ボゴタ、カラカス、キト
■ この動向には、少しまじめに目を向ける必要がある。
□ ベネズエラのチャベス大統領、コロンビアとの国境に戦車移動
3月3日11時13分配信 ロイター
[カラカス 2日 ロイター] ベネズエラのチャベス大統領は2日、コロンビアとの国境に戦車を移動させ、戦闘機を出動させた。コロンビアが前日、ベネズエラの同盟国であるエクアドルの国境を越えてコロンビアの反政府勢力を殺害したことを受けた措置。チャベス大統領は、コロンビアに対し、戦争につながりかねない、と警告した。
チャベス大統領は、コロンビアから外交関係者を全員帰国させた。
チャベス大統領は、テレビに出演し、国防相にコロンビアとの国境に戦車を即刻移動させることや戦闘機の出動を命じるとともに「コロンビアがわれわれの領土を侵すことは断じて許さない」と表明した。
またチャベス大統領は、コロンビア軍がベネズエラ国内で攻撃を行えば、コロンビアに戦闘機を送り込むとの姿勢を示した。ベネズエラの動きに対して、コロンビア政府は今のところ反応を示していない。
チャベス大統領の発言よりも前に、コロンビアのウリベ大統領は、軍事作戦に踏み切ったのは国境を越えて攻撃を受けたためだった、と説明したうえで、エクアドルの主権を侵してはいない、と主張した。
□ エクアドル、コロンビアとの外交関係を断絶
3月4日8時38分配信 ロイター
[ボゴタ 3日 ロイター] エクアドル政府は、コロンビアに対して、外交関係断絶を通告した。コロンビア外務省が3日明らかにした。コロンビアの政府軍が武装組織コロンビア革命軍(FARC)幹部をエクアドル領内で殺害したことを背景に、両国の緊張が高まっている。
この件で何を注視すべきかといえば、米国の動向である。
要するに、このコロンビア、ヴェネズエラ、エクアドルの三国の紛糾に際して、米国が、どう動いてくるのかということである。
コロンビアの現体制は、アルヴァロ・ウリベ・ヴェレス親米右派政権であり、ヴェネズエラは、いわずと知られたウゴ・チャベス反米左派政権である。コロンビアと断絶したエクアドルは、ラファエル・コレア「反米」政権である。コレアは、チャベスやキューバのフィデル・カストロと親交のある人物である。だから、大雑把にいえば、カストロ、チャベス、コレアの三人は、ラテン・アメリカにおける「反米三人衆」ということになる。
コロンビアは、国内の左翼ゲリラへの対応に手を焼いてきた。ウリベ政権は、そうしたゲリラ制圧に向けた強硬姿勢で知られた。ジョージ・ブッシュとの親和性も高いのであろう。しかも、ウリベ政権は、チャベスがゲリラを支援しているのではないかと疑っている。ボゴタ+(ワシントン) vs カラカス+キト という構図になっている。
米国にとっては、こうした国々の紛糾は、「西半球」マターである。故に、注視しなければならないのは、もう少し情勢が険悪になったときに、米国が介入してくるのかどうかということである。介入してくる場合、どこまでの介入になるのか。軍隊は投入されるのか。こうしたとことを見ておく必要がある。
米国は、ラテン・アメリカの事情にはかなり頻繁に介入してきた事情がある。グレナダ、パナマ、ニカラグア、エルサルバドル、グアテマラ、ハイチ、チリ…。故に、米国が何もしないということは考えにくいと思うのだが…。
最後に、暴論である。
ここで軍事介入をやって、それで景気を浮揚させる…などということを、まさか米国政府は考えてはいないであろうな。
「国際情勢」カテゴリの記事
- 「外交青書」と韓国の抗議(2012.04.07)
- 「想定外」の話(2011.03.02)
- 「国後」の仇を「尖閣」で討つ。(2010.11.03)
- 罵倒を切り返す感性―「ひのもと おにこ」(2010.11.01)
- 日本鬼子(ひのもと おにこ)(2010.10.30)
The comments to this entry are closed.
Comments
軍事介入はあり得そうなオプションですね。
イラクと違って、戦争が終わった後の統治はコロンビアにさせれば、米国としても出血をあまり強いられなさそうだし、コロンビアにしても大コロンビアの経験がある分、やってみたくなるのではないでしょうか。
Posted by: ペケ | March 05, 2008 09:12 PM
以下のように、まとめている方がいます。
http://nanmei.at.webry.info/200803/article_1.html
Posted by: MUTI | March 09, 2008 06:23 AM