« 解せぬ話 | Main | 読売新聞のコラム »

October 08, 2007

毎日新聞のコラム

■ 雪斎と同じことを考えていた方がいたようである。
 □ <発信箱>保守論壇の人々=与良正男(論説室)
2007年10月8日 毎日新聞
 「リベラル派のあなたから評価されてうれしい」。安倍晋三前首相からこんな電話をもらったのは昨年10月だった。首相就任直後、安倍氏がこれまでの持論を抑え、日中、日韓首脳会談を実現させたことを私は本欄で高く評価した。それを読んでの電話だった。
 安倍氏はこうした「気配り電話」を年中、かけていたのだろう。「いい人」なのだなあと思ったものだ。
 先月初めには安倍氏は決して「戦う政治家」ではなく、本質は調整型の人だとも書いた。辞任表明はその翌週。結局、参院選大敗という状況を乗り切るには、いい人過ぎたのだと今思う。
 月刊誌などにあふれる保守論壇の人々の「安倍」論をかいつまんで言えば、「戦後レジームからの脱却」路線はまったく正しかったが、徹底しなかったからだめだったということになる。あるいは、その路線を快く思わない一部マスコミが年金や政治とカネの問題を騒ぎ立て、引きずり降ろしたのが悪いとも。
 これを、ひいきの引き倒しと言う。私のように安倍氏の柔軟さに期待した人も多かったはずだ。みなさんがあおり続けた「脱却路線」を、もし国民の大多数が支持していたのならスキャンダルも吹き飛ばしていたのではなかろうか。
 一方、福田康夫首相への保守論壇の見方は手厳しい。これも要約すれば福田氏は親中派で北朝鮮との対話重視派だからけしからんという話のようだ。まだほとんど何もしていないうちから、なぜ、そんなに単純に決めつけたがるのだろう。
 政治というのはもう少し複雑なものだと私は思っています。(論説室)

 この与良記者のコラムには、雪斎は率直に共感を覚える。雪斎も、たびたび。同じことを書いていたからである。
 毎日新聞に関していえば、拙ブログも、毎日新聞ウェブ・サイトの「特ブロ」のコーナーで紹介されている。雪斎は、「保守系政治学者」らしいけれども、この「保守系」という枕詞をそろそろ外してくれないかなと思っている。雪斎は、昔日のフランスでレイモン・アロンが「右」と呼ばれた意味で「右」なのかもれないけれども、アロン本人が標榜したように「リベラル」であろうとしていることはまちがいないからである。ともかく、数多あるブログのなかで紹介してもらっているのであるから、それは光栄なことである。このコーナーのリンクからのアクセスも増えている。謝意を表しておこう。
 保守論壇に盤居しているのは、様々な肩書きはあれども、「政治活動家」とも呼ぶべき人々である。彼らは、彼らが思い描く「理想の社会」を実現させたければ、自ら議員バッジを付けて活動すれば佳いのである。そうしたことを手掛けもせず、政治家に勝手に期待し、勝手に落胆しているのだから話にならない。彼らの想い描く「理想の社会」というのも、今となっては「ユートピア」の類になりつつあるけれども、その「ユートピア」の実現を夢想した意味において、彼らは、昔日の「共産主義者」と大差ない。ロシア革命指導層の中では、「政治家」であったのは、スターリンぐらいのものであって、他はレーニンにせよトロツキーにせよ「政治活動家」であった。彼らには、この意味が判るであろうか。
 マックス・ウェーバーに聞いてみよう。
 「善からは善のみが、悪からは悪のみが生まれるというのは、人間の行為にとって決して真実ではなく、しばしばその逆が真実である」。「これらが見抜けないような人間は、政治のイロハもわきまえない未熟児である」。
 結局、保守論壇も、「心情倫理」を過剰に振りかざす「政治的未熟児」が多い空間になったのである。雪斎は、そうした「政治的未熟児」と一緒に居たくないから、保守論壇から手を引いた。「政治というのはもう少し複雑なものだと私は思っています」と与良記者にわざわざ突っ込まれる保守論壇の現状などは、その程度のものと観ておいたほうがよいであろう。
 「右」か{左」かではない。「保守」か「革新」かでもない。ただ単に「未熟」か「成熟」かということでしかない。

■ 今夜の一枚
 ● アントン・ブルックナー
   交響曲第5番 変ロ長調
   ギュンター・ヴァント
   ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団

|

« 解せぬ話 | Main | 読売新聞のコラム »

「学者生活」カテゴリの記事

Comments

元英エコノミスト誌編集長のビルエモット氏が、
「Fukuda has perfect opportunity to visit Nanjing」
と言う寄稿をしておりました。「未成熟」な保守論壇に対する皮肉のようにも感じました。確かにこのようなことを書く日本人は少ないですね。福田さんはワシントン訪問後、南京に行く・・うまい作戦かもしれません。

Posted by: SAKAKI | October 09, 2007 at 09:47 PM

記事と関係ない内容ですいませんが、昨日の読売新聞の「記者ノート」というコラムで、「福田政権 名軍師はいるか」というタイトルで、雪斎さんとかんべえさんが紹介されてましたね。

Posted by: Baatarism | October 09, 2007 at 10:33 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/71618/16698108

Listed below are links to weblogs that reference 毎日新聞のコラム:

« 解せぬ話 | Main | 読売新聞のコラム »