中川さんの立場
■ 「中川昭一財務大臣の状態がおかしい」というニュースが伝えられたとき、雪斎は、少し慄然とした。
昨日発表の2008年第4四半期GDPの速報値は、年率換算で二桁下落した。第一次石油危機以来とのことである。
第一次石油危機のときの日本の大蔵大臣は、愛知揆一である。「永田町」時代の雪斎は、彼のことを「先代」と呼んでいた。愛知和男代議士の岳父である。彼は、危機対応の最中に急逝した。実質上の「戦死」であった。当時の総理は、田中角栄である。田中は、「何故、この時期に…」と嘆いたそうである。
中川大臣の「変調」の報を聞いた時、雪斎が驚いたというのは、この愛知の故事を思い起こしたからである。
閑話休題、雪斎は、安全保障が専攻なのので、その立場からいわせてもらえれば、今は、テロリズムや大規模災害に類する「有事」であると思う。「有事」jにおける対応の仕方は、ただ一つである。「迅速に、そして果断に」。
「迅速に」。これは、当然であろう。対応が遅れれば遅れ、ほど、事態は悪くなる。先刻の米国での景気刺激法案の「肝」は、その規模というよりも、その「迅速さ」である。
「果断に」。これは、「火を消すのに水をけちるな」ということである。雪斎は、幾度でも書くけれども、平時においては、経済活動における政府の関与は極力、抑えられるべきものであると思う。だが、有事において、政府の役割が期待される局面では、政府は、その役割を果たすべきであろうと思う。故に、減税でも財政出動でもきることは、徹底してやるべきであろう。、早速、21年度予算の議論始まる前に、40兆円規模の補正の話が出てきているけれども、これも断行すべきであろうと思う。先刻のG7でも、各国政府が同時に景気対策をやるという合意がなされているのであるから、これは、国際協調の充分な大義が立つ。
中川大臣の表情から、「危機対応による憔悴」を観るか。それとも、「危機における緊張感の欠落」を観るのか。メディアや野党は、後者のほうなのであろう。実際のところは、よくわからない。酒豪として知られる中川大臣にしてみれば、「この程度までは大丈夫だ…」思ったのが、連日の危機対応で疲労が蓄積していたから、身体が持たなかったということかもしれない。イタリアでワイン・グラスに一切口をつけないというのでは、外交の礼儀の上でも、問題があろう。「経済有事」の前線指揮官なのであるから、その重圧たるや、相当なものであろう。雪斎は、記者会見をキャンセルして、ホテルで休んでいてもよかったのではないかと思う。
最後に一言、民主党は、早速、危機対応の対案を示すべきであろう。「経済有事」に何をしているのかと思う。問責決議案などで、また一日が空費されるのか。
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Comments
雪斎様、たいへん見識のある方だと思っておりましたが、今回のエントリーには失望しました。
民主が対案を出さない事と彼のプロフェッショナルで無い振る舞いは全く別の話。
にも関わらず、レトリックでもって「危機対応による憔悴」という方向に話を持っていこうとするとは唖然です。
最適解は党派よらず、経済政策において、もっとも有能且つ、国内外で信頼のおける人間を中川氏の席に当てること。
やはり立場によらず目を曇らせずにいる事は
難しい事なのですね。
Posted by: gaku | February 17, 2009 10:24 AM
そして愛知後任の福田蔵相の下で危機を収束したわけですね。酒というと泉山三六のほうが思い浮かびますが、この後任はほかならぬ池田勇人で、ここで初めて表舞台に出て、総理になるまで11年ですからね。与謝野氏も随分な修羅場に巡ってきたものです。
中川氏については酒より薬や疲労が大きかったようなので同情すべき点もあるのかもしれませんが、周辺のスタッフがもっと気を使って良い所かもしれません。
Posted by: KYKY | February 18, 2009 02:00 AM
中川さんは鬱ではないか、だとするとお父上の二の舞にならぬよう周囲が気をつけるべきだ、と精神科医の和田秀樹が書いている。
http://ameblo.jp/wadahideki
Posted by: 笛吹働爺 | February 19, 2009 12:09 AM