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September 10, 2007

安倍晋三の「破釜沈舟」

■ 安倍晋三総理は、「破釜沈舟」の構えを示したということであろうか。
 □ 海自給油、継続できねば退陣=「職を賭す」と言明-安倍首相
                   9月9日19時1分配信 時事通信
 【シドニー9日時事】安倍晋三首相は9日午後(日本時間同)、シドニー市内のホテルで記者会見し、11月1日に期限が切れるテロ対策特別措置法に基づくインド洋での海上自衛隊の給油活動の継続問題に関し「民主党はじめ野党の理解をいただくため職を賭して取り組んでいく」と表明した。その上で「当然、わたしは職責にしがみつくということはない」と述べ、活動継続のための法案が10日召集の臨時国会で成立しなければ内閣総辞職する意向を示した。また、給油活動に反対する小沢一郎民主党代表の理解を得るため、早期の党首会談を呼び掛ける方針も明らかにした。
 首相の発言は、海自活動の継続を「対外公約」と位置付けたのに続き、その実現へ退路を断って臨む決意を示したものだ。しかし、参院で主導権を握る民主党が法案賛成に転じる公算は現状では極めて小さいとみられ、首相が内閣総辞職に言及したことは与野党に大きな波紋を広げそうだ。 

 安倍総理が不退転の決意を示したのは、誠に理解できる。安倍内閣下の対外政策には、目立った失点はなかったけれども、此度の「給油活動」延長に失敗すれば、今までの業績を帳消しにするものになるかもしれない。イラク戦争開戦の折に米国に対立した仏独両国も、インド洋上オペレーションには参加している。「日本が抜けるわけにはいかない」というのが、常識的な見方であろう。
 もしかしたら、安倍総理は「給油活動延長」を岸信介における「安保改定」とおなじようなものと認識しているのかしれない。内治で失敗しても国は滅ばないけれども、外政で失敗すれば国は滅ぶ。安部総理の「破釜沈舟」の構えを「マジレス」などjと揶揄するわけはいかない。
 ところで、聞くところによれば、保守論壇方面には、安倍総理に冷淡な眼差しを向ける向きが広がっているようである。「靖国」や「拉致」といった案件での安倍総理の対応には、保守論壇方面の不満が高まっているようである。「参議院選挙敗北は、安倍総理が『保守の魂』を忘れたからだ」」と唱える向きもあるらしい。しかし、知識人が「自分の考えたこと」をそのまま政治家に実現してもらえると期待するのは、知識人の「傲慢」を示すものでしかない。当初、安倍総理に期待した人々こそ、今が安倍総理に対する「支え時」であるはずである。それをしないのであれば、保守論壇方面の「政治上の白痴」が、あらためて暴露されることになるであろう。
 それならば、町村信孝外務大臣以下、日本の外務省に期待してみよう。
 それは、日本の「給油活動」を含む諸国のインド洋上のオペレ-ションを根拠付ける決議が、あらためて国連安保理で採択されるように、働きかけることである。これが成れば、「国連安保理の承認がない」という野党の反対の根拠は、一挙に崩れるであろう。この決議案それ自体には、米英仏三ヵ国は賛成するであろうし、中露両国にも反対すべき特段の事情があるとは思われない。「何でもやる」というのであれば、それくらいのことは考えてもよいはずである。これは、北朝鮮に対する制裁決議などに比べれば、余程、採択に向けたハードルが低い。雪斎が安倍総理や町村大臣に直接、進言できる「軍師」ならば、それくらいのことは献言する。

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「国内政治」カテゴリの記事

Comments

各国が多数保有している戦闘艦と違い、補給艦は希少艦種ですからね。
米軍といえど新たに手配するのは大変でしょう。

Posted by: K | September 10, 2007 at 08:55 AM

>>日本の「給油活動」を含む諸国のインド洋上のオペレ-ションを根拠付ける決議が、あらためて国連安保理で採択されるように、働きかけることである。

もう一点。
「洋上補給は、国連がその存立の基盤とする集団的安全保障の一環であり、集団的自衛権の行使は日本の憲法が禁止するところではありません。」と安倍総理が公式に言ったら、いいんですよ。それこそ、戦後レジームからの脱却でしょう。

Posted by: M.N.生 | September 10, 2007 at 11:26 AM

M.N.生さまの意見にわたくしも同意ですね。

Posted by: 妖怪 | September 10, 2007 at 05:23 PM

上の方は、集団的安全保障と集団的自衛権を「故意に」混同してらっしゃるのでしょうか?

Posted by: D | September 10, 2007 at 05:50 PM

もし雪斎さんの言うような国連決議が得られたとしても、倒閣に目がくらんだ小沢氏が、理屈を無視して廃案に追い込んでしまうのではないかという心配もありますね。ただ、そうなると小沢一郎の国際的評価は地に落ちるでしょうが。
案外、次の衆院選の争点は親米か反米かという、外交路線を巡るものになるのかもしれません。もし安倍首相がそこまで考えてあの発言をしたのであれば、大したものだと思うのですが。

Posted by: Baatarism | September 10, 2007 at 09:31 PM

雪斎さん

こんばんは。TBさせて頂きました。すいません。

この度のAPEC後の記者会見、はじめて、安倍総理の気迫を感じました。

その上で、何でもやるというのなら、M.N生様に同意ですね。尚、厳密に言えば、アフガニスタンでのオペレーションは、国連の集団安全保障には入りませんが。

ひとつの外交政策だからといって、外交目標がひとつであるとは限りませんね。

Posted by: forrestal | September 10, 2007 at 11:58 PM

>>上の方は、集団的安全保障と集団的自衛権を「故意に」混同してらっしゃるのでしょうか?

勿論、故意です。違いは判ってます。(笑)
ただ、職を賭してという大見得が出るくらいなら、その程度のせりふはあっていいかと。それで、論争が深まれば・・・。

Posted by: M.N.生 | September 11, 2007 at 12:02 PM

>>M.N生様

余計なコメント、失礼、致しました。


どうやら、この法案は、国会では、政策論争になりそうにないですね。

小沢民主党には、何故、反対かの説明を国民にし、オルタナティヴを提示してもらいたかったのですが。。。

もちろん、安倍総理にも、何故、そこまでして、この法案(恐らく新法になるとは思いますが)、国民に説明すべきですが。

Posted by: forrestal | September 11, 2007 at 07:13 PM

雪斎先生、お初にございます。リアル世界では楡の部室で考えるともなし…のお姿を見かけたことがあるのですが。

生真面目な安倍総理がなぜ当たり前に当たり前(←これは「正しい」とかではないです)のことをいうのか、疑問に思っていましたが、一番重要なのは「なにを」言ったのか、ではなく「あの場所で」(メルボルン)言ったということが重要ではなかったかと思います。
合衆国の外交に異議を唱えない国は今や日豪だけですし、中東問題はドミノ倒しをしていくと中国に行きますから、「ホラムズ海峡の安全に全力を尽くしますよ」とあそこで言えば、米豪のみならず、直接「自由と繁栄の弧」に影響するのではないかと。
そうであれば小沢党首があそこまで毛色ばむのも、自然かなという感想を持ちました。

では

Posted by: さいとー@横浜 | September 11, 2007 at 10:11 PM

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