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June 17, 2007

「年金」は、どうでもいいネタである。

■ 参議院選挙前の争点として浮上したのが、「年金」であるけれども、やはり雪斎には「どうでもいいこと」に映る。そもそも、雪斎は、「福祉国家」発想のいかがわしさを昔日から論じてきたので、此度の騒動は、その「福祉国家」発想を再考する契機になればいいと思っている。
 厚生省という役所が戦時体制の「所産」であることに留意している人々は、決して多くはない。戦後日本の奇態は、戦時体制の「暗黒」を告発するような言辞を普段は吐いている人々が、実はその戦時体制の「所産」である厚生省の「仕事」に寄り掛かるのを当然のこととして振る舞ってきたことである。
 雪斎は、年金保険料なるものは、実態としては「福祉目的税」だと思ってきた。だから、「年金が戻ってくる」などは真っ赤な嘘だと思ってきた。問題は、税金ならば、その使われ方は、衆議院予算委員会や参議院決算委員会のような場における審議を通じて国民の眼に曝されるのであるけれども、年金の場合は、そういうことはなかったということである。数十年も「年金保険料」の使い方が厳しくチェックされないのだから、どのような杜撰な処理が為されていても判らないのである。以前、社会保険料で建てた保養施設が二束三文で売却されるという話が出たときにでも、きちんとしたチェックを入れるべきであったけれども、そこまでいたらなかったのである。

 公的年金制度は もし、それを機能させるのであれば、若年層が老年層を支えるという趣旨の「賦課方式」ではなく、「積立方式」として「国民から徴収した保険料を運用し、その運用益を加えて国民に償還する」という建前を基調にしたものものに代えるしかないであろう。無論、その運用の実態が国民に公開されなければならないのは、自明の前提である。どの銘柄の株式、債券などに投資し、それが毎年どの程度までのリターンを得たのか。その運用に携わった責任人物の経歴、識見は、どのようなものか。こうしたことは、民間の投資信託ならば、当然に開示される情報であるからである。
 もっとも、、雪斎は、「年金制度は、もし存続させるならば、もはや選択制にするしかない」と考えている。要するに、政府保証の付いた相対的にリスクの少ない年金制度と相対的にリターンが多いかもしれない民間の年金と、どちらを選ぶかという選択である。こうした選択の自由を徹底させれば、富裕な人々が「俺の年金はどうなるのか」と心配したという唖然とさせられる話も、消えてなくなるであろう。今は、国民の一人ひとりが、「何を何処まで国家という枠組に期待するか」ということを問い掛けるべき時節であろう。
 「一身一戸を斉治して恒産有りて恒心有り、之を吾人自治の本拠とせん」という濱口梧陵の言葉は、雪斎の信条でもある。だから、雪斎は、自分の「恒産」の現状を毎日、地道に把握している。それにしても、この濱口梧陵の評伝が新日本出版社という共産党と縁の深い出版社から出されているのは、何かの冗談であろうか。何れにせよ、雪斎は、社会福祉面での国家に対する期待値が元々、低い。雪斎は、国家には外交と安全保障と治安維持を万全にやってもらうことが先決であると思っているので、そこの部分の期待値だけは高いけれども…。
 結局、自分の人生は、自分で面倒を見るしかない。雪斎は、本音としては、今まで自分が支払った分の保険料だけは返還してもらいたいと思っているのだが…。

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Comments

はじめまして。いつも楽しく読ませていただいております。

雪斎さんの言う通り、自分の周りでも、「払った年金など戻ってくるはずはない」と考えている人が多いようです。

もう少し若いころは、積立方式にさえなればいいのだが、と淡い希望を抱いていたものです。誰か強引に推し進めるような人が出てきませんかね。

話は変わりますが、公安調査庁の元トップが総連と疑わしい不動産取引をしたニュースがありましたが、国防の観点から防衛省が動くことはあるんでしょうか。
この件に対する雪斎さんのお考えをお聞きしたいです。

Posted by: 28歳 | June 17, 2007 at 06:16 PM

年金保険料は、目的税のようなものだ、税金とちがって国民の目にさらされることがなかったという見解には賛成。賦課方式から積立方式にすべきだという意見にも賛成。
富裕者といえど、保険料を支払ってきたのだから、年金を受け取る権利は当然です。
「一身一戸を斉治して恒産有りて恒心有り・・・」雪斎さんだけでなく、ほとんどの国民がこういう覚悟で生きているのではないでしょうか。しかし、私の親の世代は、下積みの労働でわずかに蓄えた恒産と、受け取る資格のある年金で、老後の生活はなんとかなると頼りにしてきた人たちがほとんどだったはずです。国が国民に長らく約束してきたことを、きちんと履行することは重要ではないですか。

Posted by: うみおくれクラブ・ゆみ | June 19, 2007 at 11:49 PM

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