« 「沈み行く船」に乗ってしまった人々 | Main | 帯状疱疹という厄介な代物 »

January 09, 2009

日本の「矮小な政治」

■ 今週前半は、箱根で「山籠もり」をした。
 中世の大学で自由七科と呼ばれたのが、算術、幾何、天文、楽理、文法、論理、修辞である。この中に「楽理」(音楽理論)が入っているのは、何故かと考えていた。
 雪斎は、長いことクラシック音楽の世界を趣味にしていたけれども、「楽理」には、ほとんど知識を持っていなかった。自分で楽器を演奏できるわけではないので、そうした知識を得る必然性を持たなかったわけである。
 ところが、年末、思うところがあり、「楽理」に関する書籍を買い込んで、箱根での「山籠もり」の最中に読んだ。完璧に理解するまでには、もう二、三度、読み返す必要があるかもしれない。ただし、確実にいえることは、「これは数学の世界だ」ということである。

 こうしたことに首を突っ込むのには、ちょっとした理由がある。
 通常国会も始まり、雪斎も、「現実」に戻るべきであろうけれども、最近は、どうも気分が乗らない。「現実」から逃避して、「仙人」の真似事をやってみようと思って、「楽理」に首を突っ込んだのである、確かに、「山」では「仙人」をやった。

 「百年に一度の危機」の最中で議論されているのが、「定額給付金」の扱いなどという矮小な施策の是非というのは、率直に「情けない」と思う。
 そもそも、「〈高額所得者は〉貰う貰わない」の議論で時間を空費しているのは、おかしい。これは、「減税策」なのである。この件では、「金持ちは…」という麻生太郎総理の最初の一言は、大きな失策である。もっとも、減税策では、定額減税それ自体は、筋の悪い施策であろう。夫婦子供二人の家庭に6万円を戻したところで、果たして何が買えるのか。10万円ならば、家電系は色々と買えそうであるけれども…。バラク・オバマは、中間層一世帯に1000ドルの減税をやる意向のようである。「定額」をやるのであれば、これくらいの規模が伴わないと需要の喚起にはなるまい・
 さらにいえば、景気浮揚のためには、「金持ちはばんばん使え」というのは、正しいいとであるけれども、それならば、「定額給付金」を考えるよりjは、「恒久減税」という名の定率減税の復活を考えたほうが、いいのではないであろうか。
 だから、「定額給付金」で議論されなければならないのは、二つである。第一に、「総額2兆円という規模で、効果が上がるのか」、第二に、「何故、定率減税を考慮しないのか」である。
 日経CNBCの報道番組を観ていたら、米国のとあるエコノミストのインタヴューが流れていて、彼によれば、景気浮揚策にも手順があって、第一段階で「大々的な減税」を実行し、第二段階で、「公共投資の断行」だそうである。要するに、とにかく、個人にカネを使わせることを考えなければならないわけである。

 イングランド銀行が、政策金利を1・5パーセントにすることに決めたと伝わっている。1684年の創設以来、初めてのことである。あの通商国家としての先達であるイギリスも、未曾有の手を打ってきているのである。「永田町」の議論から、切迫感が伝わってこないのは何故であろうか。

 …と、ここまで書いて、びっくりしたニュースが流れてきた。
 ジョセフ・S・ナイ教授が、次期駐日米国大使になるそうである。
 雪斎は、この人事を大いに歓迎する。
 さては、オバマは、ジョン・F・ケネディがエドウィン・ライシャワーを送った故事に倣ったかもしれない。
 何れにせよ、「ソフト・パワー」、「フクロウ派」の概念を世に出した碩学の登場である。
 少なくとも、大手メディアの大勢は、ナイ大使には好意的であろう。
 朝日、毎日、読売、日経は、そうである。
 産経は、「拉致」絡みで対北朝鮮強硬姿勢を取ることを期待するかもしれないけれども、ナイの指向とはずれているかもしれない。
 日本も、しっかりとした姿勢で、ナイ大使を迎えなけれなるまい。

 このエントリーも、前半と後半とではトーンが違うような気がする。

 オバマも、かなり味なことをやってくる人物である。
 

|

« 「沈み行く船」に乗ってしまった人々 | Main | 帯状疱疹という厄介な代物 »

「国内政治」カテゴリの記事

Comments

定額減税が定額給付金になった理由は、減税だと課税最低限以下の人には恩恵が及ばないということだったと思います。
ただ、それだったら消費税を減税すれば、恒久的な定率減税になるし、課税最低限以下の人にも恩恵が及ぶので、これらの問題は解決できるんですけどね。
しかし、麻生政権は消費税減税どころか、3年後の消費税増税を言っているくらいなので、財務省に逆らって消費税減税を主張するだけの政治力も胆力もないのでしょう。まあ、日本の政治家は与党も野党も財務省に阿って、ほとんどが消費税減税すら言い出せないんですけどね。情けない限りです。この点だけは、かつての「おたかさん」の方がよほどマシでしたね。
イギリスは消費税を2.5%減税しましたよね。何故日本はこれができないのやら。こういうところでも、「「永田町」の議論から、切迫感が伝わってこない」と思います。

ナイ駐日大使は良い人事ですね。あとヒラリー国務長官も、日本で言われているのとは違って、日本に好意的だという話を、マイケル・グリーンが言っています。

2009年混沌の先 オバマ政権誕生後のアフガン外交は:NBonline(日経ビジネス オンライン)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20081231/181619/

次の記事は以前も紹介しましたが、この記事のように「ジャパン・パッシング」を嘆いて、子供のようにぐずるのは、もう止めた方が良いのでしょう。

A Whining Japan ぐずる日本にアメリカは辟易 JBpress(日本ビジネスプレス)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/315

Posted by: Baatarism | January 09, 2009 at 11:10 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/71618/43683179

Listed below are links to weblogs that reference 日本の「矮小な政治」:

« 「沈み行く船」に乗ってしまった人々 | Main | 帯状疱疹という厄介な代物 »