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December 07, 2007

日本版SWF構想

■ 遅かったというべきであろうか。否、何故、今まで、これがなかったのか。
 □ 国家ファンド創設へ 議連発足 政府資産の有効運用目指す
         12月6日8時32分配信 フジサンケイ ビジネスアイ
 世界2位の外貨準備や公的年金資産を有効的に運用する国家ファンドの創設を目指す自民党議員による「資産効果で国民を豊かにする議員連盟」が5日、発足した。来年3月をめどに中間報告をまとめ、早ければ来年末の設立を実現したい考えだ。
 世界の金融市場ではオイルマネーで潤う中東諸国や経済成長を続ける中国、ロシアなどの新興国の国家ファンドが、株式や不動産、企業買収などのリスク投資を積極化し、存在感を高めている。日本版国家ファンドは、ほとんどを米国債購入に充てている外貨準備の運用を多様化し、運用利回りを高めるのが狙いだ。
 議連には衆参両院の議員42人が参加、会長には山本有二前金融担当相、事務局長には田村耕太郎前内閣府政務官が就任した。このほか中川秀直前幹事長や塩崎恭久前官房長官などが参加している。
 山本会長は5日の会見で、「金融のグローバリズムに政治としてどう対処すべきか考える時期だ」と述べ、国家ファンドの必要性を強調した。
 議連の構想はシンガポールの政府投資公社(GIC)がモデル。政府出資の投資会社を設立し手数料を支払い、外貨準備や公的年金、政府保有不動産の一部について運用を委託する。
 日本の外貨準備は10月末で9544億ドル(約105兆円)に達し中国に次ぎ世界2位、米国債による運用益は毎年3~4兆円にとどまっている。
 議連では、運用資産1000億円程度からスタートし、徐々に10兆円台まで引き上げたい考え。国の収入となる運用益を増やし財政再建に貢献すると同時に、世界から金融の“プロ”を招聘(しょうへい)し、国内金融機関や市場の競争力強化につなげることも狙っている。                   ◇
 ≪議連の顔ぶれ≫
 【衆院】山本有二(会長)▽後藤田正純▽小池百合子▽西村康稔▽中川秀直▽山際大志郎▽片山さつき▽塩崎恭久▽大塚拓▽後藤茂之▽田村憲久▽中山泰秀▽船田元▽河村建夫▽尾身幸次▽石田真敏▽坂本剛二▽奥野信亮▽菅義偉▽竹本直一▽木原誠二▽今村雅弘▽佐藤ゆかり▽佐藤剛男▽福岡資麿▽塩谷立▽加藤勝信▽とかしきなおみ▽長崎幸太郎▽山口泰明▽赤沢亮正【参院】岸信夫▽関口昌一▽岡田直樹▽秋元司▽田村耕太郎▽世耕弘成▽椎名一保▽吉田博美▽山本一太▽山谷えり子▽愛知治郎=敬称略

 記事中、印象的な記述は、「日本の外貨準備は10月末で9544億ドル(約105兆円)に達し中国に次ぎ世界2位、米国債による運用益は毎年3~4兆円にとどまっている」という件である。他の国々のSVFの運用益がどの程度になっているのかは判らないけれども、もし10パーセントくらいになっているのであれば、外貨準備の二割の20兆円を元手にした場合、2兆円の運用益を得られる計算になる。極論でいえば、外貨準備を総て投入しようものなら、年間10兆円である。
 獲らぬ狸の皮算用になっているけれども、こういう考え方は大事である。今までは、「国にカネがなけなれば民衆に税金を掛ければいい」と思われたところがなかったであろうか。しかし、現在のように、「日本国民が減り続ける」状況下では、税金を掛ける下地が減っていくということは、必然的な流れである。故に、「国民に負担を求めず、富をして富を殖やせしめる」方策を考えなければならないのである。その点、政府系ファンドのようなものは、日本においてこそ、必要とされる仕組ではないであろうか。
 因みに、雪斎は、「日本国内だけの需要を当て込んだ」会社の株には余り食指が動かない。「縮小するマーケット」を相手にした会社の業績は、長期的には「ジリ貧」であろうと判断しているからである。同じ食品会社であっても、「味の素」のように、「世界を相手に売る」姿勢を鮮明にしている会社のほうが、少しは安心できるというものである。同じように、「縮小する人口」を相手に「増税」論議は安易にやらないほうがいい。外で「富」を殖やすことを本腰を入れて考えるべきなのである。
 それにしても、議連に名を連ねている政治家は、ほとんどが若手の世代である。重鎮は中川(秀)前幹事長が加わっている。「構造改革」が「グローバリゼーション」適応の一環であるならば、日本版SWF構想も「構造改革」の仕掛けである。雪斎も、この動きは大いに応援したいと思う。

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Comments

よくお確かめになられた方がいいのでは?中国や中東アラブ諸国は、擬似固定為替相場を取っているから外貨準備が積み上がっているのですけど・・・彼らは仕方なくドルが積みあがるわけで、ドルが暴落すると困るんです。では、変動相場制の日本の外貨準備とは・・・以前の為替介入で積みあがってしまったもの。実は本来必要のないもののはずですよ。縮小させるのがスジでしょうね。昔から、国が音頭を取ったものは、ロクな結果になっておりませんので。

Posted by: パットメセニー | December 07, 2007 at 04:44 PM

日本版国富ファンドというわけですか。
ただ、もし運用に失敗して、数兆円~数十兆円単位の損失を出したらどうするんだろうとも思いますね。運用責任者をクビにしても損は取り返せませんから、公的資金投入になってしまうんでしょうか?

こういうことを先に考えてしまうのが、日本的なのかもしれませんが。w

Posted by: Baatarism | December 07, 2007 at 10:54 PM

日本の経済力が大きすぎて、運用しようにも量を受け入れる商品が少ないというのも考慮に入れるべきでしょう。年金基金のようなものを運用するのは取れるリスクの範囲などで合意も取りやすく可能かもしれないと思いますが。

民間の金融機関に運用能力があったり、ドルで収益を上げた企業が何も考えず銀行に預ける(下手すると問答無用で円にしてしまったりとか)ことをせず、運用を考えられればこの種の構想はそもそも発生しないわけです。この種の検討がなされて何がしか始まったとしても、あっという間に問題が発生して「民営化」の議論となるのではないかと予想します。

Posted by: カワセミ | December 08, 2007 at 02:51 AM

直接(TV番組等ではなく)顔を見たことがある人が多数名前がでていますね かんべえ殿はじめいろいろな方が議論、問題提起してきていますが、とりあえず検討に入ったというところでしょうか 

Posted by: 星の王子様 | December 08, 2007 at 05:49 AM

コメントされている方々の懸念はそれぞれ尤もですが、なにより先ず、こういう方法・手段を構想し、検討し、熟考することは必須だと思います。

Posted by: 珈琲 | December 08, 2007 at 10:11 AM

ハンターイ。なぜならまず、この100兆円の外貨準備は、国債で調達した円資金のドル転で得た資金だから。同じ規模の借金が背後にあるわけで、「100兆円もあるんだ」というのがまずもって幻想にすぎません。

第二に、投資は自己責任が原則というのは国も個人も同じでしょう。日本版SWFは、政官無責任の泥沼にはまりこんだり、場合によっては政治家先生の打ち出の小槌になってしまう恐れあり。

第三に、「税を増やすな」という雪斎先生の小さな政府に向けた主張と、「国が投資ファンド運営」という構想には、若干の矛盾を感じます。

それより雪斎先生、日本には1500兆円の資産をお持ちで、なおかつその運用を自由に選択できる方々がいるわけで、そのような方々が、上手な投資を身につけることが「富国」への真っ当な道筋ではないかと思います。

>ま、とは言っても、これだけ額が大きいと、円転して借金返してしまえと簡単に言えないのが悩ましいところです。


Posted by: うめもと | December 08, 2007 at 11:42 AM

こんにちは。
外貨準備については、ちょっと前に谷内満氏の分析↓を読んでいたので、今回ご紹介の記事には(逆の意味で)驚きました。
http://www.f.waseda.jp/taniuchi/hyoron2007/nikkeigaikajunnbi.htm
http://www.f.waseda.jp/taniuchi/hyoron2007/gaikajunbi.pdf

「日本政府は資産運用ビジネスに乗り出すべきでない。外貨準備は民間の資金を借りて政府が運用している資産であり、民間が資産運用するより政府がやるほうがうまくいく、というようなことはないからである」

議連の方たちは「うまくやる」つもりなんでしょうが、顔ぶれを見ると危なっかしい(そそっかしい)人が多い印象で、懐疑的にならざるを得ませんね・・・。

Posted by: 板倉丈浩 | December 08, 2007 at 11:57 AM

すみません。補足です。
伊藤隆敏氏のように外貨準備の運用に積極的な意見↓もあります。
http://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/ito/05.html

ただこの場合でも、運用益を円に換えて一般会計に繰り入れる(=財政再建に充てる)べきではないとしている点、今回の議連の主張とは違っているのですが・・・。

Posted by: 板倉丈浩 | December 08, 2007 at 12:34 PM

 本当にやるかやらぬかという話は別として、こいう話が余りなかったことの意味を少しは考えたほうがいいでしょう。
 今のままなら、若い人々に「このまま日本に居て税金を払ってくれ」と言い辛いところがあります。

Posted by: 雪斎 | December 08, 2007 at 04:47 PM

今のままなら、若い人々に「このまま日本に居て税金を払ってくれ」と言い辛いところがあります。
------------

この議員連の顔ぶれで、果たして日本の若い人たちい税金を
払ってよいと潔い覚悟を与えてくれそうですか?


日本版SWF構想に、日本の株屋がほくそえんでいるのが眼に
浮かぶようですが、あの年末の暴落劇の兆しも読めずに
年末年始の御祝儀相場だの、なんだのと買い推奨やら
持ち越し越年長期ホールドを扇動していた買い煽り常習の
連中が、どれほど日本の個人投資家の資産を減じたことか。
胸くそが悪くなるほどの不利益誘導ぶりではなかったですか。

まともに個人投資家に運用益を演出もできない連中、資産の
ポジショニング、売り買いのタイミングも示唆できないような
日本の証券市場関係者やらアナリストの力量で、どうして
巨額のSWFで運用益がだせるものか、まず首をかしげる
ばかりですよ。

日本の証券市場、70%が外資。朝の外資系13社に向かい
寄り付き前注文動向を御用聞きみたく鉛筆なめなめ聞き取り
にいっているような手合いが、ほんとうに日本の国富を増して
くれると思われますか?

年末年始、どれほど膨大に資産評価を急降下させました?
機関投資家らも、なすすべなく投売りを余儀なくされたの
ではなかったですか?
ワザも知恵も情報収集力も、いずれも外部要因まかせで
慣れ親しんだ二軍、三軍、草野球クラスのあの連中レベルに
出損の許されないような有効運用が国際市場を睨んでの
檜舞台を託せるのでしょう?

損をさせて省みず捨て置く個人投資家相手とはまるで厳しさ
がちがうでしょう?

Posted by: レノ | January 26, 2008 at 08:18 PM

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