オバマの勢い
■ バラク・オバマの勢いが止まらない。
ヒラリー・クリントンの劣勢には、雪斎は二つの点を指摘しておく。
① 大規模「州」優先という戦略の危うさ
: 「孫子」にも書かれているように、「勝ちやすいところから確実に勝ちにいく」というのは、兵法の鉄則である。中小規模「州」の票は、「木っ端」みたいなものであるけれども、大規模「州」の票という「大木」を取るのは、確実性の点からは疑問が残る。ヒラリー陣営は、なぜ、「大穴」狙いのような選挙戦略を立てたのであろうか。
: 逆にいえば、オバマ陣営は、中小規模「州」であっても、「勝ち」を続けることによって、「勢い」を作っていったといえるであろう。オバマが宮本武蔵のの話を聞いたことがあるかは知らないけれども、「確実に勝っていく」戦略が功を奏しているのは間違いない。
: 大概の人間は、「勝ち馬」に乗る。具体的な利害がかかっている場合は、特にそうである。
② 自分が「神輿」であることに対する認識の薄さ
: ヒラリー・クリントンという「神輿」を担いでみたいと民衆に思わせることが、大事であるけれども、ヒラリーの姿勢からは、そうした雰囲気が伝わってこないのは、何故であろうか。
: 選挙資金が危なくなったので、ヒラリー自身が私財を五億円出したという話があったけれども、こういう振る舞いは、「神輿」としては失策であろう。こういう姿勢は、「貴方方は恃みにしない」ということを言外に匂わせているようなものであるからである。
: その点、オバマは、無数の人々に担いでもらおうという姿勢を前面に出している。せいぜい数十ドル程度の小口の献金を出してもらって、無数の人々に「担いだ」気にさせている。数十ドルを出して、「大統領の誕生」の過程に加われるのであれば、これほど面白いエンターティメントもあるまい。
結局、ヒラリー・クリントンの「優秀な人物」という自画像が、此度の選挙では邪魔しているのであろう。昔、小沢一郎が「神輿は、軽くて○○がいい」と語ったけれども、それは真理の一面を突いている。「神輿」が出しゃばり過ぎては、選挙にはならない。
それでは、ヒラリーは、どうするのか。「オバマの勢い」を止めるには、だんだんギャンブルに近いことをしなければ、\ならないであろうけれども、まだ間に合うのか。それが問題である。
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Comments
オバマ確かに勢いがあります。クリントンより若くて新鮮な感じマケインと比較すればなおさら。雪斎どのに同感です。
Posted by: 星の王子様 | February 22, 2008 06:16 AM
でも「ヒラリー・クリントン副大統領」はないと言わないうちはオバマの大統領は難しいと思います。今の状況はオバマ大統領への支持というより、「キャリア」を求めるヒラリー女史への批判であり、大統領に何か起きた際には大統領のイスに座る人間が、キャリア・ウーマンの延長線上に大統領の職を求めているさまをみて、米国の将来を託すのにふさわしくないという声の表れと私は見ます。
かといって、彼女をはずすと民主党の票が割れ、共和党に有利になる。まあマケイン氏とて、ハッカビー氏という厄ネタを抱えているのでこの点は同じと言えば同じでしょうが、オバマしにとってヒラリー女史をどうするかは頭痛の種でしょう。
Posted by: ペルゼウス | February 22, 2008 08:54 AM
予備選の戦い方の難しさという点では、ヒラリー以前にジュリアーニがかなり明らかな失敗をしましたね。アイオワはともかくNHまで回避してフロリダ一発というのは、誰が考えたのか知りませんが今にして思うともったいない話です。
オバマについては、東大の久保教授が面白いことをいっていて、はっきりいってオバマは大統領になっても国家を上手に運営出来ないかもしれない、しかし支持者は当選後アメリカをどうするか、よりも、彼を大統領にすることそれ自体から得られるカタルシスを求めて、その一点だけを求めて運動してる感じだと。米国メディアでも、ぼちぼちオバマ個人崇拝の様相を呈してきていることに冷ややかな視線が生まれてきたと先の読売にありましたが、この熱気がどこまで続くのか興味深いです。
Posted by: 真田A | February 22, 2008 12:57 PM
こんばんは。
この選挙は、アメリカ人の国民性という点からも興味深い事象ですね。
ここまでの選挙結果を見て感じたのは、民主党支持者はケネディのような演説の上手いお兄さんタイプの人物を好み、共和党支持者はレーガンのように勇敢で強いお父さんタイプを好むということですね。潜在的な願望といったところでしょうか。
今までもJFKを意識した政治家はたくさん出てきた(そしてすぐに消えた)けど、オバマ氏はここまで来てボロが出てこないところを見ると、本当に優秀でかつ真面目な人なのでしょう。
米大統領選は長丁場ですから、何だかんだいって経験豊富で準備万端な人が選ばれることも多いのですが、一方で「伸びしろのある人物を大統領にして成長を見守りたい」という国民気質もありますので、前者が勝ればクリントン氏かマケイン氏、後者が勝ればオバマ氏ということになるのでしょうか。
Posted by: 板倉丈浩 | February 22, 2008 10:30 PM
雪斎さん
こんばんは。
オバマ氏の演説は、YOUTUBEですが拝見しました。やはり、上手ですね。かつてのマーティン・ルーサー・キング牧師に重ねる、アメリカ市民も多いでしょう。また、それを知らない若年層も可能性が広がるという意味で支持してますね。
まさに変化のシンボリック的人物です。
一方、ヒラリー・クリントン氏は、はじめから、派手な花火を打ち上げ過ぎて、打つ手なしでしょうか。もう、派手な花火を打ち続けるしかないですね。
Posted by: forrestal | February 25, 2008 05:27 PM
ヒラリーは「アメリカの良いところ・誇るべきところ・愛すべきところ」を何か一つでも体現しなければ、苦しいと思います。「私はアメリカのこんな素晴らしいところを知っている」と言って聴衆が納得できるようなモノを彼女がもちあわせているのかどうか(そう見せることが出来るのかどうか)。
Posted by: 妖怪 | February 27, 2008 05:54 AM