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November 03, 2007

幻の連立

■ この話は、取上げないわけにいかない。
 □ 福田首相が連立打診、民主は拒否=政府・与党、新テロ法で会期延長検討
                      11月3日1時1分配信 時事通信
 福田康夫首相(自民党総裁)と小沢一郎民主党代表は2日午後3時から休憩を挟み、国会内で約2時間10分、党首会談を行った。首相は、衆参ねじれの下で国会運営が行き詰まっている現状を打開するため、連立政権協議を打診。小沢氏は持ち帰ったが、民主党はこの後の緊急役員会で連立拒否を決め、小沢氏が電話で首相に「連立はのめない、受諾できない」と伝えた。
 与野党は先月30日の党首会談後、法案処理で歩み寄りの動きが出ていたが、連立政権構想が頓挫したことで再び対決機運が高まるとみられる。政府・与党は新テロ対策特別措置法案の成立を図るため、10日までの会期を延長する方向で検討に入った。
 会談で首相は「今の政治情勢を見て、政策を実現するための新体制をつくる必要がある」と連立を提案。新テロ法案の成立も改めて求めた。これに対し小沢氏は、自衛隊の海外派遣を随時可能とする恒久法の制定を条件に、新テロ法案成立に協力する考えを示したが、回答は留保した。
 これを受け、小沢氏は2日夜、緊急役員会を招集し、対応を協議した。しかし、「大連立は国民から批判を受け、党がもたない」(鳩山由紀夫幹事長)との意見が相次ぎ、連立協議には応じない方針を決めた。新テロ法案にも賛成できないとの考えで一致した。この後、小沢氏は「役員の皆さんは、政策協議に入ること自体も反対の考えの人が多数だった」と述べた。 

 この展開は、率直に驚いた。「何故、いきなり連立jの話になっているのか」と思ったからである。
 ① 「新テロ特措法」は、早期に成立させる。
 ② 安全保障「恒久法」の制定に向けた動きも、具体的に始動させる。
 ③ 新テロ特措法は、安全保障「恒久法」成立時点で廃止する。
 ④、安全保障「恒久法」制定に際しては、民主党案を軸にして「巧遅は拙速に如かず」の趣旨で進める。
 「福田・小沢」会談では、こうした四点で合意できれば、御の字であったと思うけれども、議論されていたのは、「連立」の話であった。福田総理は、大きなカードを早く切り過ぎたかもしれない。
 雪斎が好きな二十世紀の政治家の中には、周恩来と鄧小平は、間違いなく入る。故に、雪斎が「親中派」だと反応する御仁のことは放っておこう。周恩来も周恩来の後継者であると自任した鄧小平も、紛うことなきリアリストであった。鄧小平の有名な言葉に聞こう。
 「白猫であれ黒猫であれ、鼠を捕る猫は佳い猫である」。
 故に、自民党単独であろうと民主党との提携・連立であろうと、当面は「給油活動」再開への目処が付き、「普通の国」への構えが出来上がるならば、どちらでも構わなかったということである。他の政策の実現に際しても、同じことがいえる。「鼠」(政策の実現)さえ捕ってくれれば、どのような「猫」(政治家・政党)であろうと構わない。こうした事情が判らない御仁が、実は政治家の中にもいる。
 「幻の連立」は、小沢氏にとっては、「自・自」連立の再現であったのかもしれない。小沢氏が「連立」に乗ろうとしたのは、不思議ではない。彼もまた、周恩来と渉り合った田中角栄の直系の弟子なのである。
 今後のことを考えてみよう。
 此度の展開は、多分、小沢氏にとっては、大いなる挫折を意味しよう。何故、小沢氏が民主党に合流したかといえば、「民主党乗っ取り」を狙ったからである。新進党解党後、自由党という少数政党を率いた小沢氏は民主党に合流することで「小が大を呑む」挙に出ようとした。この策謀は、参議院選挙躍進を経て結実していたかに見えた。以前の小沢氏のスタイルなら、「自分が決めたことが党の決定である」で党内を押し切ったはずであるけれども、それができなかったというのは、小沢氏には誤算であったろう。結局、残ったのは、小沢氏が党内を意のままに操る「豪腕」をもはや持っていないという事実である。
 福田総理にとってのダメージは、多分、「公明党との関係に影が差した」というぐらいのことでしかないであろう。もっとも、公明党も、今更、政権の外に出るわけにはいかない。故に、公明党にできるのは、不快感を示すという程度の対応である。自民党本体にとっては、政権を失いさえしなければ「頭」などは誰でもいい。
 ここで夢想する。
 「民主党乗っ取り」の策謀の失敗が明らかになった以上、小沢氏には、再び三十名程度で「自由党」党首となってもらうのが、よろしいのではないであろうか、そして、自民党は、小沢氏を首班に担いで「自・自・公」連立で政権を維持する。「民主党乗っ取り」の策謀が失敗した後では、小沢氏は、民主党にいても自分の行動が縛られるだけである。二年前の衆議院総選挙で当選した自民党新人議員には、小泉純一郎という「心の拠り所」があるけれども、参議院選挙で当選した民主党新人議員は、小沢一郎が党首から去れば「烏合の衆」である。「普通の国」の完成は、やはり小沢氏自らが手掛けるべきである。

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Comments

永田町の人達って、本当に空気が読めないんですね。
選挙で負ければ、窮余の策で出てきたのはカビの生えたような保守連立。かつての自民党が得意とした寝技そのもの。
国民はこういう自民党の体質を嫌ったから、小泉自民を支持したんじゃないんですか。

民主党が受けなかったのは当たり前です。この手に乗れば、政権参加と引き換えに、次の選挙で民主党は壊滅します。旧社会党の二の舞を演じるほど、民主党も愚かではなかったのでしょう。その点では、まだ自民党よりは空気が読めていると思いますよ。

Posted by: sirouto | November 03, 2007 at 01:25 PM

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Tracked on November 04, 2007 at 06:45 PM

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