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September 18, 2008

「主流」と「傍流」

■ リーマン・ブラザーズとメリル・リンチという二つの米国証券会社が同時に吹っ飛ぶというのは、誠に戦慄すべき光景である。しかし、この二つの会社は、米国の金融の世界では、「傍流」のようなものであるらしい。主流は、あくまでも、「ゴールドマン・サックス」、「モルガン・スタンレー」なので、この二つさえ護れれば、他の「雑魚」は消えてもらっても、米国の「エスタブリッシュメント」にとっては、余り困らない。雪斎は、そのような話を聞いたことがある。
 このように、何処の国でも、「主流」、「傍流」の浮き沈みがある。

 自民党総裁選挙に出馬している面々の中では、日本社会の「主流」に位置するのが麻生太郎さんであることは間違いないのであろう。何分、大久保利通から牧野伸顕、吉田茂に続く、近代日本の「宮中重臣層」の系譜に連なっているのであるから、これは並ではないのである。
 日本でも、「二世政治家」、「三世政治家」が多いご時勢であるけれども、「どのような二世政治家、三世政治家であるのか」ということは、きちんと見ておいたほうがいいと思われる。それは、「主流」なのか、それとも「傍流」なのかということである。
 小沢一郎さんは、どちらかといえば、「梟雄」タイプの人物であろう。彼の師匠である田中角栄も、「一代の梟雄」であった。田中角栄の地盤を継いだ田中真紀子さんにしても、もはや「二世政治家」として成功しているとはいいがたい。社会の「傍流」からは、様々な「梟雄」が登場し、一時的に分に不相応なほどの権勢を手に入れるけれども、その権勢は長くは続かない。しかも、「梟雄」の周囲には、似たような「梟雄」タイプの人物が集まる。田中角栄の「刎頚の友」と呼ばれ、ロッキード事件の際の「記憶にございません」発言で話題になった小佐野賢治は、その事例であろう。因みに、小佐野賢治は、戦後の混乱期に財を成し、旧華族の令嬢を妻にしたけれども、「主流」には入れられず、「梟雄」のままで終わった。
 吉田茂が、往時の田中角栄を「刑務所の塀の上を歩いているような男だ」と評し、半ば馬鹿にしながら「資金調達役」として使ったのは、有名な話である。そして、田中角栄は、「吉田茂の直系の弟子」であった宮沢喜一を毛嫌いした。今は、「吉田茂の孫」である麻生太郎さんと「田中角栄の直系の弟子」である小沢一郎さんの対決の構図が浮かび上がろうとしている。かくして、「主流」と「傍流」のせめぎあいのドラマが続く。まるで、「ボレロ」だなと思う。

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Comments

モルガンスタンレーも合併検討でワコビアCITIC、HSBCが候補といわれます。MS、GSも安泰ではなく米投資銀行モデルは崩壊かもしれません。今日の日経の経済教室池尾慶応大学教授はやや過激に書いていましたが

Posted by: 星の王子様 | September 18, 2008 at 08:37 PM

主流と傍流の違いはなんとなく分かりますが、日本の経済でも当てはまるのでしょうか?もしくは民族間にも当てはまるのでしょうか? そう考えると少し興味が増してきます。人や 家系や国や民族は主流であるのには歴史や積み重ねの現れなのでしょうか? もしそうだとするならば主流という立場に縛られない程度にその積みかさねを思いおこし考える事の出来る者でなくてはならないのではないか?と思います。雪斎殿やその先人の方々の気持ちが主流とまでは言わなくてもひとつの流れとして続き、積みかさねられて行けると良いと思います。

Posted by: へきぽこ | September 20, 2008 at 02:12 AM

こんにちは,初めて書き込みます。
GSとモルスタの話から政治の「主流」「傍流」の話に展開するとは意外でした。「傍流」を捨て「主流」だけでも生き残りにかける米国のダイナミズムを日本の政治にも見習ってもらいたいものです。政治の場合は監督機関があるわけではないので自分で変わってもらう必要があるのですが,そこが気がかりなところです。

Posted by: EURO SELLER | September 23, 2008 at 07:07 AM

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