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April 17, 2008

中国の「孤立」

■ 中国も、「孤立」への道を驀進するのであろうか。
 □ 中国で仏カルフールの不買運動、チベット問題が飛び火
4月15日15時46分配信 ロイター
 [北京 15日 ロイター] 中国のネットユーザーが、仏小売り大手カルフールの店舗での不買運動を呼び掛けている。チベット独立を訴えるグループをカルフールが支援しているというのが理由。
 不買運動の推進者らは、カルフールがチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世にも資金面で援助しているとし、携帯電話のメッセージやインターネット上の掲示板を通じ、5月1日からカルフールで買い物をしないよう呼び掛けている。
 カルフール現地法人からのコメントは今のところ得られていないが、15日付の新京報は、今回の不買運動について調査中だという同社スポークスマンのコメントを報じている。

 中国は、チベットに関して、「何故、批判されているのか」が全然、理解できていないようである。この騒動は、一過性のものではないような気がする。雪斎は、「まともな民主主義国家でない国がオリンピックを開催すれば、その後十年近くでつぶれる」という「オリンピック仮説」を示したことがあるけれども、中国も、その例外ではないかもしれない。中国が「仏貨排斥」などいうことに脳天気に走っていると、中国に対する資本の流れが滞ることになるかもしれない。
 それにしても、「カネの切れ目が縁の切れ目」という言葉が国家の関係にも当てはまるのであれば、今の中国は、そうした態度で向き合う国の筆頭に位置する。中国とは「市場」としての期待があるから付き合っているのであって、そうした期待を越えた魅力が今の中国に感じられるかと問われれば、雪斎は率直に答えに窮する。米国とは、ベースボールがある限り末永く付き合えるし、西欧諸国とは、「騎士道・武士道」の共鳴でつながることができるし、台湾とは、「kawaii(カワイイ)」文化をお共有できると思われるけれども、今の中国には、そうした「共感の材料」は、ほとんどない。「漢字文化」の同質性を指摘する向きもあるかもしれないけれども、今の中国の簡体字には、そうしたことを感じるのは難しいであろう。中国政府は、自らの「ソフト・パワー」に関する限り、かなり貧弱なものであることを理解いたほうがよいかもしれない。何らかの問題が生じれば絶えず他国に責任を転嫁するかのような姿勢では、話にならない。
 振り返れば、中国共産党政府を西側諸国で最初に承認したのは、シャルル・ド・ゴール執政下のフランスであった。今、「最初の友人」を攻撃する中国の姿勢を見るにつけ、中国の西側諸国との「縁」は、フランスで道が開かれ始め、フランスで道が閉じられ始めるのではないかと想像する。フランスは、「人権思想の母国」という意識があると思うから、こうしたことでは曖昧な妥協などできないであろう。ニコラ・サルコジは、昨年、政権を発足させた折には、その対中傾斜ぶりが指摘されていたはずである。フランスと中国との亀裂は、西側諸国全体との亀裂に広がっても不思議ではあるまい。
 日本は、どうするのか。一般論としていえば、中国の動向から直接の影響を受けることのない欧州諸国と異なり、日本は、人権のみを大上段に掲げた対中批判に走るわけにはいかない。中国は、日本にとっては、「近すぎる国」なのある。だが、日本は、どこまでいっても、「極東の国」ではなく、「極西の国」である。中国が今後も西側世界の国々に対して、非妥協的な姿勢を取り続けるのであれば、日本は、中国を庇いつづけることができなくなるであろう。日本対中外交の基本姿勢は、そうした「極西の国」としての位置を中国に明確に示すことである。くれぐれも、中国に対しては、日本が「東洋世界の中の舎弟」であるなどと誤解させてはならない。
 ところで、福田康夫総理が来月初頭の欧州歴訪を取り止めるようである。「愚策」である。雪斎は、サミット準備云々よりも、胡錦濤訪日を控えた対中政策の事前説明と調整のためにも、この欧州歴訪の機会が生かされるべきであると考えた。その機会をみすみす逃すとは…。「今度、胡錦濤が来るので、一緒にピンポンをやるのだけど、そのときに、ちゃんとチベットの人権問題に関して釘を刺しとくからな…」。こういう総理直々の説明は、やっておくべきであったような気がする。

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Comments

先日、当方も同様の主旨を乱暴に書きましたが、まったく同感です。東洋と西洋の狭間で生きるのは難しいのですよね。日本は「極西の国」=「もっとも西欧化された非西側文明」という立場を明らかにすべきだと思います。

Posted by: かんべえ | April 17, 2008 at 11:38 AM

最初に共産党政権を認知したのはイギリスでは?
1951年に。

Posted by: susumu | April 17, 2008 at 04:34 PM

チベット? 
欧米が外国にしてきたことでは、ないのか。
フランスのアルジェリア占領の時、現地人に人権はあったのだろうか?
未だに、米国はイラク占領をしているではないか、

新疆ウイグル自治区のイスラム教の人間が暴動を起こし、
中国政府が同じように 弾圧をしたなら 
米英仏で同じように、聖火の妨害は、あっただろうか?

陽中陰 陰中陽 

悪魔の中国が外国を試しているように見える。
中国とは、汚い白人は アジアから出て行けで付き合えばいいのではないのか。

Posted by: heibay | April 17, 2008 at 07:39 PM

 全くその通りなんですが、米国の場合は大統領がこまめにイラクを訪問したり、連合軍を作って共犯を増やしたりと無花果の葉っぱをつける努力をしています。

 中共の場合無花果の葉っぱすらつけていない、せめて葉っぱをつける努力だけでも見せてくれれば、西側諸国ももうちょっと付き合いやすくなると言うことでしょうね。

 英国やフランスの政府にしても、人権尊重という建前がありますので、チベットを持ち出されると原則論を振りかざさざるを得なくなります。ここら辺は日本と北朝鮮の拉致問題に似ているかもしれません。ブラウン首相やサルコジ大統領が「まあ支那にも言い分があるでしょう」なんて事を言ったら突き上げをくらって失脚してしまいます。

 それが読み切れなかった以上、外交ではこれは支那の失点になります。

Posted by: べっちゃん | April 18, 2008 at 12:04 AM

最近、こんな本を読んだのですが、この本によると、日本人が昔から親しんできた漢文と現代中国語は全く別の言葉だそうです。だから「漢字文化」の同質性というのも、最初から怪しそうですね。

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4898315038

Posted by: Baatarism | April 18, 2008 at 12:27 PM

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