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September 21, 2007

民主党が「テロ黙認政党」と看做される悪夢

■ 雪斎が以前から唱えていたことは、既に外務省が実行に向けて動いていたようである。
 □ 国連決議案、民主説得の材料に=政府、米英仏通じ働き掛け
                    9月19日13時5分配信 時事通信
 アフガニスタンの国際治安支援部隊(ISAF)の活動を延長するための国連安全保障理事会決議案に日本の海上自衛隊によるインド洋上での給油活動に対する「謝意」が明記されたことを受け、政府は海自の活動継続に反対する民主党に翻意を促していく考えだ。ただ、民主党の鳩山由紀夫幹事長は決議が採択されても給油活動継続に反対する方針を貫く考えを示しており、同党が方針転換する可能性は低い。
 与謝野馨官房長官は19日の記者会見で「国際社会が日本の活動をどう評価しているか、将来の日本の活動にどういうことを期待しているか、決議案を通じて理解できる」と強調。高村正彦防衛相は記者団に「一番大きな反対理由はなくなるのではないか」と述べ、民主党の態度の変化に期待感を示した。
 政府は、海自の活動継続に民主党の反対姿勢が硬いため、インド洋で海自から給油を受けている国連安保理常任理事国の米、英、仏を中心に、ISAFの活動延長決議案に自衛隊の活動について盛り込むよう、先月以来働き掛けを続けてきた。ただ、決議案自体は武力行使を認めるものであり、本文に自衛隊の活動を盛り込むことは見送り、前文に書き込むことにした。 

 流石に日本の外務官僚は、仕事が速い。昨年、北朝鮮制裁決議の採択を主導した「経験」は、確かに生かされている。国連安保理は、それぞれの国々にとっては、自らの政策にとって都合の良い「お墨付き」を得るための場である。此度、かなり円滑に採択に持ち込めたようである。ロシアは棄権したものの、中国も文句を言いながらも賛成した。「中露両国も反対できない決議」を採択できたということの意味は、確かに大きい。
 民主党の反応は、予想通りである。民主党の「給油活動」反対論は、原理主義の色合いを帯びつつある。だが、そうした「反対」論は、安保理決議が採択された後では、国際社会の納得を得られないものになるであろう。
今のところ、鳩山由紀夫幹事長以下、幹部がぽつぽつと発言しているけれども、小沢代表は何をしているのであろか。小沢氏の「国連中心主義」の信条と「反対」論とは、どのように整合しているのであろうか。故に、民主党は、今の姿勢を続けるならば、「テロリズム制圧」に向けた包括的な対案を早急に示さなければなるまい。そして、民主党は、この対案に依拠しながら、「テロリズム制圧」に向けた「熱意」を特に外国に向けて示さなければならないであろう。これが出来なければ、民主党は、テロリズム制圧に向けた国際潮流に背を向けたと看做されてbも仕方があるまい。次の選挙の結果次第では政権の座に就くかもしれない日本の最大野党が、「テロ黙認政党」の類と看做されることは、日本にとっては「悪夢」でしかないであろう。
 こうしているところに、最近、ご無沙汰していた某保守系雑誌から原稿依頼が入った。雪斎は,もう保守論壇の住人ではないと思って話を聞けば、「民主党の安保政策」を論じて欲しいとのことである。昔の雪斎ならば、「民主党は何時から『テロ黙認政党』になったのか」と題した論稿を書いたかもしれないしれないいけれども、今は、そういう民主党をあからさまに叩くような芸のない論稿を書くことはしない。もっと陰険な論稿を書いてやろうかと内心、思っている。いやいや、そういう「陰険さ」は、雪斎には似合わない、「端麗な論稿」を用意することにしよう。

■ 今夜の一枚
 ● デイヴ・ブルーベック 『ジ・エッセンシャル』
  / ウェストコースト・ジャズの御大、ブルーベックのナンバーを収めた。雪斎も、ジャズを聴くのである。

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「国内政治」カテゴリの記事

Comments

>小沢氏の「国連中心主義」の信条と「反対」論とは、どのように整合しているのであろうか。

結局、国連の集団的安全保障と、個々の加盟国が国として当然持つ集団的自衛権の関係が整理されてないと思うんですがね。(小沢さんの中では整理されているんでしょうが)理念として、又国際法制度として、前者が後者に優先すると、(戦後の日本では特に)思われていて、それはそれで一つの考えではあるんですが、この二つは、そんなにクリアカットに分けられない。多分に相互補完的で融合的だと思います。それでなかったら、ウィルソン主義と孤立主義を内包する米国が、現国連の主導的地位を担ってきた背景が理解されえない。前者と後者はある目的を達成するための二つの側面であるという認識で、米国に限らず諸外国の本音はそうでしょう。それと国連決議があればOKだが無かったらダメというという思想は、非常に危険な考えだと私なんかには思えるんです。国連決議といっても結局核大国5カ国の合意で、それからの相対的独立性は確保されないといけないですね、これは原理の問題として。

Posted by: M.N.生 | September 21, 2007 at 11:16 AM

小沢民主党はロシアが棄権した表向きの理由と同じような考えなんじゃないんでしょうかね。
小沢さんがここのところ言っていることを見ると、この程度では「お墨付き」という事にはならんのでしょう。
アフガニスタンでの対テロ活動だからってISAFとOEFを一緒くたにするわけにはいかないと小沢さんは考えているんでしょう。だいたい以下のようなかんじで。

海上自衛隊の活動は米国の自衛権発動に端を発するOEFへの参加であって、国連決議に基づくISAFへの参加ではない。と言うのが大前提。
今回の決議はISAFの延長であって、OEFに関するものではない。(そもそもOEFは国連の枠外の活動である)
今回のISAF延長決議の前文に自衛隊のOEF-MIOへの謝意が入っていたとしてもOEF-MIO自体が国連決議のお墨付きを得たとは言えない。(OEFが国連決議に基づく活動ということになったわけではない)

だからテロ特延長には反対。

これはこれでロジックとしては分かりやすいと思う。
ロシアや中国がぶつくさ言ってる原因っていうのはこの辺(ISAFの延長決議でなんでアメリカのOEFについて言わなきゃならんのだ)にあるはずだし。

--チラシの裏
じゃあ民主党が思い切ってISAFへの参加を打ち出せるかどうかというのは微妙なところ。
現状の海上給油よりは戦闘で死者が出るリスクが高いし。
前原さんあたりはISAF参加結構じゃないか、法整備やりましょうとか言いそう(まぁ、それはそれで政局としてはおもしろい)。
あるいは、現行のISAFへの参加とまではいかなくても、海上給油を国連のお墨付きの下でやらせようというなら、OEFのうちOEF-MIOの一部(つまり日本の行っている海上給油活動)をISAFの活動とみなす、というような決議があればいい。そうするとアメリカは嫌な顔しそうだけど。日本の外交力に期待できるならこれが一番いい。海上給油活動が国連安保理決議に基づくISAFの一部であると決議できれば、小沢さんもようやく海上自衛隊の活動は国連のお墨付きを得たと言えるのではないかな。
民主党が自衛隊の活動を認めるとすれば
・ISAFへの参加
・現行の活動をISAFに組み込む決議を取り付ける
・日本の給油活動をISAF、OEFどちらでもない独自のテロ制圧補助活動として認める新たな国連安保理決議を取る
くらいしか道は無いような気がする。いずれも結構厳しい。
国連で決議を取るのが無理となれば、自衛隊を使わないテロ対策案を民主党は出してくるかもしれないけど、実効性という面では厳しい評価にならざるをえないだろうし、あまり内容には期待できない。

Posted by: Listlessness | September 21, 2007 at 12:27 PM

民主党はPRTへの参加っていうのも考えているかもしれませんね。PRTの存在をすっかり忘れてましたが。

>故に、民主党は、今の姿勢を続けるならば、「テロリズム制圧」に向けた包括的な対案を早急に示さなければなるまい。

これはその通りなんですが、あまり期待できないような気がします。ただ、(国連中心主義に合致するということで)対案に自衛隊のPRTやISAFへの参加を打ち出せるなら、これは国際的にもかなり強力なアピールになるはず。これなら小沢さんも反対する理由はあまりないように思うんですが(あるとしても、危険すぎる、くらいしかない)。
PRTやISAFへの参加となればイラク特措法のときと同じような議論が出てくるんでしょう。非戦闘地域とか交戦規約とか。ヒゲ隊長の駆けつけ警護発言のこともあるし、これはこれで国会論戦を見てみたいですが。

「テロとの闘い」等に対する各国の部隊派遣状況
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/terro/katsudou05_1.html

>小沢氏の「国連中心主義」の信条と「反対」論とは、どのように整合しているのであろうか。

M.N.生さんのコメントがあるんで要らないとは思いますけど。
民主党としては、OEFは集団的自衛権の発動であって国連決議に基づく集団安全保障の枠組みの外にあるから反対って話だと思うので、表面的には整合性の問題はないと思います。
さらに、OEFが集団的自衛権の発動になるのなら現行憲法の解釈上認められないという話も整合性の問題は無いと思います。
また、国連決議に基づく集団安全保障の枠組みの中であれば(武力行使を目的にしないものなら)自衛隊を派遣して協力することはできる、というのもPKO法のころに散々やってきたことだし、自衛隊法も改正されたことだし、特に整合性に問題があるとは思えません。
むしろ個々の話は原理原則に合っていて分かりやすいとも言えるんじゃないでしょうか。なるほど原理主義的です。
結局問題になるのは、こういった個々のロジックの整合性じゃなく、そういったロジックで組み上げられた民主党の安全保障政策全体の中で、日米同盟という現実はどのように位置づけられているのか、また今後どのようにしていこうとしているのかが明確になっていない、という点なんだろうと思います。
明確にしようとすると分裂の種になりかねないということなのかもしれませんが。

Posted by: Listlessness | September 21, 2007 at 02:34 PM

 英The Economist誌によると、英米はアルカイーダネットワークが米本土の攻撃できるまで能力を回復したと見ているそうです。

 ですから米国は、たとえ一日たりともインド洋哨戒網に綻びができることは容認できないのではないかと思います。もう一度米本土でテロ攻撃が発生したら、米国の体制に大変な傷が生じるでしょう。共和党が負けるなんてもんじゃ済まないはずです。

 たぶんそれだけだと思います。ややこしい読みは必要ありません。

Posted by: べっちゃん | September 21, 2007 at 08:51 PM

「外交とはなべて、他の手段による戦争の継続である」
今回の外務省の動きから思い出した、周恩来の言葉です。
どれほど言葉を飾ろうと、同盟国の戦争の後方支援に参加
しているということは、日本もこの戦争に参加していると
私は考えます。
しかし、始まりはともかく「戦争の転移」をl避けることが
列強(先進国グループだけでは無い)の意思であることが
今回の国連決議で「あるレベルまでの明文化」されたとすれば、
国内政局を理由に反対を続けることの国益毀損を
皮膚感覚で感じ取れる敏感さを民主党指導陣が果たして
保持しているか疑問に思います。
野党としての議員外交、つまり「列強」と「近隣国」諸国への
人的ネットワークの構築に(部分的には)熱心な動きを
見せていましたが、それらが単なるパフォーマンスだったのか
それとも意思決定と意思を通す、材料とパイプとなるのか
今月中に何らかの解答が出ることでしょう。

Posted by: TOR | September 21, 2007 at 09:51 PM

 NYのビル崩壊で亡くなった日本人がいるのに・・政争に用いる連中が恥ずかしいですよ。

Posted by: SAKAKI | September 21, 2007 at 10:45 PM

小泉前首相のことをポピュリズムと批判する人がいましたが、もしこの路線を民主党が押し通して政権交代に成功すればこれこそがポピュリズムですよね。

今の民主党の政策は、貧困層への直接ばらまき、アジアモンロー主義に大国アメリカの戦略の妨害、近くはベネズエラのチャベス政権、遠くはナチス政権、本朝の近衛政権の政策と同じ。

米国の足さえ引っ張らなければ、それも一つの選択肢で悪いことはないと思うんですが、ポピュリストはどうしてもそこが捨てられない。そして必ずそこで躓く。

一人で躓く分には何の問題もありませんが、国を巻き込むのは御免蒙りたい。

こうしてみると、小泉政権は確かに個人のカリスマに頼るところ大でしたが、ポピュリズムではなかったことが分かります。

Posted by: べっちゃん | September 22, 2007 at 12:53 PM

雪斎さん

こんばんは

このテロ特(新法)に関して、雪斎さんもすでにお読みかと思いますが、N先生とI先生の短い論稿を読みました。どちらも私には、馴染みある先生方なのですが、N先生は、この「ねじれ現象」を戦前の田中義一内閣執政下から学び、参議院は、憲法の期待されている役割を果たすべきである。というものです。

I先生は、国家の基本(外交)政策を政争の具にしてはならない。

両先生方とも短い論稿ながら、至極、最もで、一見「きれいごと」とも思える内容にも、非常に重みがあります。

国際法的に言うなれば、集団安全保障というのは、憲章上にその根拠があります。と同時、集団的自衛権も憲章上に根拠があります。国連憲章や、条約というのは、俗に特別法と言われ、慣習化している(法典化)されていないものは、一般法となります。国家、固有の権利としての集団的自衛権は、この一般法ですね。特別法と一般法では、特別法が優先されます。ただ、どちらも、国連憲章に明記されています。
そして、憲章上の手続きによれば、集団安全保障は、安保理の決議が必要です。強引にロジックを組みたてれば、この安保理決議がないから、むしろ、集団的自衛権は、集団安全保障体制に逆行するということになるでしょうか。ただ、これは、国際法上のロジックの問題で、現実、安保理決議に依存してしまう考えは、国際情勢認識、国際法の実効性に対する認識としては、甘すぎますね。ぜひ、小沢代表のロジックを聞いてみたいものですが。。。

>ブルーライト・ヨコハマ、聞きました。凄かったです。

長くなりました。申し訳ありません。

Posted by: forrestal | September 22, 2007 at 05:53 PM

>ただ、これは、国際法上のロジックの問題で、現実、安保理決議に依存してしまう考えは、国際情勢認識、国際法の実効性に対する認識としては、甘すぎますね。

まさにその通りで、その点を雪斎先生は「原理主義」的だとおっしゃっているんでしょう。現実の国際情勢をみれば集団安全保障だけじゃ不十分だろう、という感じなんでしょうか。それはそれで国際情勢の現実に対する認識としては正しいと思います。

ただ、民主党のテロ特に対する反対も、単に国際法上の集団安全保障という理念に集団的自衛権が逆行するから、という話ではないだろうと思います。国内の現実的な問題として、憲法と集団的自衛権の関係を巡る問題がありますからね。自衛隊を含む政府機関の行動は憲法によるべきです。
ですから、"現行憲法においては集団的自衛権(個別的安全保障の一部)の行使はできない"、という主張は国際法の実効性云々とは独立して説得力を持つべきものであると思います。
本来なら、"現実問題として集団安全保障では実効性が低い(ほぼ無い)から、国連憲章でも認められている集団的自衛権の行使も認めるべきだ"というような議論は憲法改正論議の中でしていくべきものだと思います。(現行憲法においても集団的自衛権の行使は可能だ、という立場もあるのでしょうが)
テロ特に関して言えば、政府は集団安全保障の枠組みの中にあると主張したいのでしょうが、日本が参加しているのは安保理決議による活動ではないので、集団的自衛権の行使であって個別的安全保障の枠組み内にあると考える方が妥当なんだろうと思います(ここにも議論はあるんでしょうけど、やはりISAFやPRTは集団安全保障と言えても、OEFは個別的安全保障であると私は思います。)。

このあたり、問題の切り分けをしっかりしていかないといけないでしょう。

Posted by: Listlessness | September 23, 2007 at 09:49 PM

本文も、どのコメントもあほらしい。

民主党ではテロ制圧できない?
じゃあ、自民党ならできるか?
それどころかテロリストを作り出し、日本に呼びこむ危険性があるのでは?

まったくこの議論自体あほらしい。

Posted by: mk | October 08, 2007 at 10:59 AM

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