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March 30, 2008

一週間の空白

■ 先週中は、風邪で臥せっていた。この時分の風邪も大変である。
 声も変わってしまった。三十年ぶりの「異常事態」になっている。
 外出は、月曜日と火曜日だけであった。
 火曜日は外務省での定例の研究会に参加した。
 水曜日は、築地・朝日新聞本社で新著に関わる打ち合わせをした。
 残るは、ひたすら書を読み、資料を漁る時間が流れた。
 下の書は、実に有益である。一家に一冊という趣の書である。
  ● トゥキュディデス、『歴史 1・2』(藤縄謙三訳、京都大学学術出版会・西洋古典叢書、二〇〇〇年)
 

■ 現実の政治は、当面、動きようがない。
 福田康夫総理は、記者会見を開いて、「道路特定財源」を「一般財源」にすると表明した。
 自民党内の抵抗が指摘されるけれども、その「抵抗」は言われているほどには強くないであろう。
 現在の自民党には、「党内抗争」をやっている余裕はない。
 族議員が族議員たる前提は、自分が議席を失ったり自民党が下野したりしないことである。
 もし、そうした前提が揺らぐのであれば、族議員の振る舞いも、かなり変わってくる。
 「背に腹は代えられない」という言葉もあるのである。

■ 小沢一郎氏は、「解散・総選挙は近い」と盛んに煽っている。
 しかし、解散・総選挙は、来年の夏以降、実質、任期満了という形で行われるであろう。
 現在の時点では、政府・与党の政権運営のよりどころとなっているのは、「再可決」という手段である。
 要するに、野党がごねても「再可決」があるという安堵感が、現在の政府・与党にはある。
 故に、政府・与党が、こうした安堵感を自ら捨てるようなことはしない。
 小沢氏が「選挙、選挙、選挙」と連呼している限りは、福田総理は解散・総選挙に打って出ることはないであろう。むしろ、小沢氏が「選挙」を連呼するほうが、政府・与党には、好都合なのではなかろうか。今のままであれば、「小沢の頭の中には、国益のことはない。ただ選挙のことだけがあるのみである」という印象が広まることになる。それは民主党にはネガティブな意味合いしか持たないであろう。

■ 今、日銀法改正への動きが出てきそうである。
 総裁人事同意に際して、衆議院の優越を明記しようという話である。
 同じように、「ねじれ状況」の影響を受けそうな案件がある。
 こうした案件は、「ねじれ」状況が浮かび上がらせた現行統治システムの「穴」なのであれば、これらの「穴」を「再可決」という手段によって片っ端から塞ぐことを考えるべきであろう。
 もっとも、こういうことをやりすぎると、参議院の存在意義が侵食される。
 雪斎は、人事や外交案件は、参議院の優越を認めるようにしたほうがよいとは思う。
 二院制を採る以上、参議院には、衆議院とは異なる独自の位置づけが与えられて然るべきだからである。
 ただし、それは、参議院が「党争の舞台」にならないという前提条件をを満たした上でののことである。
 参議院議員の選出方法、その他をまじめに再考したほうがいいかもしれない。

■ おそらく、日本の政治の「底」は、2010年前半である。
 雪斎は、次の衆議院議員選挙で民主党が衆議院第一党になるのは、客観的に厳しいと判断している。
 同時に、自民・公明両党で衆議院三分の二を押さえるというのも、難しいであろう。
 だから、次の衆議院選挙以後、暫くの間、日本の政治はまったく動かないと予想される。
 しかし、早くも、2010年夏には再び参議院議員選挙が行われる。
 そこで、「ねじれ」が残るか。それとも解消されるか。

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Comments

ということは、雪斎さんは「政界再編」は起こらないという考えですね。僕も「政界再編」には懐疑的なんですよ。
ただ、衆院選の結果次第では、民主党が公明党を取り込んで衆院で多数を確保するという可能性は否定できないと思います。

しかし、何故政治評論家は「政界再編」には言及するのに「民公連立」には言及しないんでしょうね?そこが不思議なんですが。

Posted by: Baatarism | March 30, 2008 at 12:16 PM

当方の周囲でも、風邪で声が出ないと言っている人が多いです。どうぞご自愛を。

Posted by: かんべえ | March 30, 2008 at 05:34 PM

雪斎さん

こんばんは。私も少し風邪をひいてます。この時期、花粉症+風邪でかなりグロッキーなのですが、風邪が快方に向かい何よりです。まだまだ、朝晩、寒いのでどうぞご自愛ください。

トゥキュディデス、『歴史 1・2』(藤縄謙三訳、京都大学学術出版会・西洋古典叢書、二〇〇〇年)

は、私も在庫がなくならない間にと思い、購入して読みました。うーん、さすがにおもしろいですね。読みやすいですし。

麻生太郎議員の話でも、なかなか解散しないとみているようでした。恐らくそうなるでしょうね。政界再編論は、民主党が割れてしまいそうですが・・・。

Posted by: forrestal | March 30, 2008 at 09:20 PM

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