一見、無縁な二つの記事
■ 今月号の『中央公論』の特集の一つは、「いまどきのお金持ち研究」というものである。
一方で、次のような記事が配信されている。
□ 日本の「富裕層」、147万人に…金融資産100万ドル超
7月7日20時10分配信 読売新聞
100万ドル(約1億2300万円)以上の金融資産を持つ日本国内の「富裕層」が、昨年1年間で5・1%増加し、147万人となったことが、米証券大手のメリルリンチなどが実施した調査でわかった。
増加率は、前年(4・7%)を上回った。富裕層は企業経営者が多いとみられ、同社は「戦後最大の景気拡大が続き、ビジネス環境が好転したことが要因ではないか」と分析している。
世界全体の富裕層は、新興国の急成長を背景に8・3%増えて950万人に達した。日本の富裕層はこのうち15・5%を占め、米国に次いで世界2位となっている。
「ミリオネア」(富裕層)は、日本では、100人に1人という計算である。これは、意外と多いというべきであろう。だが、そもそも、「ミリオネア」は、どこにいるのであろうか。「永田町」には、いるようでいない。
■ しかし、阿呆な「教職者」もいるものである。こういう話を聞くと、公立学校離れも「しょうがない」と率直に思う。
□ 障害児童の答案、無断で抜き取り=昨年の学力調査でトップ校が-東京・足立区
7月7日22時33分配信 時事通信
東京都足立区教育委員会が昨年4月に行った学力調査で、トップの成績の小学校が、情緒障害などのある児童3人の答案を保護者や区教委に無断で抜き取り、採点から外していたことが7日、分かった。この学校では他の不正も指摘されており、区教委は調査に乗り出した。学校側は児童の保護者に謝罪している。区教委が同日記者会見して明らかにした。
因みに、雪斎は、中学時代に青森県内で実施された模擬試験で県内総合三傑に入ったことがあるので、「中学時代のワシだったら、ワシ一人で学校平均点をドカッと上げてやったのに…」と思う。これは皮肉である。採点対象から除外された児童の成績が、現在はともかく今後に凄いものになるとすれば、この小学校関係者は、何を思うのであろか。こうした可能性を考えることのできないイマジネーションの貧しさは、教職者の資質として、かなり問題である。
雪斎は、「やはり、『富裕層』入りを成就させるしかないな…」と思う。「障害者iイコール無能力者」という予断が、この国では余りにも強すぎる。件の小学校の対応にも、そうした予断が反映されている。「この子は先々、凄いことができるかもしれない」という前提でものごとを考えられない人物は、親であれ教職者であれ、教育に携わる資格を持たない。ただし、 「障害者iイコール無能力者」という予断を覆す事例が、率直に少ないのである。
脳性小児麻痺の重度障害者が「富裕層」に名を連ねる事例は、日本では極めて稀であろう、ならば、雪斎は、それをやってみたいと思う。「障害者iイコール無能力者」という予断の壁を壊そうと格闘してきたのが、三十歳代前半までの雪斎であった。近年は、大学にポストをもらい、そこそこの財も得た故に、「ほどほどの満足」に甘んじて落ち着いてもよいであろうと思い始めていたのだけれども、それは誤りであったかもしれない。まだまだ、この「闘争」から引退というわけにもいかないのかもしれない。
「『富裕層』入りを果たして、どこかの学校に何がしかを寄付する」。これをやれば、「障害者イコール無能力者」という予断は、この学校の子供たちには完全に吹っ飛ぶのであろう。
メラメラときた夜である。
■ おっと、『中央公論』から原稿依頼が入った。のんびりもしていられない。いやはや、本当に…。
■ 今夜の一枚
○ ロベルト・ シューマン
交響曲第2番、第4番(マーラー編曲版)
リッカルド・シャイー
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
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Comments
富裕層ビジネス、足立区両方とも身近な話題です。愛知県ではかつて中学統一テストというのが行われ小生も県で1桁に入っていたりしましたが最近の学校事情は異常事態かと思えます
Posted by: 星の王子様 | July 08, 2007 09:25 AM