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January 03, 2008

芸術に浸る新春

■ 昨日、昨年正月に続いて東京銀座・歌舞伎座で歌舞伎を観る。
 松本幸四郎さんと市川染五郎さんの父子競演による「連獅子」、市川團十郎さんの「助六」というのは、かなり貴重なプログラムであったような気がする。プログラムとしては、昨年よりも満足度は高かった。
 ところで、歌舞伎座は、エレベーターを設置しないのであろうか。建物自体が古いという事情は承知するにせよ、海外にも知られる日本の伝統文化の殿堂としては、あまりにも「しょぼい」気がする。

○ 「ブラームス 交響曲第一番 ハ短調 作品68」を聴くのは、雪斎の年始の「恒例」となっている。今年のセレクションは、次の六種である。
① クルト・ザンデルリンク  シュターツカペレ・ドレスデン
   1971年 録音 ドレスデン・ルカ教会
② クルト・ザンデルリンク  シュターツカペレ・ドレスデン
   1973年 ライブ録音 東京・厚生年金会館
③ ベルナルト・ハイティンク  シュターツカペレ・ドレスデン
   2003年 ライブ録音 ドレスデン・ゼンパーオーパー
④ オイゲン・ヨッフム  ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
   1976年 録音
 ⑤ リッカルド・シャイー  ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
   1987年5月録音 アムステルダム・コンセルトへボウ
 ⑥ エドゥアルト・ヴァン・ベイヌム  ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
   1958年録音
 ①④⑤⑥は、「何時も聴いているスタンダード」である。今年は、直近のSKDにはまった時間を反映して、②③を加えた。②は、①と比べれば、はるかに「熱」を感じさせる。特筆すべきは、③である。この③を聴くようにと薦められたので、聴こうとしたのであるけれども、「廃盤」状態になっていて入手できないことが判った。偶々、「ヤフー・オークション」に出されていたのを落札して、元旦に手に入れた。聴いてみれば、誠に豊饒なな「ブラ1」であった。ハイティンク&SKDが来日した折の実演を聴いたことがある雪斎としては、至福の瞬間であった。今年も、かくありたいものである。
 ブラームスは、この「一番交響曲」を完成させるのに、二十年の歳月を費やした。ベートーヴェンという偉大な先達の後を襲おうと思えば、迂闊なものを書けなかったというのが、ブラームスの事情として広く知られた話である。
 この心境は、雪斎には得心が行く。日本の国際政治学の世界でいえば、たとえば中西寛先生の『国際政治とは何か』は、高坂正堯先生門下の「ブラ1」という趣を持つ書であった。雪斎は、吉野作造、清沢洌、石橋湛山の時評論稿の系譜に連なる「ブラ1」を書いてみたいものだと年初にあらためて思う。

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Comments

体系的に政治学を勉強したことがないので、的外れだと思いますが、私の知りうるすぐれた政治学の古典は、すぐれて歴史的な事象を描く中で政治という営みの「普遍性」を描き出したように思います。もちろん、それがより抽象性の高い「学」としての側面が強いこともあれば、時評というより、同時代や過去の個別の事柄に重きを置くこともあるのでしょう。しかし、いずれのアプローチも、切り離すことができる、別個のものではないように門外漢には感じます。

雪斎に期待しているのは、同時代への洞察から政治の本質に迫る論考です。どのようなアプローチが優れているのかということではなく、雪斎先生らしい「作品」がこれからも生まれてくることをひそかに楽しみにしております。

Posted by: Hache | January 04, 2008 at 05:11 AM

あけましておめでとうございます。
今年も益々のご健勝を祈念いたします。
歌舞伎座ですが、現在建て替えの計画が進んでおります。昨今の地価上昇に伴い利益確保の意味も含め、建物後部はビル化する予定となっています。バリアフリーも同時に検討されることになっておりますので、障害者の方もよりお気軽にお出で頂ける事かと存じます。とは言え、銀座は都市計画が古く全体としてバリアフリーが進んでいないのも実情ですが。

Posted by: TIG | January 04, 2008 at 01:45 PM

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