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May 02, 2007

国際政治学の教科書 続

■ 国際政治学の教科書には、そのサブ・カテゴリーとして、「各国政治史」がある。次のようなものがある。「教科書」は、「体裁の判りやすさ」と「必要な知識の提示」が両立していなければならないと思うけれども、この両立は、実は難しい。

 ● アメリカ史
① 斎藤真、『アメリカ政治外交史』(東京大学出版会)
② ジョージ・F・ケナン、『アメリカ外交50年』(有賀貞他訳、岩波現代文庫)
③ 村田晃嗣、『アメリカ外交』(講談社現代新書)

①は、この英訳書が米国で教科書として使われたという逸話を持つ書である。確かに、「簡にして要を得た書」というのは、こういう書のことをいう。
②は、古典である。何も付言することはない。
③は、最近のものでは、もっとも判りやすい書である。ウォルター・ラッセル・ミードとジョセフ・ナイの議論を下敷きにして、村田教授の味付けが為されている。

 ● ロシア史
① アダム・B・ウラム、『膨張と共存ーソヴィエト外交史 1-3』(鈴木博信訳、サイマル出版会)
② 木村明生、『クレムリン 権力のドラマ―レーニンからゴルバチョフへ』 (朝日選書)
③ 木村明生。『ロシア同時代史 権力のドラマ―ゴルバチョフからプーチンへ』(朝日選書)

①は、雪斎の個人的な思いが入っている。学生時代に気合を入れて読んでいた書である。
②は、レーニン時代からのソヴィエト政治史を概観したものである。日本人学者の書いたロシア・ソヴィエト通史では読みやすいものであった。
③は、②の続編という趣きの書である。

 ここまで書いて考える。たとえば、今、米国外交を観察している人々は、たとえば「教科書」①を読んでいるであろうか。直近の米国の対朝軟化を危ぶんでいる人々は、日本ではc少なくないかもしれないけれども、「教科書」を読めば、米国外交の揺り戻しなど幾らでもあると判るはずである。

■ 今朝の一枚
 「ベートーヴェン ピアノ・ソナタ全集 第1集」より
 第8番 「悲愴」
 ゲルハルト・オピッツ

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Comments

アメリカ史については、「概説アメリカ外交史」も外せないと思います。

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4641280010.html

日本のアメリカ研究は結構、水準が高いんじゃないでしょうか。

Posted by: かんべえ | May 02, 2007 at 09:43 AM

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