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March 31, 2010

政治家と「趣味」

■ 政治を観察する熱意を喪失している。

 普天間基地移設に絡む右往左往が象徴するように、鳩山内閣の政権運営を真面目に観察するくらい阿呆らしさを感じさせるものはない。今月中に政府案を決めると思っていたら、「決めなければならない法はない」だの「二、三日ずれたって…」だのという言葉が聞かれる。日本の宰相は、言葉を「浮遊させる」ことでは天才的な技量を発揮しているけれども、政権与党の最高実力者は、「言葉の交換」という意味での対話を厭う姿勢において、この人の右にである人物はいまい。政治学者の仕事の素材は、活字であれ音声であれ政治家が残した「言葉」なので、下手をすると同じ日に違う趣旨の言葉が同一の政治家から発せられようなことがあれば、まともな分析や対応が難しくなる。外務大臣は、米国国務長官に「キャンプ・シュワブ沖移設は難しい」と他人事のように語っているけれども、そもそも「情勢を難しくした」のは、自党であることに どこまで留意しているのであろうか。

 ということで、一昨日夕刻以降は、クリスティアン・ティーレマン&ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートをサントリー・ホールで聴いた。
 曲目は、下の通りである。
 1 ワーグナー   : 楽劇「タンホイザー」序曲
 2 ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調 Op.77
        (ヴァイオリン独奏:ワディム・レーピン)
 3 ベートーヴェン : 交響曲第5番ハ短調 Op.67「運命」
 4 アンコール
   ワーグナー   : 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガ―」序曲

 何故か、最初の「タンホイザー」とアンコールの「マイスタージンガ―」にえらく感興を覚えた。
 ワーグナーの音楽は、「19世紀半ばのロックン・ロール」と評される評されるだけあって、まことに大きな陶酔感味わわせるものである。ワーグナーとも縁の深いバイエルンjに拠点を置くオーケストラの音色であれば、それはなおさらであった。
 三月中に、諭吉先生を五人分投下して、ワーグナーの楽劇「ニーベルンクの指環」で、サー・ゲオルク・ショルティ&ウィーン・フィルによるSACD版のものを購入していたので、準備運動には、丁度、よかったであろう。この「指環」のセットは、エソテリックというハイエンド・オーディオ機器の会社が一〇〇〇セット限定で出していて、楽天市場に一セットだけ残っていたものを間一髪のところで購入した。結構、貴重なものを入手できたと思う。それにしても、このエソテリックで出しているSACDプレーヤーには、最も高額なもので諭吉先生百四十人分というのがあるのを知って、率直に驚いた。
 ワーグナーは、亡命生活を送ったり、「他人の妻」を略奪したり、ルートヴィッヒ二世国王を初めとする多くのパトロンに膨大なカネを出させたりといった具合で、かなり無茶苦茶な人物である。その点は、「ウィーンの無法松・富島松五郎」を思わせるブラームスや「結婚できなかった純朴な田舎のおっさん」であるブルックナーとは、人間の「性質」が違う。世俗の「情念」と「欲望」と「官能」をどっぷりと感じさせるのが、ワーグナーの世界である。雪斎は、三十半ば近くまで「ワーグナーの世界」のファンであった。「イケイケな時期」というのは、「ワーグナーの世界」にハマるのである。日経平均株価も1万1千円台に戻ってきたこともあり、雪斎も、しばらくは、「イケイケな時期」に再び突入しようかと思う。この二、三年、「自然の癒し」を感じさせるブルックナーばかりを聴きすぎたような気がする。

 そういえば、現在の鳩山総理という人物は、玄人級と評されるほどの趣味を持っているのであろうか。
 小泉純一郎元総理ならば、ヨーロッパに行けばバイロイト」でワーグナーを聴き、米国に行けば、「メンフィス」でえエルビス・プレスリーの真似のエア・ギターを披露するといったように、「政治を離れた話のネタ」」には事欠かなかったと思うけれども、そうしたことが、鳩山総理からは見えてこない。政界随一の資産を持っているのであるから、趣味にカネをかけられなかったはずはないのだが…。聞こえてくるのは、夫人が韓流スターをひいきにしているとかという総理本人とは余り関係のない話である。彼のウェブ・サイトには、「クラシック音楽鑑賞」と書かれてあるのだから、たまには、そういう方面での蘊蓄を披露してもらいたいと思うl。何故、それをしないのか。まだ、弟の邦夫氏の方が、「玄人級の料理の腕」と「蝶の収集」が知られているだけ、楽しそうな雰囲気があるでないか。

 「仕事はできないのみならず、大した趣味もない」というのは、つまらない人間だと思われる。鳩山内閣の閣僚には、そうした人物しかいないような印象が出来上がりつつある。「鉄オタ」のような前原大臣のような姿を、もうすこし見せれば、いいと思うのだが…。鳩山内閣支持率は、20パーセント台突入目前である。もう、浮揚は、無理であろう。

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