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April 07, 2008

春眠から覚めた後に考えたこと

■ 土曜日の午後八時に就寝して、起きてみたら日曜日の午後四時を過ぎていた。二十時間は寝ていたことになる。こうしたことは、過去十数年にはなかった。
 母親が開口一番、「死んだのかと思った…」である。
 これこそ、「春眠、暁を覚えず」というところか。

■ モーリス・ラヴェルの「ボレロ」、ジョルジュ・ビゼーの「アルルの女組曲」を聴く。
 演奏は、アンドレ・クリュイタンス指揮でパリ音楽院管弦楽団である。
 単純なリズムの繰り返し、それに依った偉大な作品である。
 たいした変わりもない普段の生活も、後々に偉大な作品に昇華できれば、それは凄いことに違いない。
 学者の「望み」は、そうしたことにしかないような気がする。
 

■ 今年、名目GDPで「日中逆転」が起こるそうである。
 雪斎は、「日本は世界第二の経済大国である」ということを自明のことと思ってきた。
 だが、それは、過去のことになりそうである。
 こういう転落の瞬間をリアル・タイムで経験することになるとは、想いも寄らなかった。
 2050年には、ブラジルにも抜かれるという予測も出てきている。
 エドワード・ギボンの『ローマ帝国衰亡史』よろしく、『経済大国・日本衰亡史』ということを考えなければならないとすれば、それは誠にさびしいことになりそうである。
 ところで、「『経済大国・日本』は世界史に何を遺したのか」と問われれば、どういう答えが出てくるであろうか。
 日本は、学術・芸術の世界に耽溺して、「華やかに衰える」ことを考えるべきなのか。
 日本国全体で、あのルキノ・ヴィスコンティの映画の世界に入り込んでいく。
 それも、楽しいかもしれないけれども…・。

■ 雪斎は、国土開発、厚生労働、産業振興といった領域の官僚の役割は、限定的に考えるべきだと考えている。
 昔、省庁再編前に北海道開発庁という官庁があったけれども、外務省よりも多くの人員を抱えた北海道開発庁の手で一体、北海道の何が開発されたというのであろうか。ところが、こういう領域の行政が、今までは、利権と結びつき、肥大化してきたわけである。だから、雪斎は、新テロ特捜法や日銀総裁人事の折に比べれば、此度の揮発油税暫定税率失効に際しては、民主党の対応を嵩にかかって批判する気はない。建設官僚が道路特定財源を「自分の財布」のように使えるような状態にしたから、問題が起こっているのである。
 極端なことをいえば、国家官僚には、外務、防衛(テロ対策)、治安維持(警察、自然災害対策、感染症予防、医薬監視)、財務(徴税、金融監視、国際金融)、技術開発(高度先端技術)に関わる部門さえ残せば、あとは、地方政府や民間にゆだねたところで何の問題もない。
 民主党は、日銀総裁・副総裁の人事から財務省の影響力を徹底しては排除する心積もりのようである。総裁は決まるが、副総裁は決まらない。「総裁の空位」は終わるとはいえ、何時まで、このネタで引っ張るつもりであろうか。庶民の中にある「反・官僚感情」に寄り掛かって何かをしようとすると、「どの領域の官僚に、どこまで期待するか」という見極めが付かなくなる。今の民主党は、そうした惰性に陥っていないと果たしていえるであろうか。

■ これから米をどんどん作る時代になるのかと思う。コメを粉にして、それをこねて造ったパンは旨いそうである。
 余りにも小麦やトウモロコシの国際価格が高くなりすぎている。
 小麦やトウモロコシを投機の対象jにできないようにする国際規制ができれば話は別であるけれども、それが難しいのであれば、小麦を使わないようにすることで自己防衛を図るしかない。もはや、「カネがあれば世界から何でも買える」時代はない。ぜひ、地方の土建業者の人々には、「帰農」してもらったら、どうであろうか。異論はあるかもしれないけれども…。.

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Comments

人口が10倍以上の中国や、2倍以上のブラジルと単純なGDPの大小を比較するのにはあまり意味がありません。

それより重要なのは、物価上昇率と為替変動の影響を排除した後の、「1人当たりGDP」が、経済の競争力・効率性、人々の幸福度を考える上で重要です。なぜなら、一人当たりGDPに各国の本当の強さが表れるからです。

人口の多い国が上げ底で評価される単純なGDPと、一人当たりGDPの上位国はランク・インする国がガラッと変わります。

ノルウェー、ルクセンブルグ、スウェーデン、フィンランドといった北欧諸国に加え、アメリカ、イギリス、そこに日本が加わる一人当たりGDPのランキングにこそ、日本がこだわるべき経済指標です(北欧諸国は人口1000万以下ですから、GDPランキングでは上位に出てきませんが、一人当たりGDPが高い国は人々の幸福度が高いのです)

日本が目指すべきは、一人当たりGDPで世界のトップ10にランクインし続けることでしょう(人口が10倍の国と、単純なGDPの大小を比較しても意味がありません)。

一言で言えば、20世紀的な「量(でごまかす経済)」から、「質(にこだわる経済)」への転換です。

Posted by: エコノミスト | April 07, 2008 at 05:58 AM

民主党には元官僚も多いはずなのですが、それが逆に民主党を「自分を活躍させてくれなかった霞ヶ関に復讐する党」にさせているのかもしれませんね。

こう言うと語弊がありますが、なんとかと鋏は使いようで、副総裁なら元財務官僚の専横の心配よりは、彼の才能の活用の方が勝るとふつうだったら考えるべきだと私は思います。

さすがに副総裁すらダメというのはやりすぎだと思うのですが、うまく使えば最高の道具になるのに、敵にしてしまっては意味がないでしょうに。

Posted by: べっちゃん | April 07, 2008 at 11:50 PM

そういえば、以前は反省の意味で使われていた「夜警国家」なんて言葉、最近では望ましい、あるべき国家の意味で使われることがあるようですね。
普通に誤用ではあると思いますが、初めてみたときは呆れてしまった記憶があります。

Posted by: E.a | April 09, 2008 at 06:02 AM

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