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June 15, 2009

「聖」と「俗」

■ 何を考えたか、ラフマニノフのピアノ協奏曲第二番を聴く。教会の鐘を思わせる出だしが印象的な曲である。
 聴いたのは、下の演奏である。
 ● スヴャトラフ・リヒテル/スタニスラフ・ヴィスロツキ&ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団
 ● ウラジーミル・アシュケナージ/アンドレ・プレヴィン&ロンドン交響楽団
 ところで、このラフマニノフのコンチェルト二番というのは、かの辻井伸行さんのレパートリーの一つであるので、結構、認知度が高まっているのではないか。
 ただし、辻井さんの演奏は、雪斎は二十年後に聴きたいと思う。現在、彼のCDやDVDが俄かに売れるようになっているようであるけれども、それが『五体不満足』ブームの再来になるようなことだけは、避けてほしいものだと思う。こういう時節であればこそ、彼には、しっかりと足元を固めてもらいたいものであると思う。
 「盲目のピアニスト」などという下らぬ「話題性」が消えたところで、彼の演奏家としての境地に触れたいものである。
 彼は、「聖」の世界の人間である。

■ ところで、巷には、「障害」を偽装したい御仁が、いるようである。
 厚生労働省の局長が、日本郵政の不正ダイレクト・メール事件に絡んで逮捕されたようである。
 そういえば、札幌で障害者手帳の偽装申請に手を貸した医師と社会保険労務士が摘発されている。
 障害者であることを偽装して、国庫からカネを取ろうとしたということでは、どちらも共通した話である。
 厚生労働省案件に関していえば、下のような記事が配信されていた。
  □ 郵便不正:証明書発行で厚労省元部長「国会議員から要望」
 障害者団体向け割引制度が悪用された郵便不正事件で、厚生労働省障害保健福祉部企画課係長、上村勉容疑者(39)の上司だった同部の元部長=退職=が、障害者団体「凜(りん)の会」(解散)の証明書発行について国会議員から要望を受けていたことが厚労省関係者への取材で分かった。元部長が「議員案件」として、当時の企画課長(現局長)らに対応を指示したことも判明。厚労省が組織的に不正に関与していたかが、今後の捜査の焦点になりそうだ。以下、略。
   毎日新聞 2009年6月1日 2時30分(最終更新 6月1日 10時07分)
 
なるほど、局長逮捕という事態になるくらいだから、「永田町」から何らかの影響が及ぼされたというのは、不思議なことではあるまい。ところで、この国会議員とは、誰のことだ。とんでもないスキャンダルになりそうな気配ではある。
 それにしても、障害者であるということは、かほどまでに「儲かる話」だったのか。ちょっと、びっくりした。
 「障害者には、恩恵を施してやれ」という精神で福祉政策が回っている限りは、それをネコババしようという「偽装障害者」は、続々出てきそうである。下らぬ話である。
 雪斎も、こういう「俗」の世界を観察することを生業とした。果たして、それでよかtったのか。

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Comments

お久しぶりです。
 「凜(りん)の会」事件・・。
 公務員は刑事さんにとってイチバン落としやすいそうですが、キャリアの星たる彼女は一味違うようで、みんな自白しているのに「知らない」と潔白を主張しているようですね。障害者行政には清廉なイメージを担いでの女性の起用が多いのですが、裏目に出ちゃったのかなぁと思います。 
 ところで・・右のCD欄にワルターの大地の歌がありますね。温かみがあって模範的演奏などと世間では評判ですが・・こちらも女性(声)の起用ばかりを優先することに異議を唱えます(笑)
 初めて聴いたのが、運悪くバーンスタインのバリトン(笑)のやつで、誰が何と言おうとも、大地の歌はオトコに限るのです(笑)

 辻さんのラフマは、私も10年後が楽しみですね。80代の小澤征二氏と競演してくれたらと思います。
 ではまた・・

Posted by: SAKAKI | June 15, 2009 at 10:11 PM

「凛の会」の会長であった倉沢邦夫氏は民主党の参院議員の私設秘書。白山会の代表である守田義国氏は、前総務大臣の秘書にして白山会のライバルを糾弾する国会質問した民主党の議員に献金する間柄って話ですね。

検察も民主党案件ですから、慎重にやってると思いますよ。

Posted by: kv | June 16, 2009 at 10:21 PM

初めて投稿します。いつも雪斎殿の鋭い評論を読んで、思考の領域や深度を拡大させていただいています。ただ今回の文章で、疑問に思った点がありましたので、コメントします。それは、辻井伸行さんと「五体不満足」ブームを並列にしていることです。辻井さんは盲目を売りにしているわけでもなく、マスメディアがレッテルを貼るだけです。そこが乙武さんとの決定的な違いのはずです。雪斎殿は「20年後に聴きたい」とのことですが、若者の演奏が好きではないという理由だけなら、理解もします。でも、「盲目」ということが理由なら、疑問があります。自らの身体的ハンディを公言しておられる雪斎殿は、自身の評論や著作が20年後になって初めて読まれることがお望みでしょうか?メディアのレッテルに拘泥することなく、現在の彼の演奏を聴いて、雪斎殿が率直な感想と評価をされることが、20年後に聴きたい彼への的確な期待感に繋がるのではないかと思います。お節介なコメントでスミマセン。今後の益々のご活躍を期待しております。

Posted by: 守護猫クロ | June 23, 2009 at 03:39 PM

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