「気持ちは判る…」で納得しない…よな。
■ これは、心底、嫌な話である。
□ 連続テロか 元厚生事務次官宅で妻が刺され重傷
11月18日 産経新聞
18日午後、東京都中野区の元厚生事務次官、吉原健二さん(76)宅で、家にいた妻の靖子さん(72)が、宅配便の配達を装った人物に刃物で刺された。女性は重傷。警視庁で連続テロの可能性もあるとみて男の行方を追っている。
同日午前には、同じく元厚生事務次官の山口剛彦さん(66)とその妻(61)がさいたま市内の自宅玄関で刺され死亡する事件がおき、埼玉県警が殺人事件として捜査している。
吉原さんは1986年に社会保険庁長官、88年に厚生事務次官を歴任。その後、日本赤十字社理事などを務めた。
「テロ」という言葉を聞くとは、思わなかったけれども、NHKの九時台のニュースでも、テロというニュアンスで伝えられていた。確かに、年金行政を扱っていた元高官が襲われたのだから、何らかの意図を伴った「テロ」と考えるほうが、自然なのであろう。
ただし、伝えられる通り、此度の事件が「年金問題」に不満を持つ輩の「テロ」だったとしても、その主張云々はともかくとして、「卑怯者の所業」と片付けるしかないであろう。大体、元次官の職務とは無縁の妻をも襲った時点で、何ら弁護するに値しないものであることは、確かである。政治的な主張云々以前の話である。
それにしても、 「景気低迷」、「要人テロ」、「大言壮語する武官」、「党争に走る政党」というのは、これだけでも、一九三〇年代の風景をイメージさせるものである。
故に、従来からの官僚層への反感をがあるにしても、「(テロに走った)気持ちは判る」などという話は、断固として容認しないことが大事である。テロ犯が「年金制度を壊した役人は許せなかった…」と語り、一般庶民の不満を代弁するようなことを口にしたら、「気持ちは判る」という反応が噴き出ないとも限らないのである。実際、中山成彬前国土交通相や田母神俊雄前前空将の更迭劇のときにも、「(発言に及んだ)気持ちは判る」ということで擁護する人々が、特に右派勢力に続出した。雪斎の杞憂であることを願うけれども、「気持ちは判る」ということで物事を納得しようとする傾向は、日本にあっては強いのではないか。
日本の政治的な成熟を阻んでいるのは、もしかしたら、「浅野内匠頭」に同情する心理ではないかと想像する。あの「忠臣蔵」の話も、「(刃傷に及んだ)気持ちは判る」ということで、内匠頭は同情され、吉良上野介の首を取った「討ち入り」、あるいは「政治テロ」は、英雄伝として称揚されるわけである。「気持ちは判る」という一事で、殿中での「法度」破りも城下での「騒擾」行為も、非難されることなく、毎年、多くの日本人に美談とされている現実は、冷静に考えれば奇妙ではないか。
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Comments
20年ほど前から産科に対する訴訟が増えました。報酬が見合わないことと相まって産科医療はかなり前に崩壊しました。
官僚に対して、不満をこういう形であらわすのが容認され、報酬を正当な形で保証されないと、人材がますます逃げて日本の官僚制度が揺らぐか崩壊するでしょう。
ひどい目に遭うのは結局我々だとおもいます。
また、メディアは自分たちへのテロ以上の取り組みを見せるべきです。メディアが煽ったために起きたと考える人はいないんでしょうか
Posted by: stratosphere | November 19, 2008 10:08 AM
安藤大尉が鈴木貫太郎邸を襲撃した時に、夫人の命乞いを受け入れて氏にとどめを刺さなかったことなど思いました。
それにしても、陸軍パンフ事件で公然と軍が政治に介入しはじめてからわずか2年で2.26が起きたのですね。
Posted by: natunoho69 | November 19, 2008 01:55 PM
数年前に中国で反日デモが起きた時、「愛国無罪」という言葉が流行りましたね。
それを批判していた人は、この件についてどういう反応をしているのかがなんとなく気になりました。
Posted by: タッキーニ | November 19, 2008 06:14 PM
以前読んだ小泉信三氏の以下の発言を思い出しました。
先生はご存知でしょうけれども。
「問題は簡単である。いかなる場合にも暴力は許さぬ、と決心するのか。それとも、次第によっては、それを許すというのであるか。(中略)
若しも後者であれば、民主政治はおしまいである。今日の世の中で、人々が不平不満とする個条は、実際無数である。不満があれば暴力も已むなし、というなら、暴力は無数の口実をかかげて横行するであろう。動機が純真だとか、不純だとか、そんなことは問題ではない。かつて戦前一部の過激将校が、政治を廓清すると称して暴力に訴え、軍がそれに対する処分をアイマイにしたことが世の乱れの始めとなって、到頭戦争となり、敗戦となったのであることは、吾々として忘れても忘れられない筈の教訓ではないか。当時無気力なる軍首脳者の中には、動機が純粋だなどといって、青年将校を弁護するものもあり、中には理解ありげの媚態を、彼らに示すものもあって、愈々少壮者を増長させたことが、抑も禍乱の原因となったのであったことは、今は悔いても及ばない事実である」
(『文藝春秋』60年8月号、小泉信三「安保・暴力・大学教授論の常識」)
Posted by: Spacey | November 19, 2008 06:32 PM
こんばんは。確かにその通りだと感じられる出来事であります。どのような事象であろうともテロルや暴力などの強行手段を用いてしまうのは大きな「取り返しのつかない」失策であるように感じられます。「信用」などの共同体の紐帯となるような大切な感覚は、そういった恐怖や圧力によって維持されるものでもないでしょうし。今回の事件が政治的な報復としての行為であったにしろ、自己の主張を投げ出し、反発を生む行為をするのは愚かであると感じています。「気持ちは判る」という方もおられると思いますが、こんな事で世直し云々などとならない事は、歴史を通して感じられることではないのでしょうか?
無論、、短期的な利益に飛びつき、所属する共同体の負託に応えずに害を及ぼす行為は決して許されることではないですが。
来年度より自衛官として、少しでも共同体の役にたち得る存在となれるよう努力していきたいと考えております。
Posted by: 鱗雲 | November 19, 2008 09:22 PM
年金問題等は、明らかに役人による集団詐欺事件であるにもかかわらず、無罪放免・お咎めなしというのでは、あまりにも理不尽な世の中ではないでしょうか。
だからと言って、確かに殺人は許されない行為でしょうが、それでは、いったい誰がこの犯罪者集団を処罰することができるのでしょうか。
この犯罪者集団は、官僚の無謬性や隠蔽による時効成立等、自分たちに都合のいい理論構成により、犯罪を犯しても処罰の対象外となる環境を構築し、上層部から現場の役人までが国民の血税を食い物にし、残念ながら骨の髄まで腐敗しきった組織となり下がっています。
しかし、国家が彼らを放置するのであれば、何らかの処罰があってしかるべきです。
因果応報の諺の通り、退職した役人も含め、必ず何らかの報いは受けるべきであると思うのですが。
あまりにも不平等感のある「役人の優遇措置」を根本から見直し、全ての退職役人が受給している年金を一律削減するとか、犯罪の時効を援用せず、隠蔽工作を図ったものも含めて徹底的に検挙するぐらいのことをやらなければ、国民の納得は得られないでしょうし、今後ますます同様の事件が多発すると思われます。
私も、このような殺人を犯す気は全くありませんが、大地震や災害などで役人やその家族が窮地に陥っていたとしても、役人以外の人を優先して救助するでしょう。
なぜなら、その役人とその家族は、災害が発生するまでの間、一般人の犠牲のうえに不当に優遇され、利益を十分すぎるほど得てきているはずだからです。
早急に犯罪者である役人集団に対する行動を起こさなければ、益々国民の不満が高まり、実力行使に走る若者が急増するかもしれませんね。
Posted by: AO | November 19, 2008 10:40 PM
「気持ちは分かる」ではなく
僕の場合は「気持ちは分かるけれども…」です
昔 幕末の時代には「天誅」と言う言葉がありました。その天誅の名の下 血生臭い事が数多くありました。桜田門が有名ですが、井伊直弼が刃に倒れても、世の中は何も変わりませんでした。
組織や仕組みに対して何か不満があったとしても、その組織のトップや幹部を誅殺すことでは解決しないと言うことです。
もし今回夫人が殺害されなかったとしても僕は「気持ちは分か」る」とは言いません
今回の件は全く建設的は無いからです。
そもそも 年金制度と言うものは以前から制度として成り立っていないという認識はあった筈ですし、役人や国を 信用し過ぎる事にしても問題があるように思います。自らが何も考えずひたすら信じるのは楽ですし、怠慢であると思います。
信じ過ぎた方々の思惑どおりにならないと言うだけで、裏切られた風な感情の下このような事件があるとしたら、気持ちは分かると 言う者が多いとしたらいよいよ日本は幕末に逆戻りするかもしれません
個人的には忠臣蔵は美談でも良いとは思います。
仇討ちという形で殺しはしましたが、結果はどうであれ、切腹覚悟での行為でしたから。
この事件や人斬り某 等にはそのような覚悟は見あたりません。
僕の勝手な憶測ですが、もしかしたら一般市民の仕業ではないかもしれないと思っています。
Posted by: へきぽこ | November 19, 2008 11:50 PM
ネット言論では以前から
伊藤博文を暗殺した安重根を抗日烈士と信奉
している韓国人や、反日デモで愛国無罪と
叫びながら日本大使館を投石して破壊した
中国人に対して「民度が低い」と嘲笑してきた。
しかし今回の事件でそう言っていたはずの
人たちの多くが事件を「天誅だ」「やられて当然」
「国民の怒りを代弁してくれた」と大はしゃぎ。
結局、自分らが嘲笑していた韓国人や中国人と
メンタリティは変わらない「民度の低さ」を
平気でさらけ出す醜態を見せている。
さらに容疑者が出頭し「異常な動機」を供述
し始めたとたん今度は「政府の指示による陰謀だ」
「闇の組織の替え玉だ」「国籍法採決の
目くらましだ」と陰謀論花盛り。
田母神の件にしろ、頭を抱えたくなる
民度の低さに辟易したくなる昨今です。
Posted by: たか@ | November 25, 2008 02:10 AM