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January 01, 2009

年頭の追憶 2009

■ 2009年の開始である。世は、景気低迷の最中であるけれども、雪斎は、昨年の年頭には感じなかった「明るさ」の兆しを感じている。
 ということで、一つの「光」の話をしてみよう。

 If you are lucky enough to have lived in Paris as a young man, then wherever you go for the rest of your life, it stays with you, for Paris is a moveable feast.
 もしきみが幸運にも青年時代にパリに住んだとすれば、
 きみが残りの人生をどこで過ごそうともパリはきみについてまわる。
 なぜならパリは移動祝祭日だからだ。
           ―アーネスト・ヘミングウェイ 『移動祝祭日』―

 一昨年、雪斎がパリで過ごした日々は、今となっては、一つの追憶のようなものになっている。

 そういえば、ヘミングウェイの文章には、次のようなものがある。

 "But man is not made for defeat," he said. "A man can be destroyed, but not defeated."
 「だが、人間は負けるようにはできていない」。
 彼は言った。
 「打ちのめされるかもしれないが、負けるようにはできていないのだ」。
            ―アーネスト・ヘミングウェイ 『老人と海』―

 長い間、不漁に見舞われた老漁師の言葉である。苦境の時期などは、何時までも続かない。辛抱強く待っていれば、必ず機会が巡ってくる。そうした機会がめぐってきたときに、どれだけまともに力を発揮して戦えるか。それが問題なのである。『老人と海』の物語の大半が描いているのは、老漁師と巨大なカジキマグロとの激闘である。
ただし、その戦果としてのカジキマグロも、サメに襲われて見る影もなくなってしまうのだが…。だから、これは、たんなる「成功物語」ではない。結果はともかくとして、逆境時に自棄にならず、常に戦う姿勢を持つことの大事さを教えているのである。
 雪斎が今でも憧れているのは、ヘミングウェイ特有の「硬質の文体」である。雪斎は、こうした「硬質の文体」に依りながら、小説ではなく評論の文章を書きたいと思っていた。雪斎にとっては、こういう「格好良さ」が自分の文章の質を保つ条件でもある。
 昨年は、率直にいえば、雪斎にとっては、「最悪の一年」であった。色々な手が裏目に出た。だから、今年は、向こう十数年を見据えた「復活の開始の年」にしようと思う。
 「だが、人間は負けるようにはできていない」。
 ヘミングウェイが愛した「シャトー・マルゴー」のセカンド・ワイン「パヴィヨン・ルージュ・デュ・シャトー・マルゴー」のボトルを傍らにしながら、この言葉に乾杯しよう。やはり、「パリはついてまわる」わけか。

 ということで、皆さん、今年も御笑覧の程を。

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Comments

僕も、この言葉が大好きです。そして実感もしています。皆さんも決して諦めないで、立ち向かってください。

A man can be destroyed, but not defeated.


Posted by: SAKAKI | January 02, 2009 at 07:34 PM

ブログの”世に倦む日日”の執筆者の正体をググると貴方の記事に良く当たります。
このブログ、興味を覚えるが、気に入らないコメントは瞬殺する。言論の自由を許さない輩らしい。ネットのブログ社会は、意見のやり取りに双方向性があるからこそ、盛り上がるのであって、一方的に下賜される旧態然のマスゴミとは違う。今度有料化するそうだが、見られなくなってせいせいした。それに地獄へ旅立った筑紫哲也をマンセイーしたので、こいつ、すでに時代から取り残されたと感じた。古い時代の物書きがネットにしがみついた魍魎の果てだろうし、御用聞きコメンテーターもウザイ。
こいつのブログ瞬殺は、多分、河野太郎が用いた、コメントした本人には見えながら、他の訪問者からは都合の悪いコメントを見えないように削除できる仕掛けを施す、姑息な工作のように感ずる。
これと同じ操作をする奴で、NY金魚と言うこざかしいブログもあるのですが、exciteブログって変体ばっかね、そう思いました。その代わり、ネットウヨに一時期攻撃されていた宙水さんは、同じexciteでもコメントを消さない、ほったらかし。
ネットに出入りする人間も、いろんな人がいると言う事です。
おいら、タイに住んでいます。これからも、時々、訪問しますので宜しくお願いします。

Posted by: ぐりぐりももんが | January 03, 2009 at 06:36 PM

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