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January 18, 2009

バラク・オバマの幸運、ジョージ・ブッシュの功績?

■ 今週は、バラク・H・オバマの登場が最大のイヴェントであろう。就任演説がどのようなものになるかは、雪斎としても興味深々である。
 バラク・オバマの父親は、バラクの母親と離婚した前後に、数度結婚を繰り返し、その都度、多くの子供をもうけている。「公式でない」子供もいるようである。バラク・オバマの母親も、バラクの父親と離婚した後には、インドネシア人実業家と再婚し、子供を成している。バラク・オバマは、十人近い異母兄弟姉妹、l異父妹が世界中に散ばっているのである。彼が、「ウィ・アー・ザ・ワールド」と叫べば、実態としては、その通りになるのであろう。
 だが、現在のバラク・オバマの経歴や家庭環境は、「黒いウィリアム&ヒラリー・クリントン」と言っも差し支えないようなところがある。オバマは、シカゴ大学教授のポストを用意されていたほどの頭脳の持ち主であったし、夫人であるミシェルも弁護士である。二人の令嬢も名門校に入れたそうである。オバマは、アフリカ系であることを除けば、紛うことなき「アメリカン・エリート」としての足跡を刻んでいる。
 オバマは、一般には社会的な「弱者」と看做される階層から出でた人物かもしれないけれども、そうした意識を自らどこまで持っているかは定かではない。オバマの執政は、「マイノリティ」に傾斜するのか、それとも「アメリカン・エリート」の流儀を踏襲するのか。これは、オバマの執政の性格を占う上では大事な視点であろう。

 オバマの執政では、何よりも経済危機への対処が優先されることになる。そのことに関しては、すでにコンセンサスが出来上がっているようである。
 確かに、現状は厳しい。
 しかし、次のような記事も配信されていることは、留意しておいたほうがいいかもしれない。『読売新聞』もまた、「2010年に5%成長のV字回復、米経済報告が強気予想」という見出しの記事を配信し、そこには、「ブッシュ米大統領は16日、2009年版の大統領経済報告を議会に提出した。金融危機の影響で、国内総生産(GDP)の実質成長率が08年は前年比0・2%減のマイナス成長、09年は同0・6%増とわずかな成長にとどまるものの、10年には5・0%の高成長にV字回復するという強気の見通しを示した」と記されている。
 □ 信用危機、峠越えた可能性=PIMCOグロス氏
 [ニューヨーク 16日 ロイター] 米有力債券ファンド運用会社パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の最高投資責任者(CIO)であるビル・グロス氏は16日、銀行のバランスシートに及ぼす悪影響という観点で、信用危機は最悪期を脱した可能性があるとの認識を示した。
 同氏はカリフォルニア州ニューポートビーチにあるPIMCO本社からのビデオインタビューで「銀行はすでに巨額の資本注入を受けており、今後も公的資金が投入されるだろう。銀行のバランスシートいう観点では信用危機は最悪期を脱したようだ」と指摘。銀行貸出機能の回復に向けてあらゆる措置を講じ、住宅価格も底を打つ必要がある、と述べた。
 一方、社債市場は回復には程遠いとし、特にジャンク債(高利回り債)はデフォルト(債務不履行)リスクの上昇に直面しているとの認識を示した。
 PIMCOは、旗艦ファンド「トータル・リターン・ファンド」について、モーゲージ担保証券(MBS)の比率が2008年11月の81%から12月は62%に低下したことを明らかにしたが、グロス氏は、PIMCOが依然かなりのMBSを保有しており、MBSに対して弱気ではないとの見方を示した。
 
 こういう記事が出てくること自体、「夜明け」は近いのかもしれない。
 雪斎は、昔、気分が落ち込んでいた時に、しばしばやることがあった。厳冬期の夜に灯かりを消して、夜通しで中島みゆきさんの歌を聴くのである。無論、それは、「うらみます」とか「わかれうた」とかがある初期のナンバーである。気分が滅入っているところに、さらに滅入るようなことをするのである。そして、空が白々とし始めた頃に、かすかな光を眼にしながら、「それでも、夜は明ける」と思ったものである。「山より大きなイノシシはでない」と判ってしまえば、もはや慌てる必要ないのである。雪斎は、どちらかといえばポジティブな空気が出ていることに賭けたい。もしかしたら、あの「ハドソン河の奇跡」と呼ばれる先刻の旅客機事故の帰結も、「悪いことは続かない」と空気を米国国内に醸しだす材料になるのかもしれない。
 かくして、オバマは、ジョージ・W・ブッシュと異なり、「恵まれた大統領」になるのかもしれない。「何をすればよいか」が判っていて、それが国民にも合意されている指導者くらい、ある意味では楽なしごともない。逆にいえば、ブッシュが後世、史家に評価されるとすれば、その「何をすればいよいか」を明らかにして、オバマに委ねたということにあるのかもしれない。経済活動に政府は介入しないという本来の信念とは裏腹に、ブッシュは、最後の一年の任期中に色々な手を打ち、オバマに円滑にバトンを渡した。ブッシュは、ハーバート・C・フーバーの轍を踏まずに済んだ。雪斎は、その柔軟性は後世、きちんと評価されるであろうと思っている。
 そして、日本である。ポジティブな話を、そろそろ聞きたいと思う。何か、ないであろうか。こういうものでも…。
 ① 新潟沖に巨大油田が発見?
 ② 鹿児島に世界最大規模の新たな金鉱脈発見。「ジパング伝説復活」?
 ③ ガン撲滅に寄与する新薬の開発が成功?
 現実逃避みたいな話である。「いい話」は、自ら作り出さなければならないということであろうか。

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Comments

日本についても、経済危機で何をすればよいかは、今のアメリカの金融政策と財政政策を見ればわかるはずなんですけどね。国は違っても、経済学の法則が違うわけではないんですから。
「何をすればよいか」が判っているが、それが国民には合意されていないというのが、日本の現状なのでしょう。すでに判っていることを、国民に合意させることのできる指導者が、日本には必要なのでしょうね。

Posted by: Baatarism | January 18, 2009 at 12:20 PM

新潟沖に巨大油田はありません。地震のために、自然の石油タンクのような地質構造が断層で細分化しているのです。細分化の際に原油やガスが希薄化しますし、井戸を比較的多く掘らなければならなくなります。(採算割れ)
産油国は地震国ではけないのです。トホホ ><

Posted by: 業界人 | January 19, 2009 at 07:49 AM

>現在のバラク・オバマの経歴や家庭環境は、「黒いウィリアム&ヒラリー・クリントン」と言っも差し支えないようなところがある。オバマは、シカゴ大学教授のポストを用意されていたほどの頭脳の持ち主であったし、夫人であるミシェルも弁護士である。二人の令嬢も名門校に入れたそうである。オバマは、アフリカ系であることを除けば、紛うことなき「アメリカン・エリート」としての足跡を刻んでいる。

ちょっと待ってください。大学教授のポストを用意されるほど頭が良くて、奥さんが弁護士だったらみなクリントンですか。そもそも、あなたの言う「アメリカン・エリート」って何ですか?定義できますか。

これはエントリ全般に言えることですが、あなたの主張は断定的な割に、論拠がありません。あるのはエントリに関連しているかどうか不明のうすっぺらい歴史の知識。こんなんでどうやって「主張」といえるのでしょうか。

どうか自分がなさっていることをよく知ってください。

Posted by: chicago | January 21, 2009 at 05:12 AM

中島みゆきで気分転換ですか。
全く同様の理由で全く同様の事をしてます(笑

ただ、このポジティブな予想というのはチョッと気が早いかも知れませんね。
大体、株式市場が底打ちする時というのは最大のネガティブニュースが出た時ですから。
最後の楽観が消えるまで、予断は許さないのでは?

Posted by: 滑稽本 | January 21, 2009 at 04:51 PM

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