アカデミズムという「桃源郷」
■ 昨日夕刻以降、サントリー学芸賞贈賞式に出掛ける。
今年度の受賞作には、次の二作が入っている。
○ 飯尾潤 『日本の統治構造』(中公新書)
○ 宇野重規 『トクヴィル 平等と不平等の理論家』(講談社選書メチエ)
飯尾先生も宇野先生も、雪斎にとっては院生時代からの「旧知の人物」である。此度の両先生の受賞も、「取るべくして取った」という印象がある。
雪斎は、政治学者としては、随分と道草を食った。さしずめ、齢四十過ぎまで仕官先のなかった「山本勘助」みたいなものであろう。だが、「戻るところ」があったというのは、よいことだと思う。「永田町」も、段々と「追憶」の世界になりつつある。
そういえば、先刻、北大時代にお世話頂いた外川継男(上智大学名誉教授)先生から新著を贈って頂いた。
○ 『サビタの花―ロシア史における私の歩み』
この書の中で、1950年代、北海道大学スラブ研究センターの草創期の頃、猪木正道先生と江口朴郎先生が「一緒の宿に泊り、同じ釜のを食い、一緒に温泉に入っていた」という逸話が紹介されていた。当時、猪木先生は「右」の代表的論客、江口先生は「左」の代的表論客といわれていた。その猪木先生と江口先生が「裸の付き合い」をやっていたのである。これは、雪斎が北大学生の時分から知っていた逸話である。外川先生から直接に伺った話だのたのかは、もう覚えていない。ただし、「人間同士で付き合うのに『右』だの『左』だの、そんなの関係ねぇー」という価値意識は、この逸話とともに雪斎の心中に刻み込まれた。外川先生の新著は、価値意識の原点を思い起こさせた。
雪斎は、学者の世界では、色々な人々から「もらって」ばかりいて、完全な「入超」である。そろそろ、出さなければと思う。折角、「桃源郷」に戻ったのだから…。
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Comments
雪斎殿
私のひそかな自慢は、賞をとった本を、その発表前に購入していることがあります.今回の、飯尾氏と宇野氏の著作は、2冊とも出版直後に購入していました.サントリー学芸賞は、ますます隆盛ですな.雪斎殿のエントリーに触発されて再読しました.2冊とも立派な業績ですね.何より、今日的な意味が多々ある点がいいですな.それはそうと、飯尾氏も宇野氏も60年代生れですか・・・.論壇も、いよいよ(政治、思想分野では)60年代生れが主流になってきたなあ、というのが率直な印象です.50年代生まれもうかうかできないなあ.
Posted by: M.N.生 | December 15, 2007 09:26 PM
雪斎殿
私のひそかな自慢は、賞をとった本を、その発表前に購入していることがあります.今回の、飯尾氏と宇野氏の著作は、2冊とも出版直後に購入していました.サントリー学芸賞は、ますます隆盛ですな.雪斎殿のエントリーに触発されて再読しました.2冊とも立派な業績ですね.何より、今日的な意味が多々ある点がいいですな.それはそうと、飯尾氏も宇野氏も60年代生れですか・・・.論壇も、いよいよ(政治、思想分野では)60年代生れが主流になってきたなあ、というのが率直な印象です.50年代生まれもうかうかできないなあ.
Posted by: M.N.生 | December 15, 2007 09:27 PM
雪斎さん
こんばんは。
今年のサントリー学芸賞は、上記2冊になりましたか。納得です。両著ともに値段も手軽ですし、大変、読みやすいですね。年によっては、学術論文をまとめた、高値の重量級になることもありますから。
これを機会に正月休みにでも、もう一度、読みなおしたく思います。
何かと騒がしい時期ですが、どうぞご自愛ください。
Posted by: forrestal | December 20, 2007 11:09 PM