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January 16, 2009

去り行く大統領に

■ 去り行く人々がいる。
 □  「米国はここまで来た」=黒人大統領誕生に感慨-米大統領会見でブッシュ氏
 【ワシントン12日時事】20日にオバマ米新大統領と交代するブッシュ大統領は12日にホワイトハウスで開いた最後の記者会見で、オバマ氏という初の黒人大統領誕生に「米国はここまで来た」と深い感慨を表した。
 ブッシュ大統領は「オバマ氏の当選後、黒人が大統領に選ばれるとは思わなかったと涙ながらに語る人々をテレビで見て、わたしも感銘を受けた。オバマ氏の就任式に立ち会うわたしは幸運だと思っている」と語った。その上で「人種間の関係から言えば、オバマ氏の勝利は米国がどれほど長い道のりを歩んできたかを雄弁に物語っている」と強調した。(2009/01/13-09:01)

 今のところ、ジョージ・W・ブッシュは、史上最低のの烙印を押されて、表舞台から去ることになりそうである。
 だが、ブッシュは、ある意味では、「不運な大統領」であった。
 その不運の総ての始まりは、あの「9・11」であった。
 「9・11」は、十九世紀初頭以来、自国の中枢部が外敵から攻撃されたことのない米国にとっては、「忘れていた災難」であった。ブッシュが、テロ制圧に躍起になった心理は、理解の及ばぬものではない。
 しかも、現在の経済危機の芽を育んだのは、二〇〇〇年代以降の住宅バブルであったけれども、それもまた、「9・11」以降に、FRBが劇的に利下げしたことによって加速されている。「9・11」は、一時的に米国経済を混乱させたために、それに対処するためにもアラン・グリーンスパンの下のFRBは、異例の低金利を続けたのである。
 これもまた、「9・11」シンドロームの産物であろう。ブッシュの不運とは、結局は、「9・11」の幻影におびえ続けたことにあるのであろう。
 だが、こうしたブッシュ周辺の「」強迫観念」、「恐怖感」を嗤うわけにもいかない。
 というのも、日本では、相変わらず「昭和の戦争」に絡む議論に忙しいからである。これもまた、「自分の経験」に縛られた議論に埋没していることの事例である。
 ヨーロッパ諸国ならば、絶えず国土が戦場になっているので、高々、戦争における一度や二度の勝ち負けに過剰な思い入れを込めるもこともない。「自分の経験」を絶えず相対化するということが、彼らの歴史を通じて出来ているのである。フーゴー・グロチウスに大著『戦争と平和の法』を書かしめた戦争は、何であったか。「ドイツの領域の人口が半減した」と評される三十年戦争である。実際には、その後も、二十世紀末に至るまで、ヨーロッパ大陸では殺戮の風景が繰り返されている。
 だから、雪斎は、日本の保守層にも進歩層にも、「一度、戦争に負けて痛い目に遭ったぐらいでゴチャゴチャいわないことだ」といたくなる。その点、日本と米国は、似たような趣がある。
 閑話休題、雪斎の言論を「偽善」と評する人々がいる。
 そのように評して雪斎を批判したつもりになっているようであるけれども、雪斎としては、「大いに結構だ」と笑うしかない。
 「偽善とは、それを自覚して行えば、美しいものである」。英国紳士の価値観には、こういうものがある。
 雪斎は、こうした英国紳士の流儀には、常々、倣いたいと思っていた。
 「高尚な道徳を唱えながら確実に利益を手にする。それも浅ましくないスタイルで…」。
 こうした流儀が日本に定着するのは、何時のことであろうか。

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Comments

「偽善」といいますが、いわゆる善行の類は行った人が「自分が良い事をした」と思って喜ぶ為の行為と見る事も出来ます。
 偽善であろうがそうでなかろうがそれで助かる人がいる。だから「偽善上等! 」と言う考えが無いのもどうかと思います。そういう意味では雪斎先生のような方がいる事は良い事だと思うんですけど。そう思われない方が多いのでしょうか? 
 ブッシュ大統領は何というか、大統領選で出だしからケチがついて、その後は9.11に最後まで振り回され、あげくにサブプライムショックで大揺れの中任期を終える。最後まで運命に喧嘩を売られ続けた大統領という風に見えます。めげずに大統領の職責を果たし続けた事をもっとアメリカの人たちは評価して良いのではないかと。日本人もですが。
英国紳士の流儀に日本人のそれが近づくには、良くも悪くも戦後の残り火が消えないと無理でしょう。
 具体的には念仏平和主義に毒されたサヨクな方々(まっとうな左翼、具体的にはレッテル張りと問題のすり替えに頼らない。でもって安全保障を他国の善意頼りにしない方ですか。私が知る限り日本では残念ながらいませんし。先生がそういった方をご存じなら良いのですが)と、悪い意味で精神論と感情論に傾きがちな自称保守がどうにかならない限り無理でしょう。
 一度北朝鮮のダーティボムかテポドンを日本国内で食らわない限り駄目ではないかと悲観的になっております。
 そんな事は無いと思いたいのですが。

Posted by: almanos | January 17, 2009 at 08:43 PM

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