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October 31, 2008

「麻生総理のバー通い」批判の下らなさ

■ 帝国ホテルに「オールド・インペリアル・バー」という名のバーがある。
 そこで、昔、スコッチを飲んでいた時期がある。
 「永田町」時代の三十歳を過ぎたばかりの頃である。
 雪斎は、10代後半の頃、バーが醸し出す「大人の世界」に強い憧れを抱いていた。
 だから、『中央公論』に寄せた論壇デビュー作で手にした最初の原稿料は、バーで飲むことに費やした。
 そこで判ったことがある。
 麻生総理と同じことを言うつもりはないけれども、「オールド・インペリアル・バー」で飲むことは、「思ったほど、高くない」ということである。スコッチの味を覚えるための授業料のつもりならば、一杯1500円くらいのものは、確かに高くはなかったわけである。

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October 29, 2008

天皇陛下の反対党

■ 次の言葉を聴いてみよう。

He promised that at a time of "important issues regarding the national interest", his party would "put down the party politics and get on with the job of helping the Government".
He said: "What matters most of all at the moment is that we work together to make sure we create stability in financial markets and financial institutions.

彼は、「国益に絡む重大な課題」の時には、彼の政党が「党争を控え、政府に助力する仕事に乗り出す」であろうと約束した。彼は語った。「この局にあって関心を払うべきは、われわれが金融市場と金融期間の安定を創り出すと確信するために、われわれが一緒に働くことである」。

 ところで。ここでいう「彼」は誰か。

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October 28, 2008

株価の底割れ

■ 昨日、日経225は、7162円まで落ちた。このペースの落ち方でいけば、今日の段階で6000円台突入であろう。今日朝、ニューヨーク・ダウが200ドル近く落ちたから、これは必至であろう。昨日の段階で26年ぶりの安値水準ということになるけれども、6000円台突入ということになれば、実に30年近く前の水準に戻ることになる。三原淳雄さんのような「御大」ならばともかくとして、雪斎のような四十歳代前半、あるいはそれ以下の世代には、完全な「未体験ゾーン」に突入である。、大体、1990年代の「失われた10年」よりも、酷いのだから、これは、深刻であろう。
 こうなると、関心を呼ぶのは、「どこで止まるか」である。とりあえず、5000円前後ということにして、1978年ごろの話のようである。だいぶ、昔である。
 ところが、「100年に一度の危機」といわれ、日経225が30年近く前の水準まで落ちている現状であるにもかかわらず、世の人々が危機感を持っていないように見受けられるのは、何故であろうか。
 危機対応と呼ばれるものは、それなりのインパクトのあるものを出さなければなるまい。
 二つのことを考えてみる。
 ① 日銀は、往時、コール・レートを実質上、ゼロにして、なおかつ量的緩和政策を実行していた。日銀は、今は何をしようとしているのであろうか。FRBもECBも、近日中に利下げをやるようでるけれども、日銀はまた、独自の対応をとるのであろうか。日本の中央銀行の存在感が、余りにも希薄なような気がする。
 ② 定額減税は、公明党が主張した政策である。だが、過日の日本が実行したのは、恒久減税という名の定率減税であったはずである。景気浮揚の観点からすれば、「恒久減税」を復活させたほうが、有効でであろう。
 「やれること」は、色々とある。ただし、それにしても、永田町の対応は、危機対応とは別の「内輪の都合」が勝っているような気がする。

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October 27, 2008

今日と明日のことしか考えぬ根太さ

■ 毛利敏彦著『大久保利通』には、田中惣五郎による次のような大久保評が紹介されている。
  「大久保は、今日と明日のことしか考えぬ根太さがあります。将来は将来として、先ず現在をいかによくするか。そのためには、不退転の精神と、理性的な行動を怠らないのです」。
  この大久保評は、木戸孝允に対比されている。木戸は、理念先行型で実際の政策遂行には手腕を余り発揮できなかったのに対して、大久保は、抽象的な理念の類には重きを置かず、眼の前の具体的な課題の処理に精励した。
 ところで、次のような記事が配信されている。

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October 25, 2008

驚愕の10月

■ 「人間ドック」から出る。
 結果が判るのは先である。
 ところで。最近の病院では、看護婦さんは、多くがマスクを着けているのである。
 えらく損をした気分である。
 おっと、「秘すれば花」というのもあるか。

■ ところで、こういう記事が配信されている。
 □ えっ?本当 サラリーマンの給与が10年ぶりに増加 国税庁統計
                 産経 2008.9.19
 民間企業のサラリーマンらが平成19年に受け取った平均給与は437万2000円で前年より2万3000円(0・5%)増え、10年ぶりに増加したことが19日、国税庁のまとめで分かった。
 平均給与は、9年の467万3000円をピークに9年連続で減少していた。19年上期は経常利益が過去最高を更新するなどしており、効果が数字上に表れた形だが、同年下期は燃料・原料高で「増収減益」に転じており、給与増が続くのは難しそう。増加したとはいえ、16年の水準を依然下回っており、アップの実感は乏しそうだ。
 昨年1年間の給与所得者は4543万人で前年より58万人増加。給与総額も198兆5896億円と前年より1・8%増えた。
 増加の内訳は、給料・手当が0・2%増にとどまったが、賞与は2・2%増え、増加分は業績のよかった企業のボーナス増分だったとみられる。
 年収300万円以下は1751万人で前年より11万人増え、全体の38・6%を占めた。1000万円超は232万人。割合も5%と前年より0・1ポイント増えた。
 男女別の平均給与は男性が前年比0・7%増の542万2000円、女性も7年ぶりに増加に転じ0・1%増の271万2000円。業種別の平均給与は、金融・保険業が691万円でトップ。最下位は飲食店・宿泊業の273万円だった。

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October 23, 2008

名称なき「好況」が終わったあとの風景

■ 本日午前より「人間ドック」入りである。
 「人間ドック」に入った後、数日、体力を回復させる手前、エントリー更新は、来週頭まで停止である。
 その前に、ひとつ書いておくことがある。

 戦後の好況局面には、岩戸景気、伊弉諾景気、バブル景気といった名前が付いていた。
 それならば、戦後最長と呼ばれた2000年代前半の好況局面は、なんと呼ばれるのか。
 「小泉構造改革景気」、「ヒルズ景気」…。そんなとことであろう。
 しかし、この長い好況局面は、一般には「好況局面」として余り実感されて来なかったようである。
 そのことは、この好況局面が、「借金を返しただけで終わった」類のものであったからである。
 色々なものを切り詰めて借金を必死になって返して、「さあ、これから楽しもうか」と思った矢先、好況局面が終わった。そうした風情である。それだけ、日本にとっては、「バブル崩壊」の後遺症は、甚大なものであったのである。大体、この好況局面を象徴する「景気のいい話」が、「ヒルズ族」というのは、何ともスケールが小さいではないか。
 また、今まで行った「切り詰めた生活」の具体的な余波は、ワーキング・プアや地方の疲弊として語られる。だが、それは、1990年代の「失われた十年」にこそ、根を持つ現象であろう。橘木俊詔著『日本の経済格差―所得と資産から考える』 (岩波新書) の刊行が1998年11月、佐藤俊樹著『不平等社会日本』の刊行は、2000年6月である。どちらも、小泉純一郎の登場以前である。結局、日本のピークは、1980年代末だったということになるのであろう。2000年代の「ヒルズ景気」のときでさえ、日経225は、「バブル景気」の半分の水準にも達しなかったのである。
 故に、現状を小泉「構造改革」路線のせいにして、物事が判ったような気になってはならないのである。
 日本では、「新自由主義」路線の終わりということが、しきりに説かれている。
 だが、危機に際して、「国家の役割」が前面に出てくるのは、当然のことである。
 麻生太郎と小沢一郎のどちらが、その危機を乗り切れるのか。
 問われているのは、そういう選択でしかない。

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October 21, 2008

コリン・パウエルの選択

■ このニュースは、久しぶりに「をを」と思った。
 □ パウエル前国務長官、オバマ氏を支持=マケイン氏に大打撃-米大統領選
 【ワシントン19日時事】ブッシュ米共和党政権の1期目に国務長官を務めたコリン・パウエル氏は19日放映のNBCテレビの報道番組で、民主党大統領候補のオバマ上院議員を支持すると表明した。オバマ氏を「国民を鼓舞し、国を変革する人物。スタイルも中身もある政治家」などと称賛した。
 さらに、オバマ氏が当選すれば「黒人だけでなく全国民の誇りとなり、米国だけでなく世界を熱狂させるだろう」と語り、投票日には「オバマ氏に投票する」と言明した。
 黒人初の統合参謀本部議長や国務長官を歴任したパウエル氏は、「アメリカン・ドリーム」の体現者。黒人大統領の座を目指すオバマ氏を党派の壁を超えて支援する立場を鮮明にした。
 パウエル前長官がオバマ氏を支持するとのうわさは長くくすぶっていたが、選挙戦最終盤で公に表明したことは、共和党大統領候補のマケイン氏に大きな打撃を与えそうだ。(2008/10/20-00:36)

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October 18, 2008

海賊対処は、「国際紛争」なのか。

■ これには、一つ二つのことを記して置く必要がある。
 □ 首相、海自派遣に前向き…ソマリア周辺の海賊対策で
10月17日22時23分配信 読売新聞
 麻生首相は17日の\衆院テロ防止特別委員会で、アフリカのソマリア周辺海域で海賊被害が頻発している問題で、海上自衛隊の艦艇を派遣するための法整備を前向きに検討する考えを表明した。
 民主党の長島昭久議員が「自衛隊の艦艇派遣は海賊対策に効果がある」と求めたのを受け、首相は「検討する用意は十分ある」と述べた。
 これに関連し、首相は同日夜、首相官邸で記者団に自民党の中谷元・安全保障調査会長に与野党で具体策を検討するよう指示したことも明らかにした。艦艇派遣のほか、P3C哨戒機による洋上監視などが検討課題になると見られる。
 政府関係者によると、自衛隊法の海上警備行動を発令すれば、日本籍船の護衛は可能だが、首相は記者団に「日本の船は助けるが、ほかの船は助けないとはなかなか世間では通らない」と述べ、外国籍船にも対応できる法整備が必要とした。
 海賊対策に関し、政府は、海賊行為など公海上での外国籍船の不法行為を取り締まる根拠法の整備を進めているが、自衛隊活用には、武器使用基準の緩和が必要となり、その際、憲法解釈が議論になる可能性がある。
 公明党の太田代表は17日夜、都内で記者団に、「日本のシーレーン(海上交通路)を確保するのはいいが、本当に法整備できるのか勉強が必要だ」と慎重な姿勢を示した。

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October 17, 2008

歴史の「瞬間」に立ち会うということ

■ 昨日の日経225は、1089円の暴落である。
 下落率でいえば、1987年10月の「ブラック・マンデー」に次ぐ史上第二位を付け、1953年3月の「スターリン暴落」を超えた。後世、確実に経済・金融の教科書に載るような事態に、リアル・タイムで立ち会っていることになるわけである。
 ところで、こうした事件というのは、それを受け止める人々が、どれだけ切実な関心を抱いて接したかによって、その持つ意味合いが変わってこよう。21年前の「ブラック・マンデー」の時分、雪斎は、「バブルの狂騒」と無縁の時間を過ごしていた。

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October 13, 2008

テロ支援国家指定解除?

■ 『インターナショナル・ヘラルド・トリビューン』紙に掲載されたAP通信記事「政府筋、米国は北朝鮮をテロ・リストから外す模様」(U.S. dropping North Korea from terror list, officials say)には、次のような文面がある。
 米国政府による北朝鮮のテロ支援国家指定解除を伝える記事である。

 The removal from the U.S. list of state sponsors of terrorism, is only provisional, the officials said. North Korea would return to the list if it failed to comply with inspections of its nuclear facilities as part of the effort to get it to abandon atomic weapons.

 「政府筋によれば、テロ支援国家リストからの削除は、暫定的なものでしかなく、原子兵器廃絶に向けた努力の一環としての核施設査察に万全を期すことができなければ、北朝鮮は、リストに戻されるであろう」。

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October 10, 2008

民主党に一度、政権を任せてみよう…か。

■ 「ふーん」という記事である。
 □ 「民主党に一度、政権任せてもよい」58%…読売調査
                10月9日19時14分配信 読売新聞
 読売新聞社が4~5日に実施した全国世論調査(面接方式)によると、「民主党に一度、政権を任せてもよい」と思う人は58%で、そうは思わない人の38%を上回った。
 ただ、政権担当能力を聞くと、自民党については「ある」が67%に上ったものの、民主党は「ある」46%と「ない」47%がほぼ二分した。民主党の政権担当能力の有無にかかわらず、与野党の政権交代を容認する今の有権者の“気分”がうかがえる。
 民主党に政権を任せてもよいとの答えは、男女、年代別のすべてで多数を占めた。民主支持層では95%に達した。無党派層では61%、自民支持層でも38%が「任せてもよい」と答えた。
 しかし、民主党の政権担当能力については、無党派層でも「ある」46%、「ない」44%と評価は分かれた。「民主党に政権を任せてもよい」と答えた人を見ると、同党に政権担当能力があると答えた人は66%で、29%は「ない」だった 。

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October 08, 2008

「パール論争」の下らなさ・続

■ 昨日の続きである。
 

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October 07, 2008

「パール論争」の下らなさ

■ 今年春より、隔月で『読売新聞』で論壇ショート・コメントを担当しているので、色々な雑誌を手広く読んでいる。ところで、最近、頻繁に目にするのは、「パール判事」という文字である。
 ラダ・ビノード・パール判事は、東京裁判でA級戦犯とされた人々を無罪とする判断を示した人物として有名であるけれども、その判断の意図をどのように解釈するかで、論争が起こっているわけである。
 ただし、雪斎にとっては、あまり面白くない論争である。

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October 06, 2008

最近の個人的な状況

■ このところ、身体状況に重大な異変が生じている。
 慌てて、来週、再来週に近場の大学付属病院に「人間ドッグ」入りすべく、予約を入れる。
 雪斎は、二十歳頃とは体重は変わらないので、メタボとは縁はなさそうであるけれども、元からの身体障害にかかわる状況の悪化、たとえば筋力の低下、その他の要件ならば、心配しなければならないところがある。

 吉野作造も清沢冽も、五十五歳で鬼籍に入った。
 雪斎も、その辺りを越えることが出来るかが、一つの関門になるであろう;。

 …ところで、雪斎の手相にある「生命線」は、長寿を示している。
 幼少時、長くは生きられないといわれたらしいジョージ・F・ケナンは、実は101年に及ぶ長命を保った。
 ケナンの歴史家としての主な作品は70歳を超えてからのものであるし、90歳前後になってからも2冊の書を出した。最後の著作は、96歳のときに書かれている。

 吉野も清沢も、そしてケナンも、雪斎にとっては、憧憬の存在である。どちらのパターンになるであろうか。

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October 02, 2008

鳩山一郎と政党政治家の「質」

 猪木正道先生の著書『評伝吉田茂』は、大学三年の冬休みに読んだ著作である。
 書中、猪木先生は、鳩山一郎という政治家に誠に厳しい評価を与えていた。鳩山は、戦前期に文部大臣として、滝川事件に関与したことがある。滝川事件というのは、滝川辰幸京都帝国大学法学部教授の刑法学説が問題視され、辞職に追い込まれた事件であり、憲法の教科書には、戦前期の「学問の自由」の侵害の事例として載っている。
 事件の舞台となった京都大学法学部に教授として籍を置いていた猪木先生にしてみれば、「『学問の自由』を侵害した鳩山の何処が、自由主義者だというのか」という想いがあったのであろう。

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October 01, 2008

影響を受けた人々 1

■ 「大荒れの9月」であった。
 10月の初めに際して雪斎が若き日に影響を受けた人々のことを書いてみる。
 昔、「雪斎さんは、西尾幹二さんと西部邁さんのどちらに親しいのでしょうか」と聞かれたことがある。
 御両人とも、いわずと知られた保守論壇の重鎮であり、保守論壇に迎え入れられた若手には、御両人の世話になった人々が多いのだそうである。だから、この問いを発した人々には、「雪斎も、(西尾と西部の)どちらかに引き上げられたのだろう」という予断があったのであろう。
 結論からいえば、雪斎は、御両人のどちらにも、特別な「縁」を持っていない。
 西尾さんには、最初期の作品に、『ヨーロッパの個人主義』という著作がある。
 西部さんには、これもまた最初期の作品に、『大衆への反逆』という著作がある。
 この両著を起点にして、「フリードリッヒ・ニーチェの思想への旅」、「ホセ・オルテガ・イ・ガゼットの思想への旅」に乗り出すことが出来た。その点では、御両人ともに、雪斎にとっての「影響を受けた人々」ではある。
 ただし、御両人の近年の活動については、雪斎は、ほとんど把握していない。
 特に西尾さんに関しては、「文芸評論畑の人々」による政治評論の貧弱さを教えってもらってから、彼の言論には関心を失った。西尾、西部の御両人とともに、今の雪斎にとっては、「観念の虜になれば、言論の質が悪くなる」ということを教えた反面教師である。

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