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July 21, 2009

「次」の「次」への布石

■ 前に、民主党は、勝つならば、どかんと勝ったほうがいいと書いた。これは、政治学者として、二大政党制度のモデルを定着させようという問題意識に拠ればという視点での話である。
 このエントリーでは、自民党の下野の期間をできるだけ短くするという自民党の「軍師」の視点で書いてみよう。
 もし、どうせ民主党の政権運営は早晩、行き詰るだろうという展望を基にするならば、「単独では過半数を制することができない故に、社民・国民新両党と連立を組まなければならない」という状況のほうが、民主党の政権運営の難度は高まる。自民党は、現状では、政権維持が成れば「御の字」であろうけれども、少なくとも民主党が「大勝ち」することを阻止し、他党との関係に絶えず苦慮する状況を作らなければならない。民主党主導政権の「自壊」が生じやすい条件を作らなければならないということである。

 もうすこし可能性として考えなけれならないのは、「自公両党」も「民主・社民・国民新三党」も、ともに過半数を制することができず、その故に共産党がキャスティング・ヴォートを握るという事態である。多分、共産党は、自公現体制の終焉を大義にして首班指名選挙の二回目ぐらいに「鳩山由紀夫」と書くかもしれないけれども、その後の政権運営にまで協力するかは定かではない。雪斎の師匠であった山口二郎教授は、「共産党は『左の公明党』として民主党政権を支えよ」と力説しているけれども、教授の提案の通りに共産党が動くかは判らない。もし、共産党の協力がなければ、鳩山内閣は、羽田孜内閣時の「少数与党政権」と同様の立場になる。それでは、予算案も通せないという事態になる。更にいえば、鳩山内閣が共産党の意向を相当程度まで配慮して政権運営をしようとした場合、民主党内の保守・中道層が黙っていられるかは、これもまた未知数である。「自社・さきがけ政権」の折の自民党も、社会党右派の村山富市社会党委員長なればこそ首班に担いだのであって、共産党とまで連立を組むことになるなどは考慮しなかったであろう。
 こういう事態を想像してみれば、民主党は、単独政権でない限りは、政権を握った瞬間が「煉獄の日々」の始まりだったということになりかねない。
 案外、自民党は、こういう機会には、民主党内保守系議員に手を突っ込むということをやるかもしれない。また、次の選挙での民主党議席増分の多くは、小澤一郎前代表によって「チルドレン」されるるであろうという見方があるので、小澤氏が意のままに動かせる駒を七、八十くらい手にできれば、それで大連立を模索することjも考えられよう。総ては、、民主党が、どの程度の「勝ち」を収めるか次第である。民主党は、自民党を下野させたことを以て「勝ち」だと安心するわけにはいかないのではないか。
 だから、次の選挙で注目しなければならないのは、「政権交代が成るかどうか」はなく、「どのような按配での政権交代か」である。自民党も、「敗北主義」的気分に遣って浮き足立つくらい阿呆らしいことはないので、そのダメージの極限を徹底して図らなければなるまい。

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Comments

大変興味深く拝読させて頂きました。
私は参院の議席数などを考えると民主党は社民党と組むのではないか、と考えています。であれば自民は鳩山代表の献金問題、米国の核の傘について、安保政策全般、など社民党が決して妥協できない分野をつきまくっていけば、鳩山内閣はかなり苦しい事になるのではないかと考えています。
また民主党自身も、政権交代という大目標があるから、小異を捨てて結束しているだけだと思います。その大目標を達成した後、こういった分野の議論を次々と突きつけられれば、民主党内で異論が続出し鳩山内閣は身動きとれなくなるのではないでしょうか。民主党は政権奪取の為の抗争では自民党を圧倒するだけの力を見せましたが、政権を取った後どうする?と言う点については全く準備不足の感を否めません。来年の参院選挙で民主党中心の与党を過半数割れまで持っていければ、自民の政権復帰は早いのではないでしょうか。

Posted by: KAMURO | July 21, 2009 at 09:55 PM

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