« 「最高の人材」の行き先 | Main | 小沢一郎の発言は、本気か画餅か »

February 23, 2009

経済の「大老」

■ 与謝野馨さんの財務・金融・経済三閣僚の兼任は、「経済の大老」としての職務を与謝野さんに担わせたということである。普通ならば、ありえない人事だろうけれども、「大老」というのは、江戸幕府の職制では、緊急時に設置される役職であった。井伊直弼の如くである。こうした情勢で、「大老」を担うのに与謝野さんでいいのかという議論はある。
 だが、下の御時勢では、「他に人材がいない」というのが決定的な足かせになっている。総理経験者の「降格復帰」を願ってもいい局面だと思うけれども、現役の「元総理」に経済案件に対応できる人物がいるとは思えない。元総理として蔵相になった宮沢喜一のような人物は、今はいない。
 尚、ここでいう「経済に精通している」ということの意味は、たとえば、日経CNBCやテレビ東京の報道番組で経済学者やエコノミストを相手に議論できるということではなく、財務省をはじめとする経済官庁の官僚を指揮できるということである。
 その意味では、財務・金融両相の選び直しという政治的なコストを減らして与謝野さんに託したのは、「無難な判断」であったといえるであろう。この「無難」という評に奇妙な反応をする向きがあるけれども、こういう反応を相手にするのは疲れる。
 もっとも、その「「大老」でうまくいかなければ、いよいよ、その政治体制全体の屋台骨が揺らぐことになる。これもまた、井伊大老の如くである。

 ところで、第二次補正予算案を成立させるのに、二ヶ月も掛かっている。実際には、関連法案が通っていないから、実行にも移せていない。この日本政府の動きの遅さは、どうしたのであろうか。
 だから、「政権交代が成れば…」という話になるのであろうけれども、幾度でも書いたとおりl、民主党の「政権運営には、何らの確証もない。加えて、来年夏には、再び参議院選挙である。この選挙で民主党が過半数を維持できなければ、今度は、民主党政権が「ねじれ状況」で苦慮することになる。この状況を喜ぶ人々は、党派的な思考を過剰に持つ人々は別として、あまりいないであろう。、
 こうした状況を考えると、「衆議院議席三分の二による再可決条項を安易に使うな」という小泉純一郎さんの発言の趣旨は、その通りなのである。「『三分の二』がある」と思った途端、その政治運営が粗いものになる。そうした罠に、今の麻生太郎さんの自民党執行部は、陥ってはいないか。小泉さんの一連の発言は、そうした危険を指摘しているのではないか。
 さらにいえば、「『三分の二』は使わない」ということで自民党政府が民主党への「協調」を模索すれば、そして、そうした「協調」を民主党が拒否して徒に審議拒否などということをやれば、世の指弾は、確実に民主党に向かうのであろう。こうしたことは、たとえ民主党政権になっても変らないであろう。民主党政権になっても、「粗い政治運営」をやれば、自分にはねかえってくることになる。だから、雪斎は、自民党に「縁」を持つ立場としては、自民党は、民主党政権になっても、今の民主党がやっているような審議拒否・引き伸ばしはやるなと書いておく。
 人間は、「力がある」と思った時局に誤りを犯しやすい。 

|

« 「最高の人材」の行き先 | Main | 小沢一郎の発言は、本気か画餅か »

「国内政治」カテゴリの記事

Comments

ねじれを何故解消しなければならないのでしょうか。私にはわかりません。ねじれによってさまざまな国の暗部が明らかになり、「分割して統治せよ」という事が実は自国の政治権力にも有効だという事がわかって来た。

政治的決定が遅くなるという事ですが、この何をすればよいのかわからない時代に早くしさえすればよいという事の方がおかしいでしょう。アメリカへの貢献でも海賊問題への対応でも経済問題でもなんのコンセンサスもなく突き進めばよいというものではない。

そうなると日本はアメリカから軽く見られると危惧なさるのでしょうが、テロとの戦いを広げより反発を買う道を突き進むアメリカについてゆくのは幕末に幕府への追従を選んで破滅した会津藩のようなもので、中国・韓国も手をもみさすりしてとは行かないでしょう。北朝鮮はアメリカとの国交回復のために人身御供として兵を出すなどの貢献をするでしょうが、それはコリアン全体として長い回教徒との対立の元になり、大きな災いを引き起こす可能性がある事を予測できないほど北の首脳陣も愚かではないはず。

ねじれを否定する考えこそがおかしいのではないでしょうか。

Posted by: ペルゼウス | February 23, 2009 at 10:45 AM

伊井大老ですか。息子の社会科の資料を見る機会が最近ありますが、江戸時代は波乱万丈。国民新党が自民党と合同し、亀井氏も旧三塚派現町村派に復帰などということがあればおもしろい展開もあるやもしれません。

Posted by: 星の王子様 | February 23, 2009 at 08:40 PM

福田さんも麻生さんも最初は協調を言い、そう振舞ってましたよ。それを裏切り続けたのは民主の側です。麻生さんがG20から帰った日の、彼らの言動をお忘れですか?

二次補正にしたって、民主が遅滞→越年→廃案にするリスクを考慮しなければ、2008年中に提出するのも不合理じゃありませんでしたけど。麻生さんは可能な範囲で最速の行動をとっていると思いますよ。

Posted by: Djinn | February 26, 2009 at 10:17 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/71618/44149052

Listed below are links to weblogs that reference 経済の「大老」:

« 「最高の人材」の行き先 | Main | 小沢一郎の発言は、本気か画餅か »