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November 27, 2007

豪州の転機・続

■ 昨日に続き、日豪関係を題材にして考える。
 □ 保守連合、上院も過半数割れ=労働党は少数政党の協力必要に-豪総選挙
                    11月26日17時1分配信 時事通信
 【シドニー26日時事】24日のオーストラリア下院選挙と同時に行われた上院選挙(定数76、改選議席40)は26日、与党保守連合(自由党、国民党)が改選前から2議席減らして37議席となり、過半数を割り込む見通しになった。下院では大勝して単独過半数を確保した労働党も、上院は32議席にとどまり、法案の成立には少数政党の協力を求める必要がある。 

 結局、「ねじれ議会」の運営に苦労しなければならないのは、ラッド新政権も同じのようである。昨日、日経CNBCのニュースを視ていたら、ラッド新首相は来年初に米国を訪問するとの報が流れてきた。「結局、『安倍』が『福田』に代わっただけのことだな…」と率直に思う。たとえイラク戦争対応に濃淡の差があるにせよ、またラッドの「親中派」ぶりが喧伝されたとしても、ANZUS同盟の重要性は何ら変わらない。

 故に、日豪関係の基調もまた、余り変わらない。むしろ、「新しいこと」を始める契機にはなる。
 □  <経団連>「環境への取り組み歓迎」豪州新政権に御手洗会長
11月26日18時59分配信 毎日新聞
 日本経団連の御手洗冨士夫会長は26日の会見で、オーストラリアで11年ぶりに労働党政権が誕生したことについて、「ラッド党首の環境問題に対するアプローチは歓迎する」と述べ、労働党が京都議定書の批准を公約していることで豪州の環境問題への取り組みが進むことに期待を表明した。
 一方、日豪両国間のEPA(経済連携協定)締結協議についても「一部農業などセンシティブ(微妙)な問題があるが、ハワード前首相と同じように理解を示してくれるものと期待している」と語った。【内山勢】

 雪斎は、日豪関係を「東経135度」諸国連合の機軸だと考えてきた。ハワード前政権のときに、「日豪安保共同宣言」という安全保障協力の合意が形成されたのであるから、次は、ラッド新政権を相手に、「日豪環境共同宣言」とも呼ぶべき合意の形成を目指すべきであろう。そういう好機が来ていることは、確かである。こういう重畳的な努力を積み重ねることが大事である。日豪関係は、「資源・エネルギー・環境」の領域であるならば、「最も重要な二国間関係」の一つたりうるのである。
 調査捕鯨の件は、豪州政府が海軍部隊を派遣してでも制止すると表明したことで騒ぎが大きくなったけれども、政権が交代したことでもあり、クール・ダウンさせるには、よいタイミングである。雪斎が判断する限り、調査捕鯨決行には、日本の「死活的な利害」か掛かっているわけではない。新政権発足に際しての「ご祝儀」の代わりとして、日本は、ある程度まで引いてみるのがよいであろう。
 ただし、日本人と「鯨」の関わりが千年の長きにわたるということは、豪州政府にもきちんと伝えておいたほうがよい。当然、日本人にとって、「鯨」が貴重な恵みを与える「神の魚」の類であることは、きちんと説明されてよい。ラッド新政権が「多様な文化との共存」を標榜し、その流れの上に載って登場したものであるならば、「日本人と鯨の関わり」もまた、「多様な文化の共存」の文脈では尊重されて然るべきである。こうしたことを静かに説くことは、大事である。要するに、「捕鯨反対」の姿勢が、こういう「多様な文化の尊重」という発想にそぐわないものであるかも知れないという雰囲気が、徐々に出来上がるように仕向ければよろしい。こうしたことを進めるのに、ラッド新政権の登場は、決してネガティブ・ファクターではない。
 繰り返しになるけれども、日豪関係は、日米同盟に並ぶ、「海の外交」の機軸である。

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Comments

捕鯨問題を取り上げていただき、ありがとうございます。
考えてみれば、オーストラリアで特に日本の調査捕鯨に対する反発が強い理由としては、捕鯨の舞台が南極海だということもあると思います。オーストラリア人にとっては、南極海は「我らが海」という意識があるのでしょう。
日本側が「日本人と鯨の関わり」を主張すると、オーストラリア側は「南極海で捕鯨をするのが日本の伝統か?」と主張すると思います。だから日本がこの論理で行くのであれば、やがては南極海での捕鯨を止める代わりに、日本近海での捕鯨を復活させるという方向を目指さないといけないでしょうね。

Posted by: Baatarism | November 27, 2007 at 12:36 PM

 オージーもねじれ議会ですか。
 宰相のイスに座るとき、まずは反対勢力と思われる相手を訪問するのが、タイミング的に良いようですね。安部ちゃんの中韓訪問しかり、福田さんのアメリカ訪問もそうでした。
 環境同盟からさらに豪州とのFTA締結が成ればと思います。

Posted by: SAKAKI | November 27, 2007 at 09:51 PM

ねじれ国会とはいうものの、
日本とは状況が異なりますよね。
http://www.abc.net.au/elections/federal/2007/results/senate/
緑の党は明らかに労働党に近いですし。
ただ、旧与党とFamily First(新保守系)で
ちょうど過半になってしまうようなので、
ねじれといえなくもないか。

でも労働党が緑の党に配慮しないといけないとすると、
政権運営はたいへんそうです。
日本としても捕鯨問題で緑の党を考慮に入れざるを得ないでしょう。

Posted by: akira | November 29, 2007 at 04:19 AM

「緑の党」ですか。間違いなく環境ファシズムに出てきますね。分裂している場合、共通の敵を作る事で団結するというやり方を取る事は往々にしてある事で、日本を「悪の枢軸」として狙ってくるのはまちがいない。まったく弱り目に祟り目とはまさにこの事。

憲法9条はそういう意味で強力な武器になるでしょう。向こうはただひたすら捕鯨を悪とし、憎悪と憎しみを煽るやり方で政権を運営しようとするでしょう。無論何かの取引が出来ればよいですが、親中派である事をいい事に反日でもかまわないという事でそれも難しいかもしれない。

そういう意味で憲法9条を押し付けるという手は確実に向こうの政界を混乱させるよい手段になりうる。

そしてもう一つ、やらなければならないのが中国共産党を賞賛するというやり方。天安門事件は正しいと言ってしまうというのどうでしょう。共産党の嘗ての弾圧政策(無論今のものも)を賞賛し、中国共産党の政策を非難するものは中国の敵だと扇動すればよい。

そうなるとリベラリズム的な親中派など吹っ飛ばされてしまう。ミヤンマーに関しても彼らは民主化などどわめいていますが、そんな事許してはなりません。中国にもミヤンマーの重要性を説き、一切の民主化を認めないように裏で働きかけ、民主化を説くであろうラッド政権の親中政策を破綻においやるのです。

大切なのはわが国の利益。他国のそれではありません。

Posted by: ペルゼウス | November 29, 2007 at 07:09 AM

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