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March 13, 2008

民主党に知恵を付けてみようか。

■ 昨日、産経「正論」欄に、民主党批判の原稿を載せた。
 こういう原稿を書くと、何時も、雪斎における「自民党色」を口にする御仁が出てくる。
 雪斎は、「自民党員」であったことは一度もない。
 故に、自民党の執政を兎に角、支持するという義務はない。
 自民党所属議員の政策担当秘書だったという前歴を云々する向きもあるかもしれないけれども、雪斎の「永田町キャリア」の出発点は、非・自民党政権のスタッフである。こういった事情から、雪斎は、鳩山由紀夫、渡部恒三、羽田孜、岡田克也といった人々には何ら悪しき感情を持っていない。無論、民主党若手には、親しい政治家もいる。故に、民主党を兎に角、批判しなければならない理由もない。
  雪斎の原稿に「党派性」を見る人々がいるとすれば、その人々こそが「反自民」、「親民主」という「党派性」を持っているのである。

 問題なのは、安全保障、国際経済といったように日本の対外信用が掛かっている案件が、「党争の具」になっていることである。年金、医療、福祉などの「内治」案件ならば、いくら党争が行われても実害は相対的に少ない。
だが、安全保障、国際経済などにかかわる話は、別である。新テロ特措法にせよ日銀総裁人事にせよ、「党争の具」にしてはいけない案件だけを狙い撃ちにして「党争の具」にしている民主党の感覚は、雪斎の理解を超えている。雪斎が民主党に厳しい眼差しを向けているのは、そのことを理由としている。国内統治での失敗は国民各層の努力によって取り返せるけれども、対外関係での失敗は取り返しがつかないのである。
 因みに、こういう状況を作ったのは、「小泉の遺産」を護れなかった安倍晋三前総理の責任が「七割」であろうと思っている。安倍前総理は、「構造改革」継承という自分の役割を忘れ、妙な保守イデオロギーに走った。たぶん、それが、「ねじれ国会」を呼んだ参議院選挙敗北の遠因である。この事情は、幾度も書いた。加えて、前原誠司代表時代の民主党であれば、雪斎は、行く行くは政権を担当してもらってもかまわないと思った。それくらい、雪斎は、「ネオ民主党」には期待したのである。
  かくして、此度の原稿は、別段、最初から「民主党批判ありき」で書いたわけではない。雪斎は、原稿中には次のように書いている。
 「民主党は、現下の難局対応の手腕に疑問を感じるという理由で武藤副総裁の総裁昇格に反対するのであれば、その反対には理があるかもしれないけれども、「財政・金融の分離」という平時の論理に固執して反対するのであれば、それもまた、前に触れた「失政は許されない」という意識が民主党においては希薄であることを示す明白な証左となろう」。
 雪斎が民主党に知恵を付けるとすれば、「武藤総裁」の難点は、「国際コミュニケーション能力」への不安である。各国中央銀行総裁との緊密なコミュニケーションを図るのが「世界第二の経済大国」の中央銀行総裁の役割である。主計畑を歩んだ武藤氏には、万全な「国際コミュニケーション能力」を培う機会があったのであろうか。だとすれば、「国際コミュニケーション能力」への不安がある人物は、果たして総裁に据えてよいのであろうか。もし、民主党がこの点を懸念して武藤総裁の登場に反対するのであれば、その反対の論理は筋が通っているといえよう。過去の経緯云々をもとにした反対よりも、こうした趣旨の反対の方が、遥かに建設的である。
 もし、明日以降、民主党から、この話が出てきたら、雪際は民主党に「アイディア料」を請求することにしよう。今まで、何故、こういう話が出てこないのか。民主党が何も考えてないことの証左であろう。雪斎への「アイディア料」は、高いでっせ。
 ところで、朝日新聞や毎日新聞は、どちらかといえば民主党に同情的なメディアだったと思うけれども、その両紙も、此度の民主党の対応には厳しい視線を向けている。下の記事は、まとまったものである。民主党を擁護する材料を見つけるのが、至難の業である。

 □ 日銀総裁人事 民主党「不同意」に新聞各紙が猛烈批判
           3月12日20時6分配信 J-CASTニュース
 福井俊彦日銀総裁の後任になる新しい日銀総裁に、政府が推した武藤敏郎氏の人事案に民主党が「反対」していることに批判が高まっている。2008年3月12日付の日本経済新聞や朝日新聞など新聞各紙は社説で、「『不同意ありき』の民主党は無責任だ」(日経)「日銀総裁人事 腑に落ちぬ不同意の理由」(朝日)などと、民主党に厳しい論調を展開した。株価低迷や円高が止まらないなど市場環境が不安定ななかで、日銀総裁が「空席」になる失態を演じては海外から呆れられ、見放されるというわけだ。

 新しい日銀総裁に武藤敏郎・日銀副総裁を昇格する人事案は2008年3月12日、参院本会議で民主、共産、社民、国民新党の反対多数で否決された。衆参両院の議院運営委員会で武藤氏や、副総裁候補の白川方明・京大教授、伊藤隆敏・東大教授から所信を聴取したが、民主党は「財政と金融の政策分離」を理由に反対を決めていた。
 3月12日の日経は社説で、「(武藤総裁案には)所信聴取の前から、民主党は反対論が大勢を占めていた。初めから不同意ありきでは、新ルールが生かされない。これが責任ある政党の対応なのだろうか。きわめて遺憾である」と、痛烈に批判している。
 読売新聞は3月8日付の社説「日銀総裁人事 『財金分離』は理由にならない」のなかで、民主党のいう「財政と金融の分離」は使い方が違うと指摘。財政政策と金融政策を分ける「財・金分離」は本来、旧大蔵省から銀行監督などの金融政策を切り離すときに使われた言葉で、それを民主党は財務省出身の武藤氏が日銀総裁になっては日銀の独立性が損なわれるといった趣旨でとらえているとしている。
                  以下、略。

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Comments

「国際コミュニケーション能力」を問題にすると、竹中平蔵総裁を提示されたときに拒否できなくなるという(民主党にとっての)問題点がありますね。
民主党はインフレターゲット政策が大嫌いのようですから。w

Posted by: Baatarism | March 13, 2008 at 09:34 AM

なぜ国際コミュニケーション能力へ不安を感じるのかに対する模範回答も準備してあげないといけないと思いますw

Posted by: 通りすがり | March 13, 2008 at 10:32 AM

趣旨はわかりますが、書きぶりにすこし傲慢さを感じました。

付け加えるなら、ノーパンしゃぶしゃぶの件をあげるのが、国民の理解を得るうえでは一番いいのではないかと思います。
福井総裁も倫理面で問題を指摘されたことがあったわけですから、ポピュリズムを貫くなら、国際経験+ノーパンしゃぶしゃぶというのがベストだと思います。

Posted by: Jaque | March 15, 2008 at 12:31 AM

こんにちは。
制度の欠陥があるにしろ、大事なことを決定できず、責任を押しつけあっているというのは最悪ですね。
最近、貴族院について書かれた本(内藤一成著『貴族院』同成社刊)を読んだのですが、とかく評判の悪かった貴族院においても、議員たちは noblesse oblige を持って活動しており、それなりに二院制が機能していたようです。
要するに、参議院には貴族院のよき伝統が受け継がれなかったということのようで、英エコノミスト誌の指摘の通り、政治家が劣化してしまったということなんでしょう。

武藤氏の国際コミュニケーション能力についてはよくわかりませんが、同期の次官候補が過剰接待問題でふっとんでしまったので次官の座が転がり込んできた人、つまりは消去法で残った人材、という印象を持っています。
問題はむしろ、そんな人しか総裁候補に出せないという人材不足の方ではないかと(民主党も「対案はない」そうですし・・・)。

あと、歴代総裁が特定の大学の、しかも「法学部」出身者ばかりというのは、国際的に見ても異常ではないかと思います(東大が悪い大学とは思いませんが)。
日銀は「公家集団」と揶揄されるように、学歴とか家柄とかそういう毛並みの良さが重視されている組織なのですが、そのへん体質改善というか、改革のメスを入れる必要はあるでしょう。

ですから、個人的には武藤氏はともかく、日銀改革に意欲を見せた伊藤隆敏氏が否決されたということの方がショックでした。
こんなんじゃ、今後は国際金融に精通した人材がいても、余程の物好きでない限り、日銀総裁(副総裁)なんて引き受けないだろう・・・と悲観的な気持ちになりました。

Posted by: 板倉丈浩 | March 15, 2008 at 05:53 PM

>「国際コミュニケーション能力」への不安

事務次官をしていた人物にあり得るのでしょうか?
G7に、いきなり大臣が出席するのではなく、事前に事務方で打ち合わせがあるでしょうし、関税・外国為替などの国際業務もあります。
主計出身でも、次官時代に経験を積んでいるのでは?

Posted by: K | March 16, 2008 at 06:07 AM

おはようございます。永田町を離れられたのですね。
同窓会近況ページで初めて知りました。
例のマッカーサー証言録、重い腰をあげて
ようやく編集を始めました。
書籍のこと、さっぱり分からないのでいろいろ教えてください。
ご教示いただきました通り、索引をつけたいと願っています。

Posted by: 産経新聞 牛田久美 | March 18, 2008 at 05:04 AM

 アイデア料が請求できそうですよ。でも民主党の役員は使う文脈を間違えていましたが(笑)

Posted by: べっちゃん | March 18, 2008 at 08:15 PM

小沢さんがここでわざとゴネて民主党の支持率を下げることを狙ってたりして・・・。その先は大連立へ持ち込もうという算段かな?

Posted by: 笛吹働爺 | March 19, 2008 at 01:00 AM

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Tracked on March 14, 2008 at 11:05 AM

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