自民党凋落の「ミッドウェイ」
■ 三年前、安倍晋三内閣発足、二ヵ月後、雪斎は下記の四つのエントリーを書いた。郵政「造反組」復党の是非で自民党内がもめていた頃である。
① 木っ端を溜めて…
② 続・木っ端を溜めて…
③ 政治は「二流の仕事」である。 ④ 支持率40%の「防衛線」
雪斎は、「造反組」復党には、否定的であった。雪斎は、「これでは、幾らなんでも…」と大いに落胆した。「もう。『永田町』に居る意味もあるまい…」とも思った。愛知和男代議士が、その空気を察してか、「来年度以降、大学に戻れ…」という指示を出したので、その通りになった。お陰で、自民党の「凋落」をインサイダーとして経験するという精神衛生上、極めて悪しき環境に身を置くのは、避けられた。ついでに、このエントリーも、紹介しておこう。当時の雪斎の気分を反映したものである。
⑤ ♪ 祝・「造反組」復党 ♪
これは、自民党にとっての「ミッドウェイ」だった。空母4隻喪失と相成った日本海軍と同様、自民党も「無党派層の支持」を失った。後は、転げ落ちるばかりである。
一昨日のエントリーに接して、「今頃になって、安倍、麻生の未熟さに気付いたのか」という阿呆な反応をした御仁がいるようであるけれども、インサイダーだった時に上のようなエントリーを書き、「永田町」から出て行っているのであるから、安倍内閣期の執政に対する評価の辛さは、もう論ずべくもないのである。
もっとも、雪斎は、安倍元総理には辛い評価しか与えられないけれども、麻生総理の置かれた立場には同情的である。麻生総理の就任直後、襲来したのは、リーマン・ショックに伴う世界同時不況の大波であった。こうした大波の最中に解散に打って出るのは、どうみても不合理なことに違いなかったと思われるからである。雪斎は、「日経225が10000円台を回復をした後でしか、解散はできまい…」と思っていたが、実際、その通りであったということであろう。麻生総理は、轟々たる罵声の中で退場しそうであるけれども、とにかく危機を乗り切ったことだけは、後世、功績として語られよう。
ところで、ハンナ・アーレントの著作に『イエルサレムのアイヒマン』と呼ばれる題名のものがある。ナチスの蛮行において、個人の「責任」がどこまで問われるのかを考究した著作である。この著作は、刊行後に論争を巻き起こしたものであったけれども、この論争を後にアーレントが回顧して書いているのは、「『書いてもいないこと』で非難され、『書いてもいないこと』で賛同された」というものである。なるほど、前に触れたように、「書いてもいないこと」で雪斎に噛み付いてくる御仁は、確かにいる。政治家も、「語ってもいないこと」で頻繁に批判されるのであるから、難儀な作業である。
さて、雪斎と同世代の人材に限定して、各党候補にエールを送っておこう。
■ 自民党
東京20 木原誠二
千葉7 斎藤健
愛知8 伊藤忠彦
宮城6 小野寺五典
自民党に関していえば、この4名だけは議席を確保して欲しい気がする。小野寺さんは、雪斎の故地が選挙区である。付き合いも、17、8年前に遡る。斎藤さんは、彼が通産官僚だった頃からの知己である。貧しい家庭に育った刻苦勉励の人である。野に埋もれさせるには惜しすぎる人材であろう。雪斎は、「恵まれた環境で育ち、にもかかわらず大したことができていない」御仁が何よりも嫌いなのである。
■ 民主党
東京21 長島昭久
山形2 近藤洋介
京都2 前原誠司
民主党には関していえば、民主党云々はともかく、この3名だけはキャリア・アップしてもらう必要はあろうかと思う。
顔ぶれを観ていれば、別々の政党に居る理由が判らなくなるのは、雪斎だけであろうか。
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Comments
なんで麻生さんや安倍さんが総理になれて、斎藤健さんが代議士になること自体に苦労しているのですかね。隣の選挙区なのですが、彼ほどの経歴の持主がこまめに近所の集会所など回っているのをみると、好感を禁じえません(あまりに彼の印象が残っていたので、デパートの特産品コーナーで「健ちゃん饅頭」をみたときは、「まさか当選前から?」と思ってしまいました。実際は森田健作氏の饅頭でした……)。
Posted by: よし | August 24, 2009 04:04 AM
平沼グループが小泉チルドレンのグループ入りを決めたことには、雪斎さんの評価はプラスでしょうかマイナスでしょうか?
私はマイナス評価です。
自らの立場をはっきりせずに第三極を目指すということはできないと思います。
Posted by: なみすと | August 24, 2009 02:00 PM
斎藤健氏には吉崎君もエールを送っていましたね。昨日は民主党鳩山代表が北千住に来たので雨の中話を聞きましたが、雪斎殿があげた3人の民主党候補の中では政界の郷ひろみ、前原誠司氏に最も期待したいと思います。女性の支持も集まりそうで将来の日本を代表しても良い1人だと思います。
Posted by: 星の王子様 | August 24, 2009 08:22 PM
斎藤氏はどの党派にいても、将来の日本のリーダーたりうる人と思っていますが、補選の時といい、なんだか恵まれないですねえ…。官僚候補や苦労人というだけなら珍しくもないですが、おそらくは党派を超えて彼の資質は認めるところではないでしょうか。なんとか通ってきてほしいものですし、こうした大変な経験もリーダー候補の将来への糧かと。
Posted by: 萱野 | August 25, 2009 01:30 AM