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November 04, 2007

政治の「儚さ」、文化の「輝き」

■ 政治は、サーフィンに似ている。
 政治家が相手にしているのは、「時代の要請」という大小様々な「波」である。
 福田康夫総理にとって、「補給活動」継続は、自分が手掛けたかった政策であろうか。
 そんなことはあるまい。
 福田総理が必死になって「給油活動」継続に取り組んでいるのは、それが偶々来た「大波」であるからである。
 偶々、「波」が来れば、それに否応なく乗らざるを得ない。乗らなければ、「波」に呑み込まれてしまう。
 それが政治家の宿命である。
 故に、政治家の仕事に、「状況追随」などという批判を寄せるのは、無意味である。「状況」に対応するのが、政治家の仕事の本質である。
 しかも、政治家がどれだけ巧く「波」に乗って相応の成果を挙げたとしても、その成果が「永遠の生命」を持つことはない。「新テロ特措法」も、きちんと成立したとしても、実際の有効性を保ち得るのは、せいぜい数年のことでしかない。そのような「儚い」もののために、日々、苦闘しているのが政治家なのである。そして、政治家は、「あのサーフィンはは格好良かった…」という印象を人々の記憶に残すことしかできないのである。
 このことは、「永遠の生命」を持つ作品を具体的に後世に遺すことができる学者や芸術家の仕事とは、際立った対照を成している。ルネッサンス期、フィレンツェを統治したメディチ家の政治上の権勢は、一瞬の出来事であったけれども、そこで産み出された芸術作品は、「永遠の生命」を持ちながら人々の前に存在している。
 その意味では、政治は、所詮、「二流の仕事」でしかない。しかし、その「ニ流の仕事」に、世の人々の生活が依存しているのである。
 「自民・民主」連立構想は頓挫した後では、新テロ特措法の衆議院再可決による強行処理という道筋も、確かに考慮しなければなるまい。後々のことを考えれば、あまりやりたくはないことであるけれども、仕方がないかなという気にはなる。小沢一郎氏の「民主党離脱・自由党再興」というのは、雪斎の「夢想」であるけれども(「夢想」とわざわざ断り書きを入れているのに、本気に反応する人々がいるのは困ったものである)、こうした「夢想」を考えなければならぬほど、民主党の「硬直性」には辟易しているのというのは、雪斎の本音である。小沢氏が「政策協議にも反対だという声が党内では多数だった」を語っていたのを聞き、「それなら党を割ればいい」と反応したわけである。
 自衛隊がインド洋から撤収するのを待っていたかのように、パキスタンでは国家非常事態が宣言されたようである。
 またまた、「大波」が来るのか…。
 政治家がその「大波」に巧く乗れなければ、世の人々の生活が影響を受ける。世の人々は、そのことをどこまで真面目に認識しているであろうか。「永田町」の騒動を面白がって観ている場合でもないのである。

■ ということで、 昨日は、「明治節」であった。
 夕刻以降、サントリー・ホールで開かれたクリスティアン・ティーレマンの指揮によるミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートに出かける。
 演奏されたのは四曲である。

 ○ 正式プログラム
  1 リヒャルト・シュトラウス  交響詩『ドン・ファン』
  2 リヒャルト・シュトラウス  交響詩『死と変容』
  3 ヨハネス・ブラームス   交響曲第1番
 ○ アンコール
  4 リヒャルト・ワーグナー  楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』 前奏曲

  この演目で気に入ったのは、何故かアンコールとして演じられた「4」であった。「3」は、中々、ゆったりとした演奏である。一つ一つの「音」を噛み締めるような演奏である。いい演奏であった。
 ミュンヘン・フィルの演奏で好きなもののCDは、次の三つである。
 1 ルドルフ・ケンペ   指揮   ベートーヴェン 交響曲第6番
 2 ルドルフ・ケンペ   指揮   ブラームス   交響曲第1番
 3 ギュンター・ヴァント 指揮   ブルックナー  交響曲題5番
 「政治」を云々しているよりも、こういう音楽に漬かっているほうが、はるかに上質な時間が流れている。

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Comments

政治家でも稀に「永遠の生命」を持つ作品を具体的に後世に遺すことができることがありますよね。

カエサル、アウグストゥス、トラヤヌス、ハドリアヌス、ナポレオンetc,,,
(マキャベリを政治家と捉えるならマキャベリもその一人に入るのでしょうか。)

もっとも、よほどの「力量」と「幸運」に恵まれた人間が作り上げた作品でなければ時の風化に耐えられずに朽ち果てるだけですが・・・

Posted by: Juli | November 04, 2007 at 04:21 PM

選挙しませんかね?

Posted by: うまれは「なかぎょう」です | November 04, 2007 at 09:19 PM

雪斎さん

こんばんは。

小沢代表が辞意ですか。。。「大波」に臨機応変に対応せず、強硬な反対姿勢で、比較的、国民の支持のある、給油活動に固執して、政治を硬直化させてしまって、国民の関心が薄れさせてしまったのが、要因でしょうか。福田総理の連立要請は、小沢代表にとっては乗っても、マイナス(政権交代出来ず)、乗らなくてもマイナス(また、強硬批判という印象)ですね。

結局、国家の安全保障政策を政争の具にして、国益を考えなかったゆえのことだとは思いますが。。。

それにしても、クラシックのコンサート、羨ましいです。もう院生時代以来、言ってません。ブラームスの「1番」は、好きです。私は、カラヤンを聞いてますが・・・。

気まぐれで、ブログのURLが変わりました。

どうぞ、今後ともよろしくお願い致します。

Posted by: forrestal | November 04, 2007 at 09:51 PM

この人もかんべえも、古賀や加藤や山崎と同類の55年体制の徒花って感じだねぇ
その年代でそれはまずいだろって気もするが、まぁ、咲かずに時代遅れになっていくんだろうね
かんべいは最近、得意の文章にもキレが無くなってきてるし
心柱を軽んじる人間ってのは駄目だね。
幼少の頃に仕込まれた価値観ってのを一度見直して洗い直すことをお勧めします。やってないでしょ?

Posted by: 洗脳されし昭和30年代 | November 05, 2007 at 03:15 AM

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