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February 10, 2010

「55年体制」 vs 「ポスト55年体制」

■ 今月の論壇誌は、小沢一郎論が花盛りである。
 小沢と原敬を比較して、議論を進めている原稿が目を引く。
 ① 御厨貴   「賞味期限が切れた小沢一郎」『中央公論』
 ② 福田和也  「小沢一郎のちいさな『器量』」『文藝春秋』
 どちらも、「白河以北一山百文」ととばれた奥州に地盤を持つ小沢と原の「類似」と「相違」に着目している。
 御厨教授は、小沢に対する比較対象として、原に加え、星亨と田中角栄に触れている。
 星も原も、日本の政党政治に大きな足跡を残した。田中は、間違いなく、「戦後日本」を象徴する政治家である。
 だが、星も原も田中も、カネに絡む醜聞につきまとわれた。
 星は、「公盗の巨塊」と呼ばれた。
 星と原は暗殺された。田中は、刑事被告人として生涯を閉じた。
 それならば、小沢は、どうなのか。

 ところで、小沢一郎は、幹事長に居座るようである。石川知裕も、「離党も辞職もしない」と表明した。これでは、「居直り」と受け止められる。大方の日本人は、最も嫌う姿勢であろうl。鳩山内閣、民主党に対するダメージ・コントロールとしては、最悪の手順であろう。
 ただし、小沢一郎にしてみれば、民主党などは、所詮は「仮の宿」である。新生党、新進党が、そうであったように、民主党も、「使えるうちは使う」看板でしかない。そもそも、小沢は、自由党という小勢力のままでは展望が開けないから、民主党に合流して民主党を実質上、乗っ取ったのである。だから、小沢には、「党のために自分を犠牲にする」という発想は、露ほどもあるまい。その点は、民主党とのファウンディング・オーナーである鳩山由紀夫や菅直人とは、決定的に立場が違う。
 だから、「小沢ガールズ」とかと呼ばれる民主党新人議員も、所詮、小沢にとっては、「民主党を割るときも視野に入れた手駒」でしかない。民主党新j人議員は、新人とはいえ国民の負託を受けたのであるから、ひとりの独立した政治家として色々な所見を語って然るべきであろうけれども、小沢周辺が、それを許さないのは、彼らを「手駒」として使いたいからに過ぎないであろう。鳩山や民主党議員は、小沢との心中を覚悟しているかもしれないけれども、小沢は、鳩山や民主党と運命を共にしようとは考えてはいまい。

 小沢が民主党を割るという仮定の下で、雪斎の希望を書く。
 「自民党」+「民主党-(小沢系+旧社会党系)」+「みんな」の組み合わせで、三党連立をやってもらえないかなということである。小沢ならば、民主党を割っても、政権を餌にして自民党を抱き込んで影響力を残すことぐらいは考えているであろう。だが、雪斎は、自民党が、そういう誘いに乗ったら、それは、完全に「死」を意味するだろうと思っている。民主党内の野田佳彦、前原誠司、枝野幸男辺りと組めるようにしなけばなsまい。
 それは、どういうことか。
 現在、「民主党(小沢系+旧社会党系主導)」+「社民党」+「国民新党」という政権の枠組は、そのまま「55年体制」下の「自社談合」の構図のコピーである。現在、小沢に一番近いのが興石東だというのは、そのコピーの実態を物語っていよう。自民党が「小沢党」とてを組んではならない理由は、それが「自社談合」の現下のコピーの二枚目でしかいないからである。
 故に、自民党」+「民主党-(小沢系+旧社会党系)」+「みんな」という組み合わせの前提は、自民党が、どこまで「ポスト55年体制」仕様に変われるか」ということである。少なくとも、野田、前原、枝野と手を組んでも違和感がないくらいに、自民党のカラーを変える必要がある。最も甘く見積もっても、「小泉純一郎時代の自民党」の域には戻ってもらう必要がある。鳩や内閣支持率が降下しても、それtが自民党の反転に結び付かないのは、自民党の「自己変革」が不十分とみなされているからであろう。
 故に、今夏の参議院選挙で、どれだけ面白い人材を多彩に出せるかは、重要である。雪斎としては、「一九六〇年代生まれ以降」に限定して候補者を発掘してほしいと思っている。

 このエントリーは、敬称略である。

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Comments

こんにちは、いつもエントリーを楽しみに拝見いたしております。

最近、自民党のベテラン議員の方のお話を伺う機会が多いのですが、どうも皆さん「小泉改革は間違っていた、我々は『古き良き自民党』
に戻らなければ」と言う主旨の発言をなされるので大変残念な気持ちでおります。

(衆院選を「生き残った」自民党議員の方は、その多くがベテランで地方選挙区、かつ強固な55年体制型の後援会を持っているためかなと思いました)

私も、政界再編が起こるならばその一方は小泉型の改革志向勢力であって欲しいと願うのですが、実際には「55年体制」v.s.「55年体制」の様相を呈しそうで大いに心配です。

Posted by: savo | February 10, 2010 at 01:29 PM

さあ、私はそれは出来ないと思いますよ。
というのは今回小沢氏が居直りを決め込んでいるのは、俺が倒れれば民主党の権威は地に落ち、「外国人投票法」「非米路線」や「左」の目標とする政策・法案は通らなくなり、困るだろという本来なら権力の悪を暴くアングラ・ジャーナリズムや評論家諸子への脅迫が上手く行っているからです。そう、小泉首相が靖国参拝を盾に新自由主義路線を推進した手を自分なりに使っている。

小沢はけしからんと青筋を立てている人たちはそういうところにまったく気が付いてない。新自由主義者たちに至っては小沢氏が実は小泉首相以上に小泉的だという事も指摘できないどころか、オールド・リベラル派や保守派とも対立して、敵を助けているありさま。イデオロギー路線も結構ですが、現実主義はどこへ行ったのですか。

そしてアメリカが鳩山さんたちと全面的に妥協したらどうなさるのでしょうか・・・。

Posted by: ペルゼウス | February 10, 2010 at 07:06 PM

いつもご高説を楽しく拝読しています。脱55年体制が必要なことには賛同しますが、検察とマスコミを使ってそれをやるのには賛成しかねます。もうそういう古くさい手法は金輪際、やめにして欲しい。例えば、石井事案がらみで厚生労働省の村木元局長の裁判が始まっていますが、検察の描いた虚構である可能性が高まっていますね。証明書の作成事務は末端の係員がやっており、局長が知らなかったことは十分にありえます。起案文書の決裁印など偽造できますから。このような下らない検察の策略で、彼女のように地道にすぐれた業績を上げて来た行政官が失職し、報われないのでは世の中真っ暗です。検察には有効なチェック機構がありませんが、チェック機構が無い行政は暴走するという法則性がありそうですね。

Posted by: 海辺の情景 | February 11, 2010 at 11:09 AM

いつも楽しみにしております。
今回は質問なのですが、以下の発言は、シビリアンコントロール上処分の対象となるのでしょうか?

★不適切発言で陸自幹部を文書注意 「『信頼してくれ』では日米同盟維持できぬ」発言で防衛省

・防衛省は12日、日米共同訓練の開会式での訓示で「『信頼してくれ』という言葉だけで(日米同盟は)
 維持されるものではない」と述べた陸上自衛隊第44普通科連隊長の中沢剛1等陸佐に対し、
 幹部自衛官として不適切な発言だったとして、文書で注意した。

 防衛省は中沢氏からの聞き取り調査などを実施した上で、「政治や外交を軽視すると受け取られかねず、
 首相発言を批判していると誤解を招く発言だ」と判断した。中沢氏は「結果として誤解を招くような発言をし、
 申し訳ない」と釈明したという。

 鳩山由紀夫首相は昨年11月の日米首脳会談で、米軍普天間飛行場移設問題をめぐり、オバマ大統領に
 「トラスト・ミー(私を信じて)」と伝えていた。中沢氏は「首相の発言を引用したり批判したわけではない」と
 コメントしたが、北沢俊美防衛相は12日の記者会見で、「最高指揮官(首相)の言葉を引き合いに
 出していることから、何らかの処置をする」と述べていた。
 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100212/plc1002122307020-n1.htm

Posted by: 一読者 | February 13, 2010 at 08:10 AM

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