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October 17, 2007

平和主義者の「固陋」

■ 日本の安全保障論議を考える上で、こういう記事は害悪しか意味しないであろう。「しんぶん赤旗」の記事である。
 □ 9条の国で 2007 過半数世論めざし 彼が戦地へ!? それ絶対反対 旭川で広がる女性の運動
 こういう記事の趣旨は、「教え子を戦場に送るな」を髣髴させる古色蒼然としたスタイルである、
 

 それにしても、この記事を含めて、日本の平和主義者には、六十年前の戦争のイメージで物事を語っている人々が、矢鱈に多すぎないであろうか。共産党は、国連平和協力法にも反対していたはずであるけれども、この法律によって、カンボジアを皮切りに海外に派遣された自衛隊の活動が、世界各国の高い評価を得ていることを、どのように考えているのであろうか。彼らにおける法案反対というう政治選択に伴う「政治責任」に突っ込みを入れてみたい気がする。また、自衛隊の海外派遣に際して、「軍隊でなくともいいのでは…」という議論は、「どうせ怪我しないのだから、キャッチャーもプロテクターを着けずマスクも被らないで野球の試合に出ればいい」という類の与太話であろう。
 加えて、現在の対テロ戦争では、兵士一人ひとりが「独立自営の騎士」みたいな役割をj期待される。どのような状況でも自分の判断で動けるようでなければ、二十一世紀の「兵士」は務まらないのである。故に、上官の命令でしか動けないような兵士は、対テロ戦争の役に立たない。「赤紙一枚で召集した兵士」の出る幕はないのである。
 このように考えれば、この「しんぶん赤旗」記事が醸し出すような平和主義の内実は、ただ単に「時代錯誤」、「頑迷固陋」、「無責任」という形容するほかはない。現在、求められている平和主義の思考は、あくまでも、二十一世紀の国際安全保障の「現実」に立脚したものでなければならない。紛れもなく、「行く川の流れは絶えずして…」である。もっとも、六十年前の戦争が正しかったか云々の議論で思考が止まっている保守論壇方面も、その点では、「しんぶん赤旗」記事と大差ない。
 そういえば、次のような記事が配信されている。
 □ <福田首相>野党質問に「逆ギレ」 給油活動追及
           10月16日19時7分配信 毎日新聞
 「賛成とは言わないんでしょ、結局」--。福田康夫首相が16日の参院予算委員会で、海上自衛隊のインド洋での給油活動をめぐる質疑で、野党の質問に「逆ギレ」する一幕があった。首相は今国会で野党への「低姿勢答弁」を維持してきたが、執拗(しつよう)な追及に思わず怒りをあらわにした。
 質問したのは共産党の小池晃政策委員長。小池氏は、昨年9月に海自の給油を受けた米艦「イオウジマ」がその後、アフガニスタン本土の空爆やイラク作戦も実施したと指摘し「憲法9条を持つ国として(空爆などへの)支援は許されるのか」などと質問を重ねた。
 答弁に立った首相は「何で理解する努力をしてくださらないのか。いくら議論したってね、(共産党は給油活動の継続に)賛成とは言わないんでしょ、結局」。さらに「米軍のアフガン空爆に加担しているのではない。テロリスト掃討の国際社会の協調行動を支援している」と強調した。
 
 福田総理らしい辛辣な答弁である、ただし、六十余年前の戦争のイメージで思考が固まった人々には、二十一世紀の安全保障の「現実」を理解するのは、難しいような気がする。彼らは、もはや平和主義者ですらないのである。

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Comments

雪斎さん

こんばんは

イメージや、記憶、認識も、政治を動かすファクターですが、共産党を含めて、思想を植え付けようとしか思えませんね。

現状の認識が甘すぎます。揚げ足とりの批判・非難は、もう結構です。

本当に、ナショナリストの思考停止と変わりませんね。

Posted by: forrestal | October 18, 2007 at 08:50 PM

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