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August 12, 2008

「宴」の後の憂鬱

■ 北京オリンピックは、「真夏の夜の夢」になりそうな公算が大きい。「宴」が終った後に、世界が直面する課題は、余りにも多すぎる。「六ヵ国協議」の関係各国だけでも、次のような具合である。
 1 ロシア  グルジア紛争の行方
 2 北朝鮮 テロ支援国家指定機序の遅延、「核」廃棄プロセスの遅延
 3 中国   格差拡大の加速
 4 韓国   経済低迷の加速、
 5 米国   権力移譲の時節、経済停滞の加速
 6 日本   一年以内の「政権選択」選挙
 

 ロシアには、「小さいけど美しい」という価値観はない。万事、「大きいことが佳い」という価値観である。故に、現在のプーチン・メドヴェージェフの「統治」は、ロシア国民の期待にはあったものである。先刻、逝去したアレクサンドル・ソルジェニーツィンは、ソヴィエト共産主義体制jjには反旗を翻したかもしれないいけれども、「強いロシア」を擁護した。ロシアでは、イヴァン雷帝以来、「強権」の系譜が連綿と続いている。
グルジア紛争は、紛争の外野は、「即時、停戦を」という建前を吐けるけれども、実際に西側諸国ができることは、ほとんどないと観たほうがいいであろう。南オセチアに先に手を出したのがグルジアである限り、そしてロシア国民の支持を受けている限りは、プーチン=メドヴェージェフの「強硬姿勢」は変わらないのではないか。もっとも、グルジア情勢が「アフガニスタンの再来」になるようなことがあれば、話は変わってくるであろうけれども、今の段階では、そのような展望を示すことは適切ではないのであろう。かくして、当面、日米両国や西欧諸国は、BRICsの一角としてのロシアに期待しつつ、強権的なロシアの姿勢に辟易することになるのであろう。ドラえもんでいえば、「ジャイアンとスネ夫が一人になったような奴」を相手にしなければならないということである。
 韓国は、竹島絡みでエキサイトしてみても、経済の苦境は変わらない。「CEO型大統領」のエンジンは、まだ起動していないようである。韓国は、BSEと竹島で、経済再建への時間を空費した。この空費は、意外と付けの大きいものになりそうである。
 北朝鮮jも、早く「核」に関する結果を出す必要に迫られている。米国の次期政権が、現在の「宥和」姿勢を引き継ぐとは限らない。
 米国は、「宴」が終れば、半年は、大統領選挙と権力移譲の時節である。この間、米国は、国際政治の当時はとしては、相対的に抑制した姿勢を取らざるを得ないであろう。
 日本も、来年九月までには「政権選択」を賭けた選挙が行われる。福田康夫総理の内閣改造に際して、自民党と公明党との間に微妙な空気が漂ったと伝えられる。「テロ対策特措法」の延長が成るのか。景気下降局面での政局混乱というのは、どうのように考えても、不味いことでしかない。
 このようにして、オリンピックという「祭」の後は、憂鬱なものになりそうである。もっとも、政治を観察する立場からすれば、「飯の種」が尽きないということかもしれないが…。

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Comments

まずはブログ再開おめでとうございます。
私なんかでは、ブログを拝読させて頂いても、自分の無知、無学を思い知らされるだけなのですが、、、。

今回の記事に書かれています6つの内では、やはり中国の事が気になります。
バブル崩壊→それまで裕福と言われていた都市部で破産者続出→地方だけでなく都市部も治安悪化→都市部で大規模暴動発生→経済大混乱
などと言う事にならなければ良いと思っています。
名も学も無い愚者の戯言です。酒席の笑いのネタにでもしてやってください。

Posted by: KAMURO | August 12, 2008 at 11:02 PM

待っていました!
より目が離せない世の中になってきましたね。

Posted by: opp | August 13, 2008 at 08:16 AM

雪斎先生、おひさしぶりです。誠にうれしい復活でございます。
休止期間中もURLを「お気に入り」から外さず、「こういうときに雪斎先生の言葉があれば…」と思って時々立ち寄っておりました。ということで、「復活後コメント1号、ゲットだぜー」です。これからも、よろしくお願いいたします。

Posted by: うめもと | August 13, 2008 at 10:09 PM

こんにちは
再開を嬉しく思います。
小生、仕事の関係で札幌から埼玉に転居し、職場は汐留ですが、東京は暑いですな。

さて、ロシア・中国を初めとする周辺国問題ですが
ここしばらくの間、外交・国家運営思想を巡る世代間抗争と
戦後日本の平和主義と言う方向に極大化した振り子の、
ゆっくりとした揺り戻しが始まったように思えます。
思想的に理想化いた「外国」でなく、ダイレクトに、そして
マスメディアによる情報の統制の外から「外国」を知った
世代が、ヒステリックにでなくクールに現実的対応を期待していると。

声高に叫び運動するわけではなく、ただ黙って日常を過ごしながら、前の世代の減少と無力化を待っているように感じます

Posted by: TOR | August 14, 2008 at 12:58 AM

ブログ再開おめでとうございます。

韓国経済の問題は去年から注目していたのですが、今年になっていよいよ火を噴き出した感じですね。今はこれまでに蓄えた多額の外貨準備で何とかなってますが、あれもいつまで持つんでしょうか。

あと、あの国はデモさえすれば何でも解決できるという思いこみがあるのかなという気がします。BSE問題や竹島問題でも激しいデモが却って事態を悪化させているというのに。民主化運動の成功例が国民性にすり込まれてしまったのでしょうか?
かつての日本で明治維新の成功例が頭にすり込まれてしまい、「昭和維新」などと言ってクーデターが繰り返され、それがさらに事態を悪化させたことを連想しますね。

ただ、あまり韓国の悪いところばかり言っても仕方ないので、最後に朝鮮日報のすばらしいコラムを紹介しておきます。この楊相勲(ヤン・サンフン)論説委員は注目すべき人物かもしれません。

【コラム】独り善がりな「コリアン・スタイル」(上、下)
http://www.chosunonline.com/article/20080812000059
http://www.chosunonline.com/article/20080812000060

Posted by: Baatarism | August 14, 2008 at 09:50 AM

再び雪斎殿の着流し姿をお目にかかる事が出来て嬉しく思います。細く長く続けて頂けると幸いです。暑い日が続きますがお体に気を付けて励んで下さい。

Posted by: へきぽこ | August 16, 2008 at 12:06 AM

遅まきながら、今日復活されたことを知りました。
お待ちしておりました。今後の記事を楽しみにしております。

Posted by: わだ | August 16, 2008 at 06:49 PM

遅ればせながら再開を祝したく。

上手く言えないのですが、保守主義と愛国主義は本来全然違うものなのに、なぜかこの国では両者がごっちゃにされているような気がします。この辺の違和感を、雪斎どのに斬り解いていただきたいと思っております。

頓首

Posted by: かんべえ | August 19, 2008 at 05:02 PM

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ご存じの通り、10年来ジャイアンとスネ夫のような関係を続けてきた自公連立が曲がり角に来ています。 [Read More]

Tracked on August 20, 2008 at 08:52 PM

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