎さんの醒めた見方に共感できます。(ドラマや小説に描かれているような)龍馬を見て、政治家があんなふうになりたいなんて思うのは未熟で有害なだけ、との論でした。
それはともかく、今回の鳩山邦夫論、そのまんま兄由紀夫に当てはまりますね。
Posted by: KKY | March 18, 2010 12:19 AM
>>日本には、自民党や民主党云々ではなく、「与党」を支持する層が相当な程度まで存在する。だから、普通に考えれば、与党の方が野党よりも支持率が高い状態が続くのは、当然である。自民党の支持率が上がらないからといって、おたおたするのは、愚の骨頂である。
そうでしょうか?野党は夢を語り、与党は現実を語らなければならない分与党の方が不利に思えるのですが。民主党にこれだけ失策があって自民の支持率が上がらないのは本当に国民が政治に絶望してきているのではないかと思えます。ここでナチス的な政党が出てくれば一気に人気をさらわれそうな気がします。
個人的には自民党にはそのまま政権をとり返してほしいですが、今の状況を見ると分裂は避けられないように感じます。
Posted by: 天和 | March 19, 2010 12:32 AM