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December 10, 2007

統治の二題

■ 少しは安心できるということであろうか。
 □ <国会>与野党対立よそに法案は次々成立
          12月8日19時48分配信 毎日新聞
 新テロ対策特別措置法案での攻防をよそに、与野党は今国会で、暮らしにかかわる法案を中心に合意を図り、成立件数を積み上げている。8日時点で政府が今国会に提出した10法案のうち、新テロ法案を除く9件が全会一致で成立した。今後の提出分なども含めると、成立が見込まれる法律は計21件。昨秋の臨時国会で成立した25件に迫る。「ねじれ国会」で政府・与党が対決法案の提出を控えたのに加え、野党が「反対ばかりでは国民の批判を浴びる」と、柔軟に対応した事情も反映されている。
 これまでに成立したのは、前国会からの継続法案も合わせると、政府提出案件が12本。「格差」批判への配慮から最低賃金の底上げを図る改正最低賃金法などが含まれる。このほか、野党の要求に応じて修正した放送法改正案も成立が確実だ。
 議員立法では既に3件が成立した。地震などの被災者への支援策を広げる改正被災者生活再建支援法など、対象者が具体的な法律が目立つ。まだ提出していない政治資金規正法改正案を含む4件でも与党と民主党などが内容で合意しており、成立のメドがついている。
 7月の参院選惨敗後に政府・与党は「野党が参院で抵抗し、ほとんどの法案が成立しないのではないか」と危ぶんだが、懸念は消えた格好だ。新テロ法案を除けば、野党の反発を招きそうな法案の提出を政府・与党の方であらかじめ避けたことが大きい。
 政府提出法案のうち成立した4件は人事院勧告に準じて公務員給与を引き上げる内容で、民主党も「現場職員に迷惑をかければ反発を招く」と協力せざるを得なかった。
 議員立法では、改正被災者生活支援法のように、与党と民主党がほぼ同趣旨の法案を衆参各院に提出。成立を優先するために双方が法案を修正して歩み寄る方式も定着しつつある。【田中成之】

 政治家は、「法案を通してなんぼ」の商売である。
 自民党はともかく、民主党にも、そうしたことが認識されるようになっているのであれば、誠に結構なことである。
 今次国会で全く物事が動いていないのかと思いきや、それなりに法案審議が進んでいるのであれば、
 労組依存の傾向が強い民主党も、「景気失速」の風を感じれば、今までと同じというわけにもいくまい。「格差」云々は、「景気が好調である」という前提がある。「コンプライアンス不況」どころか、「政策遅滞不況」というのも起きかねない。
 「新テロ特措法案」は、もはや衆議院での再可決に踏み切るのが、よろしいであろう。その後に、総理問責決議が出てきても、実際は何も変わらない。政府・与党は、「補給活動」継続という実利を手にできるし、野党は、「抵抗した」というポーズを世に示すことが出来る。福田総理が、「問責決議は嫌だ」と反応する度量の狭い人物でなければ、問責決議が出た時点で、この案件は一件落着である。今後、再可決が行なわれる度jに問責決議案を出してくることも考えられなくもないけれども、そうしたことは、問責決議案の政治効果を次第に削いでいくであろう。何でも、インパクトがあるのは、「初物」だけである。
 解散・総選挙が近づいているといわれているけれども、それは実際には福田総理の胸先三寸である。結局、政局の主導権を握っているのは、福田総理である。「総理の権力」は、かくも強大なのである。
 「会議は踊る、されど会議は進まず」。会議は、何故、踊ったのか。それは、「機が熟するのを待つ」ためである。傍目から観れば、「踊っている」間は、「何をやってんだよ…」と突っ込みを入れられても仕方がない。ただし、機tが煮詰まったら、きちんとした結果をださなければならない。それにしても、度重なる会期延長で、国会議員各位もご苦労なことである。

■ ところで、「日本版SWF構想」に関するエントリーに関して追記する。釈明じみた書き方になるけれども、雪斎は、エコノミストではないので、本来、こうしたネタに首を突っ込んではいけないのかもしれない。
 ただし、「社会保障目的ならば増税は容認される」という現下の論調jは、率直に承服しかねる。もし、国民負担を過大にしなくても済む方策があるのであれば、それを模索すべきである。「日本版SWF構想」も、その文脈で何ができて何ができないか、やるべきかやらざるべきかを考えるべきであろう。そうでなければ、有望な人材は、国外に流出していく。
 『礼記』に曰く、「苛政は虎よりも猛し」である。おそらくは、苛政とは、「税を過大に取り立てる政治」のことであある。雪斎は、今夏の参議院選挙における自民党の大敗には、直前の定率減税廃止による「増税」感は、間違いなく」反映されていたであろうと思っている。古より、「統治」の基本の着眼点は、なんら変わらない。
 

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Comments

最近、消費税の福祉目的税化の話が喧伝されてますが、この話が「消費税以外の税金を福祉目的には使わない」という話にいつの間にかすり替えられるんじゃないかなあと、内心不安に思っています。そうなれば「消費税以外の税金で現状福祉目的に使われている部分」の使途がいつの間にか変わってしまい、その分を消費税増税で賄うということになってしまいますから。

僕が考える「国民負担を過大にしなくても済む方策」は、やはり経済成長とマイルドインフレの組み合わせですね。具体的には名目成長率を4%にすることですが、「名目成長率=実質成長率+インフレ率」なので、実質成長率は現状並みの2%、インフレ率は諸外国並みの2%という数字を目指していくことが、やはり王道だと思います。

Posted by: Baatarism | December 11, 2007 at 12:35 PM

雪斎さん

こんにちは。新テロ法は、再可決で良いと思います。憲法上の仕組みですから、自公、民主それぞれポーズは示したわけですからこれ以上は、無駄の無駄でしょう。

私の関心は、この新テロ法にどういう日本の戦略があって、それがどう、バーゲニング・チップに使われるかです。『テロとの戦い」「国際貢献」という大義はあるわけですから、それにどれだけ、自国の国益につながる戦略性を組みこめるかですね。

概ね、民主党の国際貢献の名のもとに「ガスボーイ」で感謝されただけだという主張にも傾倒する人は多いと思います。

国民負担を減らしていくというのは、仰る通り、その発想が大事であって、実際はかなりつめないと、日本版のSWFは成功しないでしょう。民間なら社員の給料を減らさず、リストラもしないという前提で何をするかと言えば、コスト削減(無駄)をなくして新技術を導入し、海外の市場に参入するのではないでしょうか。

発想自体は、成功云々よりもおもしろいと思いますけどね。

Posted by: forrestal | December 11, 2007 at 02:46 PM

こんばんは。政治・経済で各一題、ということでしょうか・・・。

>政治家は、「法案を通してなんぼ」の商売である。

全くその通りで、現在何よりも優先すべきなことは、参議院の強大な権限を政争の具にしない「良識」であり、それによる「統治能力の回復」だと思います。

>「社会保障目的ならば増税は容認される」という現下の論調

確かにこれは変ですよね。
財務省(+自民党インナー)が増税したがっているのは、社会保障に熱心だからではなくて、財政を持続させるためですから。
まあ、このまま何も手を打たなければ、債務の発散→財政信認の失墜→国債の暴落→日本経済の破綻、という最悪のシナリオもありうるわけで、ただそれは声を大にして言えないので、社会保障目的とか、耳あたりのいいことを言っているだけじゃないかと。

日本で財政再建への異論が(他の先進国と比べても)強いのは、税金の使い方に対して国民が根強い不信感を持っているためでしょう。
つまり、日本国民は小手先改革(政策)の累積によるコスト増(無駄遣い)にウンザリしているだけで(「上げ潮」も「目的税化」も小手先であることには変わりない)、抜本改革が期待できるならば、負担増を全く受け入れないということではないと思います。
官僚制度が疲弊している現状では、政治のリーダーシップに期待したいところですが・・・。

Posted by: 板倉丈浩 | December 13, 2007 at 02:34 AM

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