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December 03, 2009

師走の最初の「与太話」

■ 師走である。
 行政刷新会議における「仕分け」の顛末は、興味深かった。
 第一に、「仕分人」と称される議員の見識の浅さが顕かになったことである。「政治主導」などという割には、財務官僚とと同じことをやっている。多くの学者の反発を招いた科学技術予算の扱いも、「日本は、技術で食っていくしかない国だ」という認識が根底にあれば、あの結果は出てくるはずはない。「とにかく削ってやろう」という意識が最初にあるから、こういう話になる。
 第二に、こうした議員を「必殺・仕分人」などと呼んで称揚した一部のテレビ・メディアの阿呆ぶりが、よくわかったということである。来年、オリンピック・イヤーのときに、テレビ・メディアは、アスリートの尻を叩くに決まっている。彼らが、アスリートのスポンサーに成るのであればともかく、アスリート強化予算を縮減しようという「仕分け人」をたたえているのだから、愚劣としかいいようがない。他人の努力の結果だけを横取りしようとしているわけで会う。
 無論、このまま縮減とはいくまい。
 もし、科学技術関連予算を「復活」させるのであれば、その復活のプロセスも、「ガラス張り」にしてもらう必要があろう。「事業仕分け」の意義が、「透明性」確保にあるならば、「復活」その他のプロセスにも、「透明性」を示してもらう必要があるわけである。
 それにしても、現下の内閣ぐらい、「頑張って何かを成し遂げよう」というモティヴェーションを下げるのも、珍しい。科学技術もスポーツも、世界を相手に戦っている領域である。そうしたところを支援しないで、何をしようというのであろうか。
 そもそも、日本の戦後復興が「湯川秀樹」と「古橋広之進」から始まったことは、既に忘れ去られたのか。

 結論からいえば、スーパーコンピューターに代表される科学技術予算、アスリート養成予算の復活は、「自明」の話である。
 ただし、「復活」のさせ方には、注意を払う必要がある。
 「復活させたのだから、恩に感じよ」という姿勢が、民主党筋に出て来るなどということは、ないだろうなと雪斎は危ぶむ。実際、現在の陳情のシステムは、小沢一郎民主党幹事長の下に一元化しようという動きがあるらしい。その陳情の中には、仕分けされた事業の「復活」も含まれているらしい。学者もアスリートも「小沢詣で」をやることになるのであろう。昔日の「目白詣で」の再現である。

 それは、どこかで見た風景である。
 映画『ゴッドファーザー―』にも、似たようなシーンがあったような…。
 下っ端が「殺るぞ」と凄んで見せて、親分が「まあまあ、手荒なことはしなさんな…」と柔和な表情で迎えるというシーンである。これで、多くの人々は、「親分」に心服するのである。
 さしずめ。「仕分人」議員が「下っ端」で、小沢一郎幹事長辺りが、「親分」というところか。
 こうして、予算が復活して、学界もスポーツ界も、民主党、正確には小沢幹事長に心服する。
 「愛されるよりも、恐れられよ」。
 政治の術策としては、誠に巧妙な対応である。
 
 そうか。初めから、これを狙っていたのか。

 師走の最初の「与太話」である。読者には、真面目に反応しないように期待する。
 最近、「真面目な」人々を相手にするのも、疲れるので…。

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Comments

初めまして。

>「日本は、技術で食っていくしかない国だ」という認識が根底にあれば、あの結果は出てくるはずはない。

これは、全体として、こう言う結論を出すのでは無く、個別の事例について、批判すべきでは無いでしょうか?

例えば、話題になっている次世代スパコンの仕分の様子を音声ファイルで聞いてみましたが、文科省/理研側が言っている事が本当なら、あのプロジェクトは、IT業界における失敗事例の典型的パターンに陥いっているように感じました。
個人的には、次世代スパコンに関しては、一旦、凍結した方が傷が少なくて済むように思います。

とは言え、次世代スパコンの仕分については擁護しているが、他の件については、問題が有ると考えている科学者も居ます。
例:http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/
ですので、全部まとめて、おおざっぱな結論を出すのは、逆に仕分の問題点が見えなくなるのでは無いでしょうか?

Posted by: 万年下っ端プログラマ | December 04, 2009 at 07:06 AM

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