売家と唐様で書く三代目
「9・11」前後には、何かが起こる。二十一世紀に入ってから、そうしたことが実感される。「9・11」テロ、小泉純一郎訪朝、安倍晋三内閣発足、そして此度の退陣表明である。
「売家と唐様で書く三代目」…か。そうした戯言が頭を過ぎる。
せめて、安倍総理には、内閣総辞職前日に、「集団的自衛権行使に関する政府解釈を見直します」という声明を出してもらいたいものである。今のままで辞めれば、最後の将軍・徳川慶喜に似た印象だけが世に残ることになるであろう。もし、安倍総理が「元総理」として政治的な影響力を残そうと願うならば、そうした「暴挙」に及んでもらいたいものである。その点、安倍総理の「仕事」は、まだ終わっていない。
早くも、「ポスト安倍」に向けた動きは、色々な様相を示している。
ただし、雪斎としては次の三つだけは指摘しておこう、
1 「構造改革」という名の「グローバリゼーション」適応の試みは頓挫させてはならない。
・ これの頓挫は、「経済立国・日本」の沈没を意味する。
・ 「中央・地方」格差は、「少子・高齢化」の影響のほうが大きいという説がある。
2 「普通の国」への歩みは滞りなく進める。
・ 国内治安の維持、自衛隊における機密保持体制の確立を急ぐ。
3 対外政策における「柔軟性」は最大限に確保する。
・ 「拉致敗戦」などという無様な事態は避ける必要がある。
国際政治は、「利害」の調整の場であって、「正義」の実現の場ではない。
小沢一郎・民主党にとっては、「あてが外れた」というところであろう。安倍総理という「弱いリーダー」であればこそ、幾らでも攻め手を考えることができたのだから…。ただし、今の民主党からは、たとえば「テロ制圧」に向けた熱意は、まるで伝わってこないし、今後も、そうであろう。かくして、安倍辞任によって、民主党の「抵抗勢力」化は却って加速するような気がする。「抵抗勢力」化した政党は、実際には全然、怖くない。野党が参議院で問責決議を乱発するようならば、適当に黙殺すればよろしい。
最後に、小泉純一郎前総理の再登板を期待する声があるようであるけれども、雪斎は、それは「ない」と思う。むしろ、「何時か帰ってくるかも知れない…」という不気味さを漂わせてもらったほうが、「抵抗勢力」に対する牽制にはなる。その間に、「小泉の魂」を受け継ぐ政治家たちが、きちんとした地歩を自ら固めなければならない。そのことに対する切迫した意識を特に若手政治家が抱いたのであれば、「安倍の挫折」も却って吉兆である。
ひるまず、「構造改革」路線を貫徹せよ。
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Comments
雪斎さん
こんにちは、TB送らせて、頂きました。ここのところ、何度もで、申し訳ありません。
私は、安倍総理にこうして欲しかったのようにエントリしましたが、雪斎さんの仰る通り、総理には、まだ、出来ますね。結論は、出ていると思います。集団的自衛権の行使の解釈変更ですね。
又、仰る通り、小沢・民主党からは、外交、安全保障政策が見えてこないんですよ。
日本の国際政治における孤立しか。。。
Posted by: forrestal | September 13, 2007 10:00 AM
>>せめて、安倍総理には、内閣総辞職前日に、「集団的自衛権行使に関する政府解釈を見直します」という声明を出してもらいたいものである
御意。ただ最後の気力胆力が残っているか?・・・・・
思い出すのは、今から20年近く前、三角大福中の末期の頃の話。学生時代にお世話になった政治学の○木先生にお会いした時の台詞。要旨は、
「未だ戦前戦中を経験した人が政治家だから良いが、戦後生まれが政治家の主流になったらなあ。政治家を創る仕組みが不充分で心配だ云々」
Posted by: M.N.生 | September 13, 2007 11:36 AM
私としては、自民党もまた「抵抗勢力」化しないことを願います。
自民党議員の方々は、国民は、自民党に対して、とっくの昔に一体感や「国民政党という感覚」を失っているのだ、という現実に適応していただきたいものです。
Posted by: 妖怪 | September 13, 2007 12:02 PM
>「小泉の魂」を受け継ぐ政治家たち
経済政策で一番、小泉・竹中路線を受け継いでいるのは、中川秀直氏でしょうね。構造改革とリフレ政策の組み合わせという、小泉・竹中時代の政策の本質を、安倍政権でただ一人主張していました。
ただ、彼には小泉氏のようなカリスマが欠けているのか、人気が全然出ないんですよねえ。
Posted by: Baatarism | September 13, 2007 12:21 PM
雪斎さんのこの記事を読んで、一言、こう思います。
政治は自民党のものじゃありません、国民のものです。
政治学者も国民の目を通して、自民党に助言すべきです。
まず自民党の立場にたった政治学者なんて、国民は横目で見るだけです。雪斎さんのご意見が一国民としてのものならば、どんなことを主張しても構いませんが。
雪斎さんのこの助言ならば、衆院選でも自民は大敗します。
参院選の自民の敗因は、安倍さんが国民目線でなかったからです。
あ、一言で終わらなかった・・・
Posted by: うみおくれクラブ・ゆみ | September 13, 2007 11:31 PM
うみおくれクラブ・ゆみさんのおっしゃる|「国民の目」って、どんな目なのでしょうか。あなたは所詮「あなた自身の目」でしか語れないわけで、あたかも「国民の目」を代表しているつもりなのなら、それもどうかと思いますが。
それはともかく、残念ながら雪斎さんの期待も虚しく、今後安倍ちゃんは「元総理」としての肩書きだけの長い余生を送ることになるのだと思います。こういう人物を総理に選んでしまったのは自民党の末期症状の表れなのでしょう。
余談ですが、安倍(晋太郎)の息子の次は福田(赳夫)の息子かヨ・・・としか見られなくなった私も、ずいぶん年を取ってしまったものだと思います。
Posted by: who | September 14, 2007 12:07 AM
小泉さんは国民に痛みを押しつけたけど、その痛みがいつまで続くのか、そしてどうなるのか、一切展望が開けぬまま阿部さんが引き継いで、そして不祥事等で国民が我慢できなくなった、というのが参院選。
じゃあこれから先の展望を指し示せる人、政党、が今あるのか?小沢さんはただただ権力を握りたいだけのように見える。自民党は小泉さんにぶちこわされたままで新たな芽は見えてこない。
いやいや政治家を選ぶのは国民だから、ろくな政治家がいないということは国民の責任でありましょう。国民一人一人が依頼心をすてて、明確な世界観・国家観を持たなければならない。
Posted by: 笛吹働爺 | September 14, 2007 12:23 AM
国民の目線というのも結局流行り廃りに流されてしまうものですし、絶対の正当性や客観的評価、また統一意思としての国民世論などという裏打ちがあるわけでもありません。まぁ安倍さん自身も含めて大概の人は自分の意見を普遍的なものであると捉えがちですから、一国民としては後年振り返ってみてあの選択が正しかったかどうか自問する他はないでしょう。
それにしても安倍さんは惜しいことをしました。21世紀の椿事件とも言うべきマスコミの暴虐もさることながら、拉致問題というある種の政治的ハプニングが無ければ、もう少し順当に経験を積んで、より良い時期に総裁選に挑むことが出来たことでしょう。レイムダックとして過ごすには若すぎる元宰相の今後の境遇を思うと同情を禁じえません。
Posted by: TIG | September 14, 2007 11:16 AM