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April 09, 2008

不同意理由の逐次投入

■ 第二次世界大戦中、ガダルカナル作戦やインパール作戦における日本軍の愚行を表すものとして言及されるのが、「兵力の逐次投入」である。
 この伝でいえば、日銀総裁・副総裁人事案件を前にした民主党の対応は、さしずめ「不同意理由の逐次投入」と評されるものである。
 日銀総裁・副総裁人事案では、民主党は、渡辺副総裁案を「天下り反対」ということで不同意にするつもりのようである。何故か。小沢一郎氏が反対したためだそうである。
 武藤総裁案、田波総裁案のときは、「天下り反対」という理由は前面に出ていたであろうか。
 要するに、次から次から「別の理由」を持ち出しては、不同意にしているのである。
 人間の心理を荒廃させるのに一番、有効な方策は、「何時、終わるのかが判らない状況」に人々を追い込むことである。人間が「冬の寒さ」を堪えることができるのは、「冬の後には春が来る」ことを知っているからである。そうした展望がないところでは、人間の精神はおかしくなる。
 その点では、小沢一郎氏は、日本の「政治の風景」を荒涼としたものにすることには間違いなく貢献している。
 日銀総裁・副総裁人事を「何時、落着するのか判らない状態」に放り込んでしまったわけである。
 こういうネチネチとしたやり方は、間違いなく「報復」される。その「報復」が具体的にどのようなものであるかは、雪斎の知るところではないけれども…。

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「学者生活」カテゴリの記事

Comments

今回の日銀政局は、戦前とのアナロジーで語りたくなることが本当に多いですね。
これまで目にしただけでも、統帥権干犯問題や大臣現役武官制、あるいは陸軍そのものに例える意見もありました。(自分の意見も含めてですがw)
そして今度は、兵力の逐次投入ですか。民主党は戦前の愚行を一身に背負うのでしょうか?

Posted by: Baatarism | April 09, 2008 at 09:43 AM

「不同意理由の逐次投入」とは、要するに「後出しじゃんけん」のことですな。察するに、誰も相手にしてくれなくなるまで、同じことが続くのでありましょう。

Posted by: かんべえ | April 09, 2008 at 03:01 PM

小沢氏よくやった言いたいですね。

経常収支20~30兆円あるのに
不景気のままはおかしいです。

財務省と日銀は、どんな言いがかりを付けても切るべきです。

逆に貿易赤字国が、何故景気が良かったのか 説明が欲しいです。。

Posted by: heibay | April 10, 2008 at 02:22 PM

>逆に貿易赤字国が、何故景気が良かったのか 説明が欲しいです。。
景気が良すぎて他国から消費財買わなきゃおいつかないから貿易赤字になるのでは?

Posted by: 中の人 | April 10, 2008 at 03:06 PM

貿易で儲けた金を使うかどうかの決定権は財務省ではなくて各企業や個人にあると思うんですが・・・まあ企業が貯め込んだ利益をはき出すような仕組みになっていないのは財務省が悪い、という意味ならば主義主張としては成り立たないこともない。

Posted by: べっちゃん | April 10, 2008 at 06:47 PM

そうか、大多数の国民はおそらく、国土交通省が道路や橋を管理し、厚生労働省が保育所を管理しているのと同じように、財務省は国民の財布を管理する役所だと思い込んでいるのでしょうな。

実際は財務省というのは国の財布の管理をしているだけで、国民とは直接の関わりは一番薄い官庁なんだけれど、そこら辺に官僚と国民の間の齟齬があるんだ。

国民が財布を緩めたり引き締めたりするように誘導することを仕事としているのは財務省ではなくて日本銀行なんですよね。ということは、heibayさんは日銀を糾弾するべきなんです。

Posted by: べっちゃん | April 10, 2008 at 07:03 PM

私は、金融の専門でないので微妙な金利の影響は分かりませんが、日銀が、利上げしようとしたときヤクザのような中川秀直氏や、太田氏が脅しをかけて反対して、それに屈していたいた記憶が、残っています。そのため、いかほどのお金が海外に流出しているのか? インドの中小企業ローンまで円建てですから。
  本来、財務省や日銀は、円は価値のある通貨にすることも仕事ではないでしょうか?(行き過ぎも問題ですが)日銀の実効為替レートがプラザ合意 以下の価値のない状態だったっていうのが納得できません。スイス中銀のように、円が安すぎるとの口先でも自国の通貨を守ろうって言う姿勢が、全然見れませんでした。この低金利政策って緊急措置だったハズでは?ただ今の国際情勢では、あげれませんが。

Posted by: heibay | April 10, 2008 at 07:21 PM

もしかしたらわかっていて質問されているのかもしれませんが、もうしばらくおつきあいします。

金利の上げ下げというのも、高気圧・低気圧、あるいは電極のプラスマイナスと一緒で、日常使われる言葉から生じるイメージとの違いが混乱を招いている例かもしれませんね。

高気圧といわれると何だか温度が高そうですが、温度が高いのは低気圧の方です。また電子はマイナス極から発射されます。

金利が上がると言うことは、借金を返すのが大変になると言うことですので、金利が上がるとお金を使う人は減ります。

当然、貸し出しの金利上昇に伴って預金金利も上がるわけですが、そうするとお金が剰っている人は使うよりは銀行に預けた方が得だと考えて銀行に預けてしまいますので、ますますお金を使う人が減ります。

従って金利を上げると、銀行にお金が貯まる反面、経済活動は沈静化してしまいます。

中川秀直氏あたりが金利引き上げに強硬に反対したのは、やっと立ち直りかけた日本経済が上に述べたようにして再び冷え込んでしまうのを恐れたからです。

Posted by: べっちゃん | April 10, 2008 at 08:09 PM

(A)円が強くなると、日本国内の人件費その他が上がりますので、輸出企業は製造費が上がります。もちろん外国から仕入れる材料は値段が下がりますが、先進国で物を作ろうとしたら、一番お金がかかるのが人件費ですので、円が強くなると日本製品の値段が上昇します。従って日本製品が外国で売れなくなります。

(B)逆に円で資産を持っている人達は、円の価値が上がるので、外国で沢山物が買えるようになります。輸出に頼ることなく、円で収入を得ることができる人も、外国の物を安く買えるようになります。

 小渕政権以降の自民党政権は、(A)の人達を助けようとしたので、なるべく円を安くするように努力しました。おかげで自動車産業はますます盛んとなり、一時は壊滅といわれた鉄鋼や造船まで息を吹き返しました。

 反面(B)の人達は困ったはずです。私は(A)側の人間ですのでよく知らないですが。ただ、日本は高い物(生産機械、家電など)を輸入する必要がないので、円が安くなってもあまり困りませんでした。

 もしかしたら、外国から高い物を買わないと仕事にならない人達、たとえば医師・航空会社・防衛庁などは人知れず困っていたのかもしれません。

Posted by: べっちゃん | April 10, 2008 at 08:25 PM

結局いくらお金を持っていても、使わないと豊かになれないと言うことですね。

経常収益が黒字になったといっても、輸出産業や海外での投資に成功した銀行などの通帳にたまっているだけで、積み上がった資産が日本人全員の物になっていないからいつまでたっても景気が回復しないように見えるのです。

自民党政権のシナリオでは輸出産業が復活して、輸出産業が設備投資をしたり、従業員のお給料が上がって家や車を買うことによって、輸出産業以外にもお金が回るようになるはずでした。

実際そのように物事は進んでいますが、予定よりはスピードが若干遅いかもしれません。それで不満がたまっているのでしょう。

Posted by: べっちゃん | April 10, 2008 at 08:31 PM

  小泉内閣の時、35兆円外国為替特別会計で米国債を買っています。なんぼイラク戦費や円高と言っても、やりすぎに見えてしまいます。
日銀と財務省が一緒くたに見えてしまうんですね。
 結局、輸出企業が稼いだお金が国内に残らない仕組みになっているとしか写らないんですね。(お金を使えなくしてしまっているしか思えませ) 
 そして、中川氏が言うべきことは、ドイツがECBに言っている様に、「金融政策は日銀を信用している」との言葉ではないでしょうか?
渡辺氏もネットを見ていると、能力の高い方と思います。しかし中川氏の言葉がでてきて、武藤氏のいる日銀が正しく政策金利を判断しのかが疑いを持ってしまいます。
 また 低金利政策が、果たして、銀行の預け入れ金利と、貸し出し金利のスプレッドに十分反映されてたかは、疑問です。銀行がボッタクリしていたのかもしれません、銀行が民間企業なのでどうし様もないですが。
(引用はじめ:植草一秀)
財務省出身者を日銀幹部に就任させないルールの確立は、財政当局からの日銀の独立性を担保する最も確実な手法である。財務省出身者の日銀幹部への任用をルールとして排除することを、中央銀行の独立性を担保するための「セーフティーネット」と理解するべきである。
(引用終わり:http://www.uekusa-tri.co.jp/column/)
それなので、小沢氏の行動が、正解に思えます。
ただ、小沢氏も最初から官僚が駄目とは、考えてなかったかもしれませんが。
色々お教え頂きありがとうございます。

Posted by: heibay | April 10, 2008 at 09:17 PM

黒い猫でも白い猫でもネズミを捕るのが良い猫なわけで、経済を発展させてくれるのならば、日銀総裁は前身がなんであろうといいわけです。

ここ数年のデフレ不況が、日銀が政府とその意を受けた財務省によって足を引っ張られたために発生したのであれば、日銀の委員から財務省関係者を追い出すのは日本経済のためになるかもしれません。

日銀から財務省関係者を排除したからといって必ずしも日銀が完全無欠な金融政策を遂行できるようになるかどうかは誰にもわかりません。

民主党や植草氏がその主張へ説得力を持たせるためには、ここ数年の不況と、政府による日銀への干渉の間の因果関係を明らかにする必要があるでしょう。

ただし、国民の間に「デフレ不況は、正義の日銀が、悪の財務省及び自民党の横槍で自由に動けなかったせいで続いたのだ」という印象を持たせるのが民主党の目的であるのならば、ある程度成功したといえるかもしれません。

Posted by: べっちゃん | April 10, 2008 at 11:23 PM

おっと、お礼を忘れていました、heibayさん私も楽しかったです。ありがとうございました。

雪斎様、私の拙い説明で掲示板を汚してしまい、失礼しました。

Posted by: べっちゃん | April 10, 2008 at 11:54 PM

デフレ不況については、日銀とは違うと思っています。
山本清治氏が的を得ているのではないかと思います。
(引用開始)
4)(木村剛氏)この程度の才能が金融庁顧問として絶大な権力を振るい、日本の巨大企業30社を名指しで「つぶせ」と恫喝していたのである。
(5)企業の過剰債務は銀行の過剰融資である。竹中大臣は木村剛の強面(こわもて)を利用して銀行を威嚇し、過剰融資の責任を追及した。ダイエーや日商岩井やUFJ銀行が事実上の倒産に追い込まれた。
(6)つぶすと脅かされて、金融機関と企業は借金を返済するために株式と不動産をたたき売った。買い手不在の市場で大暴落した株式と不動産を、ユダヤ資本がダ同然で一手に買い占めた。

(引用終わり)

上記のように、企業が脅され続けた経験があるため、資金需要がなくなり、リチャードクー氏の言われている、金利を安くしても(ボッタクリではあるが)借り手がいないバランスシート不況がおこり、デフレが起こったと私は考えてます。

デフレについてもう一つ原因は、財務省の小泉政権時において地方に対する歳出削減と考えてます。

日銀の問題点は仙谷氏の言っている3点でしょう
1)超低金利政策による家計から企業への所得移転
2)国債買い入れオペの増額による財政政策との緊密化
3)超緩和政策による円キャリートレード

デフレでなく、上記3点のようなことが、財務省の人間が入ったからと言う疑念がないようにすべきではないでしょうか。

雪斎様 私も済みませんでした。

Posted by: heibay | April 11, 2008 at 12:18 AM

家計から企業への所得の移転があったのは事実でしょうね。でも金利を上げていれば企業が潰れて国民はもっと困ったわけです。

それを防ぐためには、(1)国がもっと借金をして公共事業をするか、(2)企業の会計の基準をゆるくするかありません。

(1)はGDPの1.5倍の債務を抱えて更に借金を増やすのは無理だったでしょう。(2)は可能ですが、その場合は日本企業が欧米で仕事をするのが難しくなったかもしれません。

「日本の政府が銀行に甘い」というのは一面の真実ではあります。ただ、財政と金融を分離して銀行に厳しく当たれという主張の通りに不況を処理すると、上で言ったような理由で企業の倒産が増えますので、後腐れはないかわりに、一時的には失業者がデフレ不況時よりももっともっと町に溢れて、これはこれで大変なことになるでしょう。

Posted by: べっちゃん | April 11, 2008 at 08:02 AM

123便の第3エンジンにミサイルが突き刺さっている。

運輸省事故調査委員会報告書写真では反対側からの写真を掲載しているが、第3エンジンにミサイルが突き刺さっている。
http://www.asyura2.com/bigdata/up1/source/6405.jpg
http://www.asyura2.com/bigdata/up1/source/6406.jpg
この場所は普通の人は行かない、ちょっと離れたところにあるのですが、砂防ダムができていて成分が流れていかないようにされているんですよ。以下転載です。
http://ja8119.iza.ne.jp/blog/

Posted by: 123 | April 11, 2008 at 02:10 PM

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