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July 12, 2007

今日は静養です。

■ 今週に入ってから、「最悪の体調」モードに突入しているので、エントリーも書く気がしない。
 よって、この三日の話題について、一言だけのコメントである。金曜、土曜は用事が入っているので、今日は静養である。
 ① 安明進(北朝鮮元工作員)の麻薬密売容疑による逮捕
  : 実態がよく判らない。「拉致」案件のフェード・アウトを促す効果を持ちそうな一件である。
    間違いなく、「こんな人物のいうことなど信じられるのか」という声は、出てくるであろう。
    ましてや、本人の口から後で、「カネのために日本人の気に入ることを言った」などと言い出されたら、目も当てられまい。
 ② 七党党首討論会
  : 二年前に、こういう席で、クール・ビズで登場した小泉総理は、本当に「変人」だったと思う。
 ③ イチロー、オールスターゲームにおけるランニング・ホームラン
  : 「運」の強い人物には、かなわない。

■ 青森県内紙「東奥日報」に寄せた原稿である。

 □ 「食材」と国際政治
 『東奥日報』(六月二十九日付)は、米国食品医薬品局(FDA)が六月二十八日、「エビやウナギなど中国で養殖された五品目の魚介類について輸入を一時停止すると発表した」と伝えた。中国産食材の安全性に対する疑念は、日本では以前から指摘されてきたところであるけれども、この危うさが国際社会に広く認知されるようになっているのであろう。そのことは、中国の国際社会における声望を損ねるものであろう。現下の中国政府は、来年の北京五輪や三年後の上海万博を控えて、国威の発揚に余念がないかもしれないけれども、自らの印象を悪くする材料を封じ込めることができていない。
この記事が配信された日、中国に向けたコメの輸出が四年ぶりに解禁された。第一陣として出荷された「新潟産コシヒカリ」と「宮城県産ひとめぼれ」の計二十四トン分は、今月以降、北京と上海で販売され、価格は二キロで二千五百円から三千円程度になる模様である。これは、中国産米の二十倍程度の水準であるから、日本産米は、経済発展に伴って登場した中国の「富裕層」を対象としたものであろう。振り返れば、清王朝時代の中国では、元禄期以降の日本から干鮑、鱶鰭、海鼠が「俵物三品」として輸入され、皇帝や大官の食卓で珍重された。現在、「満漢全席」に象徴される中華料理における珍味と呼ばれるのものが、この「俵物三品」に燕巣を加えた四品であることを踏まえれば、広く中国文化と呼ばれているものに日本産「俵物三品」が顕著な位置を占めている事情は、明らかであろう。そして、平成の時代に至って、この「俵物三品」への需要は再び高まり、過日、その列にコメが加わった、現在の中国「富裕層」は、昔日の「皇帝・大官」の生活を後追いしようとしているのであろう。
 この「食材」に絡む二つの風景は、国家の「威信」、「声望」、「魅力」と呼ばれるものに対する日中両国の意識の落差を象徴的に物語っている。目下、中国政府は、経済発展や軍備拡張を急ぎ、国際社会での威信や声望を高めようとしているかもしれないけれども、「食材」の安全確保という点に手抜かりを示せば、そのような試みの効果も削ぎ落とされる。「食材」もまた、他国の人々の共感を得るという意味での「ソフト・パワー」の一翼を担っているのは、間違いないからである。片や、日本は従来、この「ソフト・パワー」の原資となる材料が多彩に備えてきた。近年では、「アニメーション」が有名であるけれども、これに「俵物三品」に象徴される「食材」が加わっている。世界各国における「寿司ブーム」の伝播は、そうした流れを加速させている。青森県に関していえば、おそらくは、日本では既に評価の定まった「青森りんご」や「大間マグロ」が、その一翼を担うことになるのであろう。
 ところで、この「食材」の安全に関して、国際基準を構築するべく主導することは、日本の利益に結び付くであろう。振り返れば、日本の環境保護政策の原点は,水俣病やイタイイタイ病が象徴するように、「食材の安全」を確保できずに多くの人々の健康被害を発生させた事例にある。こうした苦い経験を経た高度経済成長期の後、「豊かな社会」を実現させた日本の人々は、「食材」の安全に関して世界でも最も高い要求水準を設定するようになったのである。食肉輸入に絡む対米摩擦の激しさや不祥事を起こした食品会社に対する世人の視線の厳しさは、そうした事情を物語っている。この高い要求水準を「グローバル・スタンダード」(世界標準)の域に高めていくことは、日本にとっては、自国の人々の安全を確保するのみならず、国際政治における「優位」を担保する一つの仕掛けになるであろう。こうした観点からも、国際政治における「食材」の位置を考えることは、意義深いことであろう。
『東奥日報』(2007年7月8日付)

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ゆっくりお休みになってください。
いつものように更新されるのを、楽しみに待っています。

Posted by: 戀。 | July 13, 2007 at 12:11 AM

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